自 衛 隊 百 科
(11月放送内容)



テ−マ:小川第6師団長へのインタビューA



パ−ソナリティ−:

自衛隊百科のコーナーです。このコーナーでは、毎月1回、東北防衛局の中村吉利局長にお越しいただいております。今週は、先週からお送りしております、陸上自衛隊第6師団小川清史師団長と東北防衛局中村吉利局長との対談をお送りします。


中村局長:

 本日は、先月に引き続きまして小川第6師団長にインタビューを行いたいと思います。師団長、本日もよろしくお願いいたします。


小川第6師団長:

こちらこそ、本日もよろしくお願いします。


中村局長:

前回は、師団長のご経歴ですとか、プライベートな面を中心に伺いましたが、本日は防衛に対するお考えですとか、師団長としての決意を中心に伺ってまいりたいと思います。先月も申し上げたんですけれども、非常に陸上自衛隊活躍の場というのは広がってきているように思います。安全保障環境というのは、わが国を取り巻くなかで、非常に厳しさを増しておりますし、様々な面で災害の多い日本ですので、災害派遣という場面もかなり多くなってきているところであります。そのなかで、第6師団は山形・宮城・福島といった南東北3県の陸上の守りを担任をされているということでございますけれども、今日の安全保障環境ですとか、非常に、まだまだ災害も多いというなかで、第6師団が果たすべき役割というのは、どのようにお考えでしょうか。


小川第6師団長:

今、おっしゃっていただいたように、宮城・山形・福島の3県を担当しますが、当然、災害派遣、それから防衛警備といった、両面があります。その一方で、この3県を担当するとともに、第6師団というのは、今回伊豆大島に先月から派遣をさせていただきましたが、他の地域へも行って、そこで活動するということが求められます.この地元に対してしっかりと根付いて、地域との協力関係をしっかり築かなければいけないという側面と、他の地域に行っても十分発揮できるだけの応用力、これを持たなければいけないということを、強く感じている。そういったことを果たさなければいけない師団というふうに、まさに認識しております。


中村局長:
 確かにおっしゃられる通り、地元密着した部隊であるということは、もう、言うまでもないと思いますけれども、さまざまな地域、国内のみならず国際的な任務でも期待されているということですので、そういった地域でも滞りなく活動できる基盤を整えていくというのは、非常に重要な側面ではないかというように感じます。そうした中で、そういった部隊を育成をしたいという師団長として、部隊の統率の方針ですとか、そういった方針の理由といった面をお聞かせいただけますでしょうか。


小川第6師団長:

 私が着任して、着任日の訓辞で述べました統率方針、それから要望指向、それは1つにまとめまして、「正しい命令を正しく出せ」ということを言ってきております。この理由としましては、第6師団というのは作戦基本部隊といわれる。これが一番まとまって動く、作戦をする、基本となる部隊です。それが、しっかりと機能するというのは、指揮官の言った命令が確実に実行される。指揮官が判断したこと、決断したことが現場で行われる。これが、すべてとなります。そうすると、部下が、部下部隊がしっかりと達成のできる。しかも、必要なことをしっかりと命ずる。それは、正しい命令でなければいけません。それから、必要な情報を全部盛り込んだうえで判断した、妥当な命令でなければいけません。次にその命令が正しくとも、次、出し方が間違っていると、これはうまく実行されません。出し方といいますのは、自衛隊は指揮命令系統がしっかりしてる組織ではありますが、他の、私の下には連隊があったり、大隊があったり、その下には中隊がある。この指揮命令系統をきちんと守る。それから、そのタイミングをきちんと図って動けるだけのタイミングで命令を出してやるというふうに、正しい命令でなければいけませんし、出す命令の出し方は正しく出してやらなければ、この組織体というのはうまく動かない。それを徹底して、私もやりますし、部下にもそれを求める。これが、師団を強くするし、地元との密着した任務にも対応する。それから、他の所へ行ったときにも応用の利く行動ができるようにしていく。この最も基本がこれであるというふうに、私は確信して、これは30年以上の自衛官生活で、これに尽きるということで、今回、指揮官に上番した際にこれを統率方針として掲げたものです。


中村局長:

