自衛隊インビテ−ション
(10月放送内容)



テ−マ:自衛隊とは@ 自衛隊の組織



パ−ソナリティ−:

 局長には以前、三自衛隊の特色についてお話しをいただきました。でも、そもそも自衛隊ってどんなところなのか、実はあまり知らない方もいるように思います。もちろん、ラジオをお聞きの方の中には、すごく自衛隊に詳しい人もいらっしゃるかも知れませんが、そうでない人も多いと思います。そこで、自衛隊全体について、分かり易くお話ししていただければと思います。よろしくお願いします。


中村局長:

 はい。よろしくお願いします。確かに、災害派遣などを通じて、自衛隊が活動している姿ですとか自衛隊に関する報道を目にすることも多くなったと思いますけれども、自衛隊の全体像について、まとまったかたちで目にする機会はそれほど多くはないんではないかと思います。また、よく知っているよ、という人にとっても、改めて全体像を押さえてもらうと、より一層理解が進むんではないかなと思います。今日は、自衛隊の組織について、限られた時間ですけれども、お話をしたいと思います。その上で、組織といいますと俗な言葉ですけれどもヒト・モノ・カネですから、次回以降、それらについてもお話ししていきたいと思います。早速ですけど、自衛隊の本当のトップって誰かご存じですか?


パ−ソナリティ−:

 はい。だいぶ前ですけが幕僚長かなと思っていましたけれども、先日お会いした防衛大臣かともその後思っていたんですね。でも、先の震災で総理大臣だと私は認識いたしましたけれども。

中村局長:
 はい、そうですね。正しい認識をお持ちだと思います。法律上、内閣総理大臣が自衛隊に対する最高指揮監督権を有するという形になっているんです。例えば、防衛出動と言ったような「出動」と名の付く、武力攻撃などの重大な事態に対処するものは総理大臣が、その他の、例えば災害派遣などは防衛大臣が命令することになっています。また、防衛大臣が命令するものでも、総理大臣の承認が必要な活動がいくつかあります。と言うわけで内閣総理大臣が本当のトップという訳なんです。それでは先ほどおっしゃった統合幕僚長これを制服のトップ、陸海空の幕僚長をそれぞれの自衛隊のトップと、ニュースなどでよく聞きますけど、この4人の幕僚長の役割って分かりますか。

パ−ソナリティ−:
 幕僚長、統合幕僚長は統合かなということと。陸海空はそれぞれの幕僚長ということは文字で分かるんですが。

中村局長:
 はい。各幕僚長といいますのは、防衛大臣のアドバイザー的な立場でして、指揮官ではないんです。と言いましても、全自衛隊で、いわゆる4つ星、外国の軍隊でいう大将のランクは幕僚長4人だけです。この中でも、統合幕僚長は各自衛隊の幕僚長経験者が就いてきましたので、制服のトップと言えますし、各自衛隊の幕僚長も、4つ星はそれぞれ一人だけなので、それぞれの自衛隊のトップと言うことになるんですね。次に、自衛隊の部隊の組織について、東北地方を例に話しをしたいと思います。
 まず、陸上自衛隊ですけれども、全国にそれぞれの地域を担当する方面隊と言うのが5つあって、東北6県を担当するのは東北方面隊になっています。宮城野区の苦竹に東北方面総監部がありますけれども、こちらは方面隊の司令部的存在になっているんです。実戦部隊として宮城県を担当しているのは、南東北3県を担当する第6師団なんです。山形県東根市の神町と言うところに駐屯しているんですけれども、多賀城の普通科連隊ですとか、大和町の戦車大隊も第6師団の一部になっているんです。東北方面隊には、第6師団の他に、青森に駐屯する第9師団というものがあって、こちらは北東北の3県を担当しています。その他、柴田町の船岡の第2施設団なども東北方面隊の構成部隊で、東北6県における陸上自衛隊の施設面を担当します。
 海上自衛隊なんですけど、合計で5つの地方隊があって、それぞれ日本周辺の海域を分担しています。県内に部隊はありませんけれども、宮城県沖の海域は、神奈川県にある横須賀地方隊の担当になっています。おとなりの山形県ですけれども、こちらの海域は日本海側、京都府にある舞鶴地方隊の担当と、海で繋がっている近くの地方隊が担当なっているんです。ちなみに、青森県むつ市には大湊総監部が所在していますけれども、ここは青森県以北の海域を担当しています。なお、海上防衛の中核である護衛艦なんですけれども、自衛艦隊の所属になっていて、方面隊総監部のある港に分散をして配置をされるという形になっています。
 つぎ、航空自衛隊なんですけれども、こちらは全国を4つの空域に分けていて、北部、中部、西部この3つの航空方面隊と、南西航空混成団が、それぞれの空域の防衛を担当しています。では質問です。宮城県の防空を担当しているのは、このうちのどこでしょうか。

パ−ソナリティ−:
 さきほど、南3県、北3県と言うような東北を2つに分けていたので、その辺もちょっと考えると難しいですけれども、全国を4分割と言うような考え方だと、北海道と東北、そして関東と中部あたりでしょうか、そして関西圏と中国地方ですかね、四国と九州と言うと、北部でしょうか。


中村局長:

 そう言う認識を持たれてる方が多いんですけれども、実は正解は、宮城県の防空を担当するのは、中部航空方面隊なんですね。こちらの司令部は埼玉県の入間市というところにあります。戦闘機の部隊は茨城県の百里基地と石川県の小松基地に所在をしています。青森県三沢市には北部航空方面隊の司令部があるんですけれども、実は北部航空方面隊というのは、東北の北部3県と北海道の防空を担当すると言うことになっているんです。宮城県ですと東松島市に松島基地がありますけれども、こちらは、全国のパイロットの養成ですとかブルー・インパルスの訓練といったことを担当