自 衛 隊 百 科
(2月放送内容)



テ−マ:平成27年度防衛予算について



パ−ソナリティ−:

 自衛隊百科のコーナーです。このコーナーでは、毎月1回、東北防衛局の齋藤雅一局長にお越しいただいて様々なお話をいただいております。局長、本日もよろしくお願い致します。


齋藤局長:

 よろしくお願い致します


パーソナリティー:

  

では、早速ですが、何についてお話しをいただけるのでしょうか。


齋藤局長:

 先週の14日に平成27年度の政府予算案が閣議決定されましたので
今回は防衛予算案についてお話しをしたいと思います。


パーソナリティー:

 平成27年度防衛予算案の規模はどのくらいでしょうか

齋藤局長:
 はい、防衛関係費としては、4兆9,801億円と過去最高額を計上しておりまして、対前年比で953億円、2.0パーセントの増加となり、3年連続の予算増加となっております。


パーソナリティー:

 平成27年度防衛予算案の注目すべき点というのはどういったところなんでしょうか。


齋藤局長:

 はい、平成14年度以降、防衛予算は減り続けていましたが、平成25年度からは3年連続で増額となっております。その背景としましては、国民の生命・財産、領上・領海・領空を断固として 守り抜くために、平成25年12月17日に閣議決定された、概ね10年後までの中長期的な視点で日本の安全保障政策や防衛力の規模を定めた指針である「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」や、この防衛計画の大綱に基づいて5年ごとの具体的な政策や装備調達量を定めた「中期防衛力整備計画」に基づき、新たに導入することとされた航空機などの装備品の取得を含め、幅広い後方支援基盤の確立に配慮しつつ、高度な技術力と情報・指揮通信能力に支えられ、ハード及びソフト両面における即応性、持続性、強靱性及び連接性も重視した「統合機動防衛力」の構築に向け、引き続き防衛力整備を着実に実施するとの考えの下、予算化しているところです。
 また、各種事態における実効的な抑止及び対処並びにアジア太平洋地域の安定化及びグローバルな安全保障環境の改善といった防衛力の役割にシームレス、すなわち、切れ目なく、かつ機動的に対応し得るよう、統合機能の更なる充実に留意しつつ、特に、警戒監視能力、情報機能、輸送能力及び指揮統制・情報通信能力のほか、島嶼部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、宇宙空間及びサイバー空間における対応、大規模災害等への対応並びに国際平和協力活動等への対応を重視して、防衛力を整備しようとしているものです。

  また、格段に厳しさを増す財政事情を勘案し、我が国の他の諸施策との調和を図りつつ、一層の効率化・合理化を徹底しようとしております。


パーソナリティー:

なるほど。ほかに何か注目すべき点はあるのでしょうか。

 
齋藤局長:
  はい、日本の周辺海空域における安全確保のため、広域において常続監視活動を行い、各種兆候を早期に察知する態勢を強化するために、新たな装備品として、潜水艦の探知等を行う現有のプロペラ機P−3Cの後継機として、探知識別能力、飛行性能、情報処理能力、攻撃能力等が向上したジェット機P−1を20機を3,504億円をかけて一括調達する計画です。長期契約によるコスト削減のメリットを生かして、年々5機ずつ調達を繰り返す場合に比べ、約417億円の節約になります。  また、現有のプロペラ機P−3Cの探知識別能力を向上させるため、レーダーや赤外線探知装置の性能向上に必要な器材の整備・改修を、10億円をかけて実施する計画です。 ヘリコプター関係では、潜水艦の探知等を行う現有のヘリコプターSH−60Jの後継として、潜水艦探知能力や攻撃能力が向上したヘリコプターSH−60Kを2機、138億円をかけて取得する計画です。
  さらに、広域における常続監視能力を強化するため、滞空型無人機(グローバルホーク)の遠隔操作のための地上装置などシステムの一部の取得も計上しております。
このグローバルホークは、三沢基地にも飛来し、昨年9月の三沢基地航空祭において展示が行われ沢山の観客を集めています。加えて、海上からの安全確保のため、防空戦闘を重視して開発されたいわゆるイージス・システム搭載の護衛艦1隻の建造と2隻目のイージス・システム等を合わせて調達する経費として、1,680億円を計上しており、実質的には、イージス・システム搭載護衛艦の2隻の建造に着手できることで、調達コストの低減にも繋がるわけです。


