自 衛 隊 百 科
(7月放送内容)



テ−マ:東北管内の防衛施設について



パ−ソナリティ−:
 本日は、「東北管内の防衛施設」についてお話を伺いたいと思います。齋藤局長、よろしくお願いします。


齋藤局長:
 よろしくお願いします。

パ−ソナリティ−:  
 東北地方には、たくさんの防衛施設があると思いますが、今回、紹介していただくのはどのような防衛施設なのでしょうか。


齋藤局長:
  はい、まず、防衛施設には陸・海・空の自衛隊や技術研究本部の施設と米軍施設などがあり、その種類も駐屯地、演習場、飛行場、港湾、試験場など色々あります。また、東北防衛局管内においては、すべてを合わせますと約260の防衛施設があります。その中で今回は当局管内に所在する米軍施設で、青森県にあります米軍三沢基地についてお話をしたいと思います。米軍三沢基地は、青森県の三沢市と東北町に跨がって所在しており、面積は、約1,600ヘクタール、滑走路は約3,050mあり、北部防衛の要としての重要性を有しており、日米共同の実を最高度に発揮しうる基地であります。
  これまでの三沢基地の歩みを申しますと、昭和13年に旧日本海軍が建設に着手し、昭和17年に三沢海軍飛行隊の飛行場として開設され、終戦に至るまでパイロットの教育訓練施設として使用されていました。
  終戦後は米軍に接収され、滑走路、燃料タンク、格納庫、兵舎等の施設が建設され米空軍が配置されました。その後、昭和26年5月朝鮮動乱が勃発したため、米軍の主要基地であった三沢基地は、当然のことながら大きな影響をうけ、基地の整備が行われました。
  さらに昭和28年、超音速ジエット戦闘機F-1000を有する第21戦術戦闘航空団を編成し、一段と基地機能が強化整備されました。

  その後、昭和45年、在日米軍の縮小計画が発表されたため、翌46年には三沢基地に配備されていたF−4Dファントム戦闘機を主力とする第416戦術戦闘飛行中隊等3個飛行中隊が米本国及び韓国へ移動し、RF−4Cファントム偵察機1個中隊は沖縄へ移駐し、三沢基地からは全ての戦闘機部隊が撤収したのですが、その4年後の昭和49年には、米海軍のP3Cオライオン対潜哨戒機が移駐してくるとともに、米空母ハンコックの艦載機A4スカイホ−クが飛来し、三沢基地の近傍にある三沢対地射爆撃場での演習、また、空母ミッドウェ−の艦載機A4スカイホークによる三沢飛行場での夜間離発着艦訓練(タッチ・アンド・ゴー)を実施しています。この夜間離発着艦訓練は、夜間の騒音が相当激しいことから、現在は硫黄島で行われていますが、現在、三沢飛行場は天候状況などにより硫黄島で飛行訓練ができない場合の予備飛行場となっております。この訓練が行われるにあたっては、三沢市などから三沢飛行場での訓練中止について、毎回、要請されているところです。なお、平成13年度以降は、三沢飛行場は使用されておりません。
  さらに現在も配備されているF16戦闘機は、昭和60年7月から配備が開始され、昭和62年7月には、米空軍第432戦術戦闘航空団の2個飛行中隊が配備され、三沢基地の管理運営は同航空団に引き継がれました。平成3年には、同航空団は第432戦闘航空団に改編され、平成6年からは第35戦闘航空団となり、現在に至っています。

パ−ソナリティ−:
  そうなんですね。三沢基地の歴史のようなものが、とてもよく理解できました。三沢の基地には、米軍だけでなく、航空自衛隊も配備されているんですよね。 

齋藤局長:
  はい、三沢基地は、航空自衛隊の中でも、唯一の日米共同使用航空作戦基地でもあります。昭和33年に北部航空方面隊司令部が発足し、在日米軍と共同使用を開始しました。
  さらに昭和36年には北部航空施設隊、北部航空警戒管制団が配備され、昭和46年の米空軍の全面移駐に伴い、米軍から航空管制権を引継ぎ、同年、八戸基地からはF−86戦闘機を主力とする第81航空隊が移駐し、昭和53年には、愛知県にある小牧基地の第3航空団が三沢基地に移駐し、初の国産戦闘機であるF−1支援戦闘機を主力とする2飛行部隊の「第3航空団」が北部航空方面隊の隷下に再編成されました。
  また、平成13年からは第3飛行隊では、F−1支援戦闘機から日米で共同開発されたF−2支援戦闘機へ機種更新され、もう一つの第8飛行隊は、平成21年にF−2支援戦闘機への更新を完了しました。また、平成29年度以降、最新鋭機のF−35Aが三沢基地に順次配備されていく予定です。

