自 衛 隊 百 科
(3月放送内容)



テ−マ:震災から4年を経て



パ−ソナリティ−:

 今月の11日をもち、平成23年3月の東日本大震災から早いもので4年の歳月が経ちましたが、本日は齋藤東北防衛局長から「震災から4年を経て」と題しましてお話をお伺いしたいと思います。本日もよろしくお願いいたします。


齋藤局長:

 よろしくお願いいたします。


パーソナリティー:

 東日本大震災から4年の歳月が経ち、この時期に合わせてマスコミでは、震災の被害を振り返る番組や、被災地で復興に努力している地元の方々の様子などを伝える番組などが放映されています。
 他方では、昨年11月に自衛隊主催で行われた大規模な震災対処訓練「みちのくアラート2014」。こちらには、東北6県の多くの地方公共団体や国の行政機関、民間の業者等が参加しました。
  東北防衛局においても、この「みちのくアラート2014」に参加されたんでしょうか。


齋藤局長:

 はい、東北防衛局においても、昨年11月6日から9日において実施された東北方面総監部主催の「みちのくアラート2014」に参加いたしました。この訓練は一人でも多くの生命を救うために、多数の国・自治体・関係機関の参加を得て行われたものです。
  本訓練においては、東北地方で初めて沖縄米海兵隊所属のオスプレイが飛来し、本訓練に参加することになったことを受け、自衛隊と共に各県、市町村及びその他の関係行政機関への説明を実施いたしました。また、訓練期間中の6日及び7日には東北防衛局でも併行して震災対処訓練を実施し、個々の職員の震災対応能力の向上や自衛隊や関係行政機関との連絡体制の強化等を図ったところです。
  東日本大震災から4年、被災された方々の中には未だ各地に避難されている方々もおられますが、各地域における復興が一日も早くなされることを、心からお祈り申し上げたいと思います。
  近年、時間の経過と共に、被災地以外では震災に対する意識や関心が少し風化してきているようにも思われます。
 
以前報道で拝見しましたが、震災後に被災地に行った学生達が帰る際、ボランティアセンターの方々に自分達に出来ることは何かと聞いたところ、ボランティアセンターの方々から返ってきた言葉は「忘れないでほしい」だったそうです。
 
他方、私ども防衛省・自衛隊は、東日本大震災の発災当初から、被災者の救助に全力で取り組み、平成23年12月の原子力災害派遣の終結に伴い、活動を終了いたしました。この間、被災者の生活支援、行方不明者の捜索、福島第一原子力発電所事故への対応など、延べ約1千66万人の隊員が従事し、未曾有の事態に防衛省・自衛隊が一体となって取り組んだところであります。
 
防衛省・自衛隊といたしましては、4年前の震災から得た反省の教訓を忘れることなく、高い防災意識を維持しつつ、一方で地元の方々と日頃から顔の見える交流を図りながら、いざという時には一番頼りになる組織になれるよう日々訓練等を重ねているところです。   


パーソナリティー:

そうですね。震災以降、やっぱり自衛隊は最も頼りになる力強い存在ですね

 
齋藤局長:
  はい、私どもといたしましては、そのように思って頂ける方がいらっしゃることは大変喜ばしいことだと思っております。自衛隊や在日米軍と地元地方公共団体や地域住民とをつなぐ、いわゆるパイプ役という重要な役割を担っている私ども東北防衛局としては、今後も引き続き、各種事態において自衛隊や在日米軍が的確に対処できるよう、市町村などの関係行政機関との連携を一層強化していきたいと思います。


パーソナリティー:

そして、斉藤局長、たしかここが地元、東北の御出身でしたよね。

 
齋藤局長:
 はい、私の出身は山形です。震災当時は東京にいたのですが、妹夫婦が宮城に住んでおり、その安否を大変気にしながら勤務していたのを昨日のことのように思いだします。
  被災された方々は、震災の記憶について様々な想いをお持ちだと思いますが、我々は各種機会を捉えて、震災の記憶が風化しないよう努めなければならないと思っています。


