自 衛 隊 百 科
(5月放送内容)



テ−マ:ブルーインパルス



パ−ソナリティ−:

  自衛隊百科のコーナーです。このコーナーでは、毎月1回、東北防衛局の中村吉利局長にお越しいただいて様々なお話をお伺いしております。局長、本日もよろしくお願い致します。
 中村局長、今日は、若い女性とお二人でいらっしゃっていますが、どのようなお話を伺いできるのでしょうか。


中村局長:

 今日は、山形の東北六魂祭で飛行展示をすることになった、航空自衛隊ブルーインパルスについてご紹介したいと思っています。
 そこで、地元山形県出身で、昨年東北防衛局に就職した東海林さんも交えて、お話を進めていこうと考えています。
 まずは、自己紹介からお願いします。


東海林事務官:

初めまして。ただいま紹介にありましたとおり、将棋の駒生産量日本一を誇る、山形県天童市出身の東海林と申します。
 4月1日より総務部総務課に勤務しておりますが、昨年度は調達部土木課に勤務しておりました。今年で2年目ということで、まだまだ未熟ですが、精一杯頑張りますのでよろしくお願いいたします。


中村局長:

  今、調達部土木課という部署の名前が出てきましたけれども、震災で大変な被害を受けた松島基地、ブルーインパルスの母基地ですけども、ここを復旧するのに大きな役割を果たし、震災2年後のブルーインパルス帰還にも貢献しました。
 もちろん、ブルーインパルスが松島基地に戻ることができたのは、航空自衛隊をはじめとする関係者の大変な努力があったからこそですが、帰還するための基盤を調達部は作ったと言っていいと思います。そのあたりを少し説明してもらえますか。


東海林事務官:

はい。松島基地は東日本大震災の大津波により、基地全域が水没するという甚大な被害を受けました。その教訓をもとに、駐機場及び格納庫を約3m高台化するという大規模な工事を行うこととなりました。格納庫の方の工事の内容は、約3100uのブルーインパルス格納庫を地上からジャッキアップした上で、従来の場所から62m水平移動するといういわゆる曳家工事を行い、盛り土をした後で元の場所にもどすというものです。
 この工事は、自衛隊施設としては、過去に前例のない規模であり、既設建物を変形させずに移動することから大変難しい工事でした。前年10月上旬に完了し、現在は津波の被害にあった駐機場などの工事を続けています。


中村局長:
  ご承知のとおり、工事のための資材ですとか技術者が不足している中での大プロジェクトで、何とか帰還は実現したものの、未だ工事は完了していませんので、引き続き、様々な努力が必要なんです。一方、ブルーインパルスの帰還には、地元の熱い期待が関係者にとっての大きな推進力になっていました。
 普通、飛行場周辺にお住まいの方々にとって、騒音の元になる航空機は迷惑なものですけれども、松島基地周辺では、むしろ、早期帰還が地元から求められたものなのです。本当に有り難いことだと思います。


パ−ソナリティ−:

 兎にも角にもブルーインパルスが帰ってくると、地元にとっても、復興のシンボルになりますね。


中村局長:

 帰還した時のイベントでも、地元の方々が口々にそのようにおっしゃっていました。
 さて、ブルーインパルスというと、どうしてもアクロバット飛行だけに目がいってしまいがちですので、その歴史などについて、簡単にご紹介しておきたいと思います。
 現在、ブルーインパルスが使用している航空機は、T−4という、国産の練習機がベースになっているんです。ちょうど、パイロットの養成課程で、プロペラ機の段階が終了して、ジェット機になる初めての機体です。ちなみに、ライバルである、アメリカ軍のブルーエンジェルスやサンダーバーズは、それぞれF-18、F-16という現役の戦闘機をベースにしたものを使っています。
 このブルーインパルスはT−4なんですけれども、ブルーインパルスとしては3代目で、初めての展示飛行は、1996年です。その前の2代目にもT−2という練習機が使われていました。初代はF86という戦闘機で、初の展示飛行は今から50年以上前の1960年でした。有名な東京オリンピックでの五つの輪ですとか、大阪万博のExpoはこの機体のF86が描いたものです。


パ−ソナリティ−:

 はい、最初は戦闘機でも、ここ2代が練習機が使われているのは、ちょっと意外ですね。
 
東海林事務官:
 私は、ブルーインパルスは、実戦で使われている戦闘機が飛んでいるのだろうと思ったのですが、練習機が使われていると知って、ちょっと意外な感じがしました。


中村局長:

 はい、練習機とはいっても、基本的な部分に手を加えずに、アクロバット飛行にも使えることからも、国産のT−4が大変優秀な機体と分かると思います。
 さて、これに乗り込むパイロットなんですけれども、全国の部隊から選抜された精鋭がそろっていて、T−4がドルフィンと呼ばれることもあるため、ドルフィン・ライダー、イルカ乗りという通称で呼ばれています。一方、ブルーインパルスでは、ドルフィン・キーパーと呼ばれる支援、整備のスタッフの存在も忘れてはなりません。整備に関しては、1チーム3名が常に同じ機体を管理をして、完璧な整備をしているというわけなんです。


パ−ソナリティ−:

 普通の飛行機でも整備は大変重要ですけど、ブルーインパルスでは、その何倍も気をつけて整備しないといけないのでしょうね。
 ところで、テレビの番組で、ブルーインパルスが、ハート型に矢を描いたところを見ましたが、山形でもやってくれるんでしょうか。


中村局長:

 あれは、ヴァーティカル・キューピッドと言われるパフォーマンスで、その名の通り、垂直方向にしか描けないようなので、地上からではよく見えません。ハート型だけだったら水平方向にも描けるようですが、いずれにしても、当日のプログラムは検討中ということだろうと思います。


パ−ソナリティ−:

 キューピッドの矢はなくても、蒼空の衝撃は私のハートを射貫いてしまうことは間違いないと思います。今から、本当に楽しみにしています。
 
東海林事務官:

 私も未だブルーインパルスのアクロバット飛行を実際に見たことがないので、見てみたいです。


中村局長:

 水を差すようで申し訳ないんですけども、ブルーインパルスは、気象条件で飛べないこともあるので、24日の天候がよくなるように、皆さんで祈っていてください。


パ−ソナリティ−:

 はい、じゃあてるてる坊主を。


中村局長:

 雲の高さですとか、視程、すなわちどれだけの距離をクリアに見渡せるのかという要素もあるってことをお忘れなく。


パ−ソナリティ−:

 分かりました。そういったところも、晴れるように、てるてる坊主をいっぱい吊しながら当日をお待ちしたいと思います。はい。今日は有り難うございました。


中村局長:

 こちらこそ、有り難うございました。


パ−ソナリティ−:

 自衛隊百科のコーナーでした。インタビューアーは北本沙希がお送りしました。



TOPページへ