防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(1月放送内容)



 

テ−マ:米軍・自衛隊の訓練移転について

 

 

パ−ソナリティ−:
 本日も東北防衛局の齋藤雅一局長にお話しをいただきます。局長よろしくお願いいたします。

齋藤局長:
  よろしくお願いいたします。

パ−ソナリティ−:
  今日は、どのようなお話しをしていただけるのでしょうか

齋藤局長:
 はい。今日は、先月12月1日から18日まで青森県の三沢市にある三沢飛行場で行われた米軍による「訓練移転」について、お話しをしたいと思います。
 「訓練移転」は、二国間の相互運用性を向上させるとともに、米軍飛行場の周辺地域における訓練活動の影響を軽減するものです。平成17年10月の「日米同盟:未来のための変革と再編」において、米軍飛行場からの訓練移転が言及されたことを受け、当局を含め各局が関係自治体との間で鋭意調整を行った結果、「再編の実施のための日米ロードマップ」に盛り込まれ、現在まで40回以上も実施されています。
  沖縄県の嘉手納飛行場、山口県の岩国飛行場、そして青森県の三沢市に所在している三沢飛行場の3つの米軍施設の航空機が、北海道千歳基地、青森県の三沢基地、茨城県の百里基地、石川県の小松基地、福岡県の築城基地、宮崎県の新田原基地の全国6ヶ所の自衛隊施に移動し、自衛隊と共同訓練を行っています。このように全国で米軍機を受け入れる自衛隊の飛行場は6施設あり、その移転元となる米軍の飛行場は3施設あるということになります

 東北地方では青森県の三沢飛行場で、自衛隊と米軍が同居といいますか、共同使用しておりますので、移転先であると同時に移転元の施設になっているという飛行場であります。今回行われた訓練には、米軍は嘉手納飛行場の第18航空団、航空自衛隊は三沢基地の第3航空団及び北部航空警戒管制団、千歳基地の第2航空団の各部隊が参加しました。

パ−ソナリティ−:
 三沢基地に配備されている米軍の飛行機が、千歳基地に行ったり、新田原基地に行って訓練をしたり、逆に嘉手納飛行場や、岩国飛行場の米軍の飛行機が、三沢に来て訓練することがあるという理解でいいのですね。また、今回の訓練の参加規模はどれくらいだったんでしょうか。通常、三沢基地で行われている訓練との違いはどのようなものでしょうか。

齋藤局長:
 はい。今回の訓練の規模ですが、米軍からは、F−15戦闘機が12機程度、人員は約300名程度が参加しており、AWACSという早期警戒管制機も初めて参加しました。航空自衛隊からは、三沢基地所属のF−2戦闘機が4機、千歳基地所属のF−15戦闘機が4機参加しています。訓練は、太平洋側にある三沢東方空域や日本海側にある秋田西方空域で行われました。今回の訓練内容は「戦闘機戦闘訓練等」と言いまして、戦闘機相互間で空中戦の各場面における戦闘要領の演練を行いました。戦闘機戦闘訓練等と言いましても、なかなか分かりにくいと思いますが、訓練には、「慣熟飛行」と「防空戦闘訓練」に大別されており、「慣熟飛行」は、日米共同訓練の安全かつ円滑な実施のため、飛行場周辺の飛行要領及び離着陸の慣熟等を行うもので、防空戦闘訓練は、戦闘機部隊、航空警戒管制部隊等が連携して、戦闘機等を要撃する訓練を行うものです。
  訓練移転には、「タイプT」と呼ばれる1機から5機の米軍戦闘機が1日から7日間参加するものと、「タイプU」と呼ばれる6機から12機の米軍戦闘機が8日から14日間参加するものがあります。訓練に当たっては、毎年の部隊の訓練計画・訓練状況等を勘案した上で、規模を決定し、特定の基地に偏ることがないように米側と調整をしております。