パーソナリティー:

なるほど。どんどん性能も良くなって、頼もしいですね。護衛艦以外
に潜水艦はどうですか。

 
齋藤局長:
 潜水艦については、1隻建造するための経費として643億円を計上しております。先程、御紹介いたしました、平成25年12月17日に閣議決定された「防衛計画の大綱」において、潜水艦を16隻から22隻体制へ増勢して、周辺海域の安全確保に努めることとされており、平成27年度においても、潜水艦1隻を建造することとしております。


パーソナリティー:

 はい、わかりました。そのほかには何かありますか。

 
齋藤局長:
 更に、島嶼部に対する攻撃に対応するため、常続監視体制への整備として、新たな沿岸監視隊について与那国島に新編・配置するための宿舎用地取得等の経費2億円、航空優勢の獲得・維持のため、F−35Aと呼ばれる戦闘機6機の取得費1,032億円、現有のF−15戦闘機8機の改修費101億円、現有のF−2戦闘機の空対空戦闘能力向上のための機体改修費2億円などを計上しております。また、南西地域における防空態勢の充実のため、F−15の部隊である、築城基地の第304飛行隊を那覇基地に移動させ、2個飛行隊に増強し、仮称ではありますが、新たに第9航空団を新編することや、救難ヘリコプターUH−60J 1機の取得費49億円、輸送機C−130Hへの空中給油機能付加改修に必要な部品等の取得費6億円を、それぞれ計上しています。そして各種事態への実効的な抑止力及び対処のために、ティルト・ローター機5機の取得経費として516億円を計上しております。このティルト・ローター機については、オスプレイ(V−22)といいますが、各種事態への対処の一環として有効に活用されております。また、昨年11月に実施された震災対処訓練「みちのくALERT2014」にも米海兵隊のオスプレイが参加し、その災害対処能力がいかんなく発揮されたところです。陸自のCH47JA型輸送ヘリの輸送能力を補完・強化するものとして期待の新装備です。その他、防衛力整備の注目としては、弾道ミサイル攻撃への対応として2,449億円、各種人工衛星を活用した情報収集能力や指揮系統・情報 通信能力の強化のための宇宙関連経費については340億円、サイバー空間における対応としての関連経費としては91億円、その他、各種の災害に際して、十分な規模の部隊を迅速に輸送・展開するための大規模災害等への対応経費なども計上しているところです。
  また、防衛施設と周辺地域との調和を図るため、基地周辺対策を着実に実施するとともに、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするための施策を推進する経費である基地周辺対策経費として1,195億円や、防衛施設の借料等の経費として1,382億円などを計上しています。東北防衛局としても、基地周辺対策には、しっかりと取り組んでいく所存です。 最後になりますが、防衛省改革として、統合運用機能を強化するために、統合幕僚監部への部隊運用に関する業務の一元化、及び防衛省内の調達、研究開発等に係る装備取得関連部門を集約・統合した外局として「防衛装備庁(仮称)」を新設するなどの、組織改革関係の経費についても計上しているところです。


パーソナリティー:

  はい、3.11の東日大震災でも自衛隊の方々の御支援があったわけですが、そういった災害があった際も迅速に対応するように予算化されているんですね。よく分かりました。

今日は、平成27年度の防衛予算案に関してのお話を伺いしました。

過去最高額の4兆9,801億円が計上されているということなんですが、私達の安全・安心のために沢山の対策が考えられているというのが分かりました。齋藤局長、また次の機会に何かありましたらお話を伺いたいと思います。本日はありがとうございました。


齋藤局長:

 こちらこそどうもありがとうございました。



TOPページへ