パ−ソナリティ−:
 米軍と日本の航空自衛隊の戦闘機が一緒に配備されているということですが、三沢市の周辺での騒音等はいかがでしょうか。

齋藤局長:
 夜間については、米軍、自衛隊とも特別な場合を除いて控えているようですが、それでも三沢市やその周辺市町村での騒音は、大変なものです。
  そこで、防衛局としては、騒音被害については、例えば個人住宅の防音工事を行うなどの対策を行っています。このような周辺地域における騒音対策等については、別の機会にお話しをしたいと思います。三沢市には三沢基地のほか、三沢飛行場の北方約18km、太平洋に面した三沢市の北東端及び隣接の六ヶ所村の東南端に跨がって三沢対地射爆撃場が所在しています。この三沢対地射爆撃場は、旧海軍航空隊が天ヶ森射爆撃場として開設、終戦後米駐留軍に接収されたもので、その後施設区域が拡張されて、面積は約0.767ヘクタールあります。本施設は、空対地射爆撃場としては本土唯一の施設でその重要性は、非常に高いものです。

パ−ソナリティ−:
  その他に三沢基地の特徴のようなものを紹介いただけますでしょうか。

齋藤局長:
  そうですね。三沢飛行場には、米空軍のF−16デモンストレーションチームというものがあり、太平洋地域において実施される航空祭や他の関連行事に参加させています。平成7年11月から同基地の第35戦闘航空団(第14飛行隊)を新チームの本拠地として発足しました。同チームは、パイロット1名及び支援隊員で構成されています。
  その他に、米軍再編に係る訓練移転というものがありまして、沖縄の嘉手納飛行場、三沢飛行場及び岩国飛行場の3つの米軍施設からの航空機が、北海道千歳、青森県三沢、茨城県百里、石川県小松、福岡県築城及び宮崎県新田原の航空自衛隊基地への移転訓練を実施しています。
  これまで三沢基地での移転訓練では、平成19年7月、平成20年7月、平成21年7月、平成22年2月及び10月そして平成26年6月の計6回の訓練移転が行われています。
  東北防衛局は、これまでの三沢飛行場での訓練移転においては、訓練に係る情報収集、関係機関への情報提供、事件・事故等への対応及び騒音測定を実施するため、訓練期間中には、三沢防衛事務所内に現地連絡本部を設置し、対応をしています。
  また、三沢飛行場では、昨年、無人偵察機グローバル・ホークの一時展開が行われました。今年も7月上旬より4機が一時展開する予定です。現在、グアム島のアンダーセン米空軍基地を拠点に運用しているグローバル・ホークですが、夏季においては、台風など悪天候の影響によりその活動が制約を受けています。三沢飛行場に一時展開することで、より安定した運用が確保され、米軍の情報収集能力が一層向上し、これによりアジア太平洋地域における米軍の抑止力の維持・向上につながり、我が国の安全並びに地域の平和及び安全の維持に寄与しています。
  また、三沢飛行場では現在、米海軍EA−18Gグラウラーが展開しています。この展開は、米海軍の航空部隊を約6か月単位で前方展開する計画の一部であり、日本の防衛及びアジア太平洋地域の平和及び安定の維持への米国のコミットメントを示すものとの説明を米側から受けています。
 このように三沢飛行場では、米軍の航空機が頻繁に飛行し、また多数の米軍人等も居住していることから、東北防衛局は、これまでも米側に対し、運用の安全管理や規律の維持などについて万全を期するよう求めていますが、今後も引き続き求めていくことはもちろんのこと、航空機騒音等による地元住民の皆様への対策については可能な限り行っていきたいと考えております。

パ−ソナリティ−:
   はい、今回は青森県三沢市にあります、三沢基地についてお話を頂きました。齋藤局長、本日は貴重なお話し有り難うございました。

齋藤局長:
こちらこそどうも有り難うございました。

 




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