自 衛 隊 百 科
(2月放送内容)



テ−マ:防衛計画の大綱と第6師団



パ−ソナリティ−:

では早速ですが、本日の話題は何についてになりますか?


中村局長:

 はい。私たち東北防衛局では、去年の暮れから今年の1月にかけて山形県を含めて東北地方の各地の自治体に対して、3つの文書の説明を行ってきたんですね。この3つの文書というのが、国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、平成26年度からの中期防衛力整備計画といういずれも去年の1217日に閣議決定、後は国家安全保障会議で決定された文書なんです。その中の防衛計画の大綱では、特に陸上自衛隊について大幅な改編が予定されているために、いずれも郷土の部隊はどうなるのだろうというような質問を各地で受けたんです。そこで今日は、今後神町の第6師団を含む東北地方の部隊がどのように変わっていくのかについて、お話ししたいと思います。


パ−ソナリティ−:

日本の南西方面を重視して自衛隊の体制が大きく変わることは、年末からの報道で見たことはあるんですが。中国の動きなどから、そのような変更は何となく理解出来るのですが、逆に私たちの地元のと、言うんでしょうか、部隊が九州や沖縄の方に行ってしまって、大丈夫なのだろうかと不安になってしまう面もあるんですが。


中村局長:

実は、同じような疑問、質問が多くの自治体からありましたので、そこからお話ししたいと思います。その前に、今回の「大綱」でキーワードになっている、「統合機動防衛力」についてご説明したいと思います。陸海空防衛力の統合運用の重要性についてはこれまでも何度かお話ししてきたと思いますけれども、これに迅速な展開を意味する「機動」という言葉が組み合わされているんですね。ココロとしては、色々な活動を統合的かつ機動的に開始することによって、様々な事態に素早く対処することはもとより、必要な活動を継続的に、かつ状況が変化しても継ぎ目なく実施出来るようにしていこうとするものです。
 実は、これまでの「大綱」にも、「動的防衛力」という考え方があったのですけど、こちらは、防衛力を様々な事態で「使う」ことを重視したものであったのに対し、「統合機動防衛力」は、統合運用の考え方をより徹底して、装備ですとか人の面、これらの質と量の確保も重視することにしています。このため、新しい装備品の導入ですとか情報通信能力、さらには人事施策といったような後方支援基盤の確保までも視野に入れたものになっているんですね。


パ−ソナリティ−:

様々な事態とおっしゃいましたが、災害での救援活動も「統合機動防衛力」の守備範囲に含まれているのでしょうか。


中村局長:
 「統合機動防衛力」は、本格的な有事はもちろんのこと、平常時の活動、さらにはよくグレーゾーンと言いますけれども、平時と有事の間の事態にも隙間なく対応していこうというものです。したがって、当然のことながら、「統合機動防衛力」は、災害救援活動にも対応したものです。この点は、「大綱」の本文にも、「統合機動防衛力」に基づいて構築された防衛力の役割の一つとして、大規模災害等への対応が掲げられていて、初動対応に万全を期すこと、必要に応じて対処態勢を長期間に亘って維持をすること、被災した方のニーズに丁寧に対応すること、関係機関と連携、協力するようなことなどが掲げられています。


パ−ソナリティ−:

 なるほど、災害救援活動にもしっかりと目配りをして、ちゃんと私たちのことも考えてくれていることが分かりました。


中村局長:

 それでは次に、自衛隊をどのような体制にしようとしているのか、神町の第6師団にどのような影響があるのか、ご説明したいと思います。時間も限られていますので、今日は引き続き陸上自衛隊を中心にご説明して、その他は次回以降に改めてご説明したいと思います。
 まず、陸上自衛隊については、全体的に
3つの大きな改編があるんです。一つ目は、陸上自衛隊全体を束ねる陸上総隊を新設すること、二つ目は師団と旅団の一部を機動部隊にすること、そして三つ目は戦車と火砲を集約、削減をするということなんです。
 一つ目の陸上総隊の新設なんですけれども、現在は全国に5つある方面総監部が防衛大臣ですとか統合幕僚長の指揮命令のもとに、それぞれ活動しているんですけれども、色々な調整や連絡等が複雑になりがちだったんです。そこで、海上自衛隊と航空自衛隊にある中央司令部的な陸上総隊を新設をして、もっとシンプルかつスムーズにしようというのがコンセプトです。その一方で、地域を担当する方面総監部、もちろん東北方面総監部も維持されて、日常的には地域の部隊を管轄していくことは変わりありませんけれども、指揮命令系統が若干変わってくるということになると思います。
 次の機動部隊の方ですけれども、
8つある師団の内の3つ、6つある旅団の内の4つ、合わせて7つを機動部隊に変更します。機動部隊は、事態が発生した場合に、いち早く駆けつける部隊で、これにマッチした装備と部隊編成に今後改編をされていきます。第6師団は実は機動部隊に改編される予定なんですね。
 機動部隊への変更の中では様々な事業が予定されているんですけれども、目玉の一つとして機動戦闘車の導入があります。機動戦闘車というものは、イメージとしては戦車のキャタピラ部分これが大きな8つの車輪になったものということなんですけれども、これによって普通の道路も走れますし、また、コンパクト化することで航空自衛隊の輸送機で運ぶこともできるようになるわけです。第6師団の戦車部隊も、機動戦闘車の部隊へといずれ変更される予定です。

 
実はその戦車部隊なんですけれども、全国に今700両あるんですけれども、これを300両に削減をして、基本的に九州と北海道に集約しますので、東北地方を含めて、将来的には本州から戦車はいなくなることになります。なお、さっき申し上げました機動戦闘車ですけれども、将来的に300両装備しようとしているので、戦車が減るのにある程度置き換わるものと言えます。また、火砲も集約をされて、600から300へと削減されるので、こちらの影響もあるかと思います。


パ−ソナリティ−:

 はい。戦車が近い将来にいなくなってしまうのは少し寂しい感じがしますが。それと、少し心配なことがあるんですけれども、第6師団が機動部隊として他の地域で活動する場合、この付近に陸上自衛隊がいなくなってしまって、震災などがあった場合にあまりよくないことになってしまうのではないでしょうか。


中村局長:

 第6師団のどの程度が他の地域に展開するのかは事態によると思いますけれども、陸上自衛隊が地域から全くいなくなることは考えにくいと思います。いずれにしましても、第6師団が他の地域に展開するなどして不足する部分については、東北方面隊のもう一つの師団である青森の第9師団やその他の部隊が、バックアップをすることになります。陸上自衛隊は、こうした訓練も従来から実施しているので、余りご心配には及ばないと思います。


パ−ソナリティ−:

 はい。わかりました。


中村局長:

 今日は、第6師団を中心にお話しをしましたけれども、今回の防衛計画の大綱には、他にも色々と重要な変更が含まれていますので、また回を改めてご説明をしたいと思います。


パ−ソナリティ−:

 はい。よろしくお願いします。本日は有り難うございました。


中村局長:

こちらこそ、どうも有り難うございました。


 


 


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