 ありがとうございます。「正しい命令を正しく出せ」という、非常に単純そうに聞こえますけども、その裏にあるものというのは、多く深いものを感じました。師団長のおっしゃられた、「正しい命令、それを、正しく出せ。タイミングですとか、指揮命令系統を守りつつ」というものの難しさというのもあると思います。そういったことがきちんとした形で行われるというのも、日頃厳しい教育訓練を行って、士気高い部隊を維持するということがあってこそだろうというように感じております。若干話は戻る形になって恐縮なんですけれども、先ほども伊豆大島への派遣が行われていたというお話がありました。東北地方では、東日本大震災もありましたし、災害救援活動に対する自衛隊の活動というのは非常に高いものがあるというのは、私、こちらに来る前からも、また、こちらに来てからも感じています。そのような中で、第6師団として、今後、どのような面で能力向上を図ろうとしているのか伺いたいと思います。


小川第6師団長:

能力向上というのは、まず、何をしなければいけないのか。英語で言うと、to doです。どのような状態でなければいけないかというのは、to be。ですから、われわれは一体何をすべきなのか。それで、何に備えるかで、どういう状態に持って行くかということを考える順番だと思うんですけど、強く役に立つ師団になるには何ができなければいけないか。それは期待に応えなければいけないというのはあるんですが、考える災害、それから、それによる人命救助がどのような形でということを、できるだけ具体的に考える。それから、地域の防衛警備、治安的な問題が起きたり、他の国からの何らかの脅威がある。この具体的に想定をしながら、どこまで何をするかということも、具体的に自分で想定をする。この場を使って、つまり、あくまでもこれはシミュレーションですが、シミュレーションをできるだけ具体化し、現実に起こり得そうなことを想定して、それでトレーニングに臨んでいくということを繰り返す。これで、そのときに良いところ悪いところをみながら、また次へ進んでいくというふうに、隊員のレベル、それから、指揮命令系統、命令の中身、出し方、これが良いかどうかを常にチェックしながら、それを反復し繰り返して、レベルを上げていくということを繰り返す。私のところではこのような形でレベルを上げていかなければいけないと考えています。


中村局長:

 はい。分かりました。東北地方に限らず日本の各地で、最近は自衛隊を中心にして、自治体なども含めた災害派遣訓練というものが行われてきております。そういったなかで、精強かつ士気の高い自衛隊と一緒に訓練をするというのは、訓練に参加していただいている他の組織にとっても非常に有益なことだと思いますし、双方が刺激をしあって、様々な形での能力向上を図られていけば、より良いのではないかというように思っております。そうしたなかで、具体的な場面を想定をして、様々な演練を行っていくというのは、自衛隊の最も得意とするところではないかと思いますので、今後ますます、第6師団が師団長の指揮統率の下でそういった能力を高めていっていただければというように思っております。最後になりますが、放送をお聴きの山形の方へのメッセージをお願いしたいと思います。


小川第6師団長:

 この放送をお聴きの皆様、先月、今月と、お話を聞いていただきましてありがとうございました。陸上自衛隊、なかなか、何だか良く分からないという声も聞きますし、われわれの訴え方もなかなか下手だったというのは、思ってるところです。これは、国民の皆様方から出していただいた税金で作った組織で、国家の財産です。できるだけ、分かりやすく情報を提供したいと思いますし、見に来ていただいた方には分かりやすく広報したいと思いますし、また、来年4月には記念日行事として神町駐屯地で記念日行事を行います。また、各、私の6師団管内の駐屯地で記念日行事がありますので、是非お越しになって、見て・聞いて・触れて、隊員と話してみて下さい。「陸上自衛隊って、こうゆうものなのか」ということを是非理解を深めていただけると、有り難いと思っています。どうも、ありがとうございました。

中村局長:
 こちらこそ、どうもありがとうございました。先月、今月と、2ヶ月にわたりまして、小川第6師団長にお話を伺いました。今日は、どうもありがとうございました。

小川第6師団長:
 
 ありがとうございました。 


パーソナリティ−:

 本日の自衛隊百科のコーナーは、陸上自衛隊第6師団小川清史師団長と、東北防衛局中村吉利局長の対談をお送りしました。自衛隊百科のコーナーでした。


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