パーソナリティー:

 ところで、局長は、昨年仙台に赴任された時ですね、震災に対する思いとはどのようなものだったのでしょうか。

 
齋藤局長:
 私は、震災発生時には、自衛隊の救援活動や東北防衛局の震災の対応に直接関わる部署にはおりませんでしたが、発生後直ちに防衛本省において、それらの部署をサポートする配置に着きました。東北の状況については、いつも気にしておりましたところ、昨年7月に東北防衛局に勤務することになったものです。
  着任の挨拶のため、関係市町村等をまわらせて頂きましたが、その際、多くの方々から自衛隊の活動に対する感謝の言葉や励ましの言葉を賜りまして、私としても身の引き締まる思いをしたところです。
  また、その後、被災地を見て回りましたが、本当に建物が全く無い、あっても骨組だけが残っているという状況や一面更地となっている状況を目の当たりにして絶句し、被害の大きかった地域の復興は、まだまだこれからだなという思いを強くいたしました。
  このような状況をみて私としては、とにかく、自分のできることは何でもやろうという思いに駆られたところです。
  防衛省・自衛隊としては、東日本大震災から得られた災害等に関する多くの課題などを防災訓練に積極的に取り入れ、大規模地震などの事態に際し、迅速かつ的確に災害派遣などを行うための能力を維持・向上することを目的として各種防災訓練を実施するとともに、地方公共団体による様々な訓練に参加し、災害対処能力の実効性確保に努めてまいる所存です。


パーソナリティー:

 今のお話しを伺って、同じ東北人として、非常に心強く感じます。


齋藤局長:

 当局では震災後も、様々な手段で震災に係る情報発信を行っています。例えば、当局のホ−ムページには「東日本大震災における東北防衛局の活動記録」を掲載しております。
  この活動記録は、東北防衛局管内での震災対処活動の状況や局が実施した技術支援業務などの記録、そして震災対処活動に携わった職員のそれぞれの思いを載せておりますので、機会があったら是非ご覧になってください。
  また、昨年10月9日に岩手県滝沢市において「災害と自衛隊の関わり」をテーマとした防衛セミナーを開催しております。開催後に実施したアンケートによりますと自衛隊の活動がよく理解でき、災害派遣の質の高さや、御苦労が多かったことなどの意見が多く寄せられております。
  更に、今月の3月13日には、震災により甚大な被害を受けた宮城県東松島市において、「今後の航空自衛隊と松島基地」と題しまして防衛セミナーを開催いたしました。
  このように東北防衛局では、防衛政策や自衛隊の活動状況などについて、広く地域住民の皆様の御理解と御協力を得るため、自衛隊の各部隊等と連携の上、東北各地において防衛セミナー等を開催することとしております。これらの防衛セミナーの開催状況は随時HPにアップいたしますので、御覧頂ければ幸いです。

パーソナリティー:

最後になりますが、震災時における東北防衛局の対応等についてもお話願いたいと思います。

齋藤局長:

東北防衛局の業務の中には、東北管内に所在する防衛省行政財産の管理や、先程申し上げたとおり、自衛隊や在日米軍と地元地方公共団体や地域住民との連絡調整に係る業務などがあります。
  これらの特徴を生かして、災害時には例えば、地方公共団体や地域住民のニーズに応じて、東北防衛局が防衛省行政財産として管理している土地などの使用を許可したり、あるいは、救援活動を行っている自衛隊及び在日米軍と市町村等との連絡調整を行うことなどが想定されます。 また、東北防衛局には、建築や土木、設備などの技術的な識見を有した職員がおりますので、被災した施設の危険度診断や技術的なアドバイスも可能であるものと思料しております。

パーソナリティー:

い、有り難うございました。大規模震災への対応に関しては、引き続きよろしくお願いいたします。本日はどうも有り難うございました。


齋藤局長:

  はい、こちらこそ、どうも有り難うございました。


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