防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(11月放送内容)



 

テ−マ:防衛問題セミナー

 

 

パ−ソナリティ−:

 
 今日の話題は何についてでしょうか。  

齋藤局長:
 
  今日は、さる10月9日に岩手県滝沢市の滝沢ふるさと交流館チャグチャグホールで開催した防衛問題セミナーについてお話ししたいと思います。
 
この防衛問題セミナーとは、全国に8つある地方防衛局が、それぞれの担当地域において、安全保障や防衛問題についての理解を深めていただくために実施しているものです。私たちの担当する東北6県においても、2007年以降精力的に開催しておりまして、今回で26回目を迎えました。
  今回の会場がある滝沢市には、陸上自衛隊岩手駐屯地、岩手滝沢基本射撃場、岩手山中演習場が所在しており、これら施設の安定運用に多大なご協力を頂いています。当地での防衛セミナーは平成22年の12月に続き、2回目の開催となりました。
 
前回の滝沢市でのセミナーは「自衛隊における国際平和協力活動と災害派遣活動」をテーマに実施し、約160人の方にお集まりをいただいたのですが、実はその時、私は防衛省の国際協力課長として講師にお招きいただきました。
 
その滝沢市で、今回は主催者として防衛セミナーを開催できたことには、何か不思議なご縁を感じずにはいられません。 そして今回、「災害と自衛隊の関わり」をテーマに、岩手大学地域防災研究センター教授の越野修三氏と岩手駐屯地司令の松本英樹1等陸佐を講師に招いて講演をしていただきました。
 


パーソナリティー:

 
 その狙いはどのあたりにあるのですか?


齋藤局長:

 
  自衛隊施設の周辺にお住まいの方々は、防衛問題に対する関心も高いと思いますので、防衛全般に関する重要な政策課題ですとか、安全保障に関するさまざまな話題を提供することは有意義だと思っています。また、こうした方々は、地元の部隊なり演習場なりの日常的な活動は見聞きする機会は多いと思うので、そうした活動の全体的な位置付けや背景などについても理解を深めていただければと考えています。特に今年は、火山の噴火や台風などの自然災害が頻発し、また3.11の記憶も残る中で、自衛隊の災害派遣についての防衛問題セミナーの開催は時宜を得たものであったと考えています。開催地やテーマについては今後とも、よく検討していきたいと考えています。  

パーソナリティー:
 
 では、今回の滝沢市のセミナーなんですが、どのようなテーマで議論が行われたのでしょうか。  


齋藤局長:

 

 はい、今回第1部として、越野教授からは、「東日本大震災における自衛隊との連携 」について講演していただきました。
  越野教授は、自衛官であった時代に阪神・淡路大震災、また、東日本大震災時には、岩手県の総合防災室防災危機管理監として、それぞれ震災対応の最前線で対応されたご経験から、報道などでは知り得ないような、非常に興味深いお話をしていただきました。
 
特に、岩手県において防災訓練などによる連携の強化を平素から図っていることや、県の防災担当者と県警、そして自衛隊などの防災関係者の方々が、定期的にノミニケーションも含む「平素から顔の見える付き合い」を通じた交流を図っていること、また、震災時、女性に対しては入浴後に化粧水や乳液などを提供するなど、女性自衛官の意見を取り入れた活動を行って大変感謝されたといった“岩手モデル”と言われる新しい自衛隊の支援の形が作られたといった話には大変印象深く感じました。
  越野教授からは講演の最後に、救援活動中に、自衛隊員と地域の方々が交流している写真を紹介していただきました。「自衛官は子供の笑顔とありがとうに弱い」という言葉があったのですが、お子さんと自衛官が笑顔でふれあっている写真や、地域の方々が涙をぬぐって見送りをしている写真などは、自衛隊と地域の絆を象徴している、大変素晴らしい写真でした。

 


パーソナリティー:

 

 なるほど。それはとても興味深いお話ですね。

 

齋藤局長:
 

  そして第2部ですが、松本司令から「陸上自衛隊の災害派遣」について講演をしていただきました。
  陸上自衛隊が各種の事態の発生に迅速・的確に対応するため、平素から人員約2,850名、車両約610両、ヘリ約30機が災害派遣即応部隊として初動対処にあたれる態勢をとっていることや、東日本大震災においては、滝沢市に所在する岩手駐屯地が災害派遣活動の拠点となって、派遣部隊の後方支援や物資輸送の中継点などとして、多くの活動を支えることができたことを説明していただきました。また、地域と深い関わりを持つ各駐屯地や分屯地は、事態対処上の拠点のみならず、防衛基盤育成の拠点という重要な役割を保持しているというお話もありました。
  このほか、岩手駐屯地の態勢・沿革、あるいは過去の岩手県内の災害派遣活動実績ですとか、自衛隊への災害派遣の法的な枠組みに至るまで、大変丁寧に説明していただきました。そして、松本司令からも講演の中で、岩手県など自治体の防災訓練に積極的に参加し、なおかつ警察のバイクを自衛隊機で輸送する訓練を実施したことなど、自治体、関係機関との連携が重要であるというお話があり、お二人の講師ともに災害救援活動における、地域間の平素からの連携強化の重要性を強調されていました。
  その意味では“ノミニケーション”で繋がっている岩手県の防災力は、相当なものと言えるかもしれませんね。
  なお、会場には滝沢市の柳村典秀市長にもお越し頂きました。柳村市長からは、丁寧なご挨拶とともに、セミナーの最後までお付き合いもいただきました。この場をお借りして、改めて御礼申し上げたいと思います。

 

パーソナリティー:
 
 ところで、セミナー全般についてですが、聴講された方の反響は如何でしたか。  

齋藤局長:
 

 平日の木曜日夜の開催だったのですが、会場には約150人の方にお越しをいただきました。お忙しい中来場頂いた皆様には改めて感謝申し上げます。講演に対する質疑の時間では、多くの方々からさまざまな質問、御意見等をいただき、大変良い議論が出来たと思っております。
  さらに、参加して頂いた方を対象に実施したアンケートの結果を見ますと、自衛隊の活動がよく理解でき、災害派遣の質の高さや、ご苦労が多かったことなどの肯定的な意見が多く、今後においても、このようなセミナー開催を希望する意見が多数寄せられた一方で、映像だけでなく、「資料として欲しかった」、あるいは、「若年層の参加も望ましい」など、セミナーの運営への意見もありました  。これらは、次回以降への教訓にしまして、よりよいセミナーを目指して改善していきたいと思います。

 

パーソナリティー:
 その次回なんですが、どこで、どのようなセミナーを実施予定とされているのでしょうか。

齋藤局長:
 来年2月頃の開催を目指し、場所等については現在検討中です。決定し次第、東北防衛局のホームページなどでお知らせします。どこで実施しても、無料のイベントですので、ふるってご参加いただければと思います。また、今回や過去のセミナーも含め、実施後にはホームページに議論の内容などを公表していますので、そちらもご覧いただければと思います。一人でも多くの方々に東北防衛局のHPにアクセスして頂ければ幸いです。

パーソナリティー:
 本日も貴重なお話、防衛問題セミナーについてお話を伺いました。有り難うございました。

齋藤局長:
  こちらこそ有り難うございました。
 
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