パ−ソナリティ−:
  三沢市周辺には、三沢基地のほかに確か、三沢対地射爆撃場もあると思いますが、そこでの訓練は行ったのですか。

齋藤局長:
  今回の訓練では、三沢対地射爆撃場での訓練は実施しておりません。折角ですので、この訓練移転において、三沢対地射爆撃場が使用されることとなった経緯もお話しをしたいと思います。従来の訓練は、戦闘機同士のいわゆる空対空の戦闘訓練ですが、日米はこれを拡充して、さらに沖縄の負担を少なくすることも考慮して協議を重ねてきました。この結果、航空自衛隊の三沢基地か千歳基地に米軍機がやってくる共同訓練では、青森県六ヶ所村にある三沢対地射爆撃場という施設で、空対地、すなわち、戦闘機から地上を攻撃する訓練も実施することで合意し、具体的には、例えば、海兵隊の岩国基地に所属するFA−18という戦闘機が、航空自衛隊との共同訓練のために三沢基地にやってきた場合はF−2戦闘機と,千歳基地にやってきた時はF−15戦闘機と空対地の訓練を実施することとなるわけです。三沢対地射爆撃場を使用した空対地射爆撃訓練は平成26年6月の訓練移転で初めて実施されたところです。
  このように申し上げると、やってくるのは岩国の飛行機で、沖縄とは関係ないようにも思われるかもしれませんが、実は、岩国の戦闘機による空対地訓練は、嘉手納基地に移動して、沖縄の離島にある訓練場を使って実施していたので、三沢飛行場で実施される分については、沖縄の負担軽減につながっているわけです。
 この他に、平成22年5月の「2プラス2」共同発表において、
政府は、二国間及び単独の訓練を含め、米軍の沖縄県外への移転を拡充することやグアム等の日本国外への訓練移転を検討することの決意を表明し、平成23年1月及び10月の合同委員会において、嘉手納基地における更なる騒音軽減を図るため、訓練移転先地として新たにグアム島を追加することを日米間で合意しており、これまで20回以上の訓練移転が実施されています。

パ−ソナリティ−:
  この訓練移転により、沖縄の目に見える負担軽減に結びついているんですね。また、グアム島でも、訓練移転をされているのは初めて知りました。具体的に、これまで国内外でどれくらいの訓練移転が行われているんでしょうか。

齋藤局長:
  これまでの訓練移転の実績ですが、国内における訓練移転については、平成18年度から開始され、昨年までに41回実施されています。このうち、三沢基地への訓練移転は7回目で、嘉手納飛行場からは3回、岩国飛行場からは4回行われています。
  逆に、三沢飛行場から他基地への訓練移転は平成19年度から行われており、昨年までに9回実施されました。内訳は、百里基地で2回、小松基地で4回、築城基地で2回、千歳基地で1回行われています。
  グアムでの訓練移転は平成23年度から計25回行われており、そのうち三沢飛行場からの訓練移転は4回行われています。現在、三沢飛行場に展開中のEA−18Gグラウラーについても、平成27年2月以降、グアムで2回の訓練移転を実施しています。

パ−ソナリティ−:
  はい。このような訓練移転が、全国各地でかなりの回数行われていることがよく分かりました。これだけ訓練移転が行われていると、地元の負担も大きいですね。東北防衛局ではこうした訓練移転について、どのような対応をされているんでしょうか。

齋藤局長:
  はい。訓練期間中は、東北防衛局が三沢事務所内に現地連絡本部を設置し、市民からの問い合わせや苦情の対応、事件・事故等の処理等に迅速に対応できるよう、連絡体制を整備し、万が一事件・事故が起きた場合の連絡体制の強化を図り、関係地方公共団体への対応、騒音測定などや米軍への支援を実施したところであります。
  また、この訓練移転は駐留軍等の再編の一環として行われているものですが、これを受け入れていただいた青森県三沢市、東北町、六ヶ所村の住民の方々への影響の増加の程度に配慮し、再編特措法に基づき、各自治体に再編交付金を交付しています。
 この再編交付金は、広場や公園整備などのハード事業や、小学生・幼児の医療費助成などのソフト事業など、柔軟かつ幅広く使えることから、各自治体において、住民の方の生活の利便性の向上や、産業の振興、地域の発展のための、さまざまな事業に御活用いただいているところです。


パ−ソナリティ−:
  はい。本日は、「訓練移転」について、東北防衛局の齋藤局長からお話を伺いました。どうもありがとうございました。

齋藤局長:
  はい。こちらこそ、ありがとうございました。

 

 

 
  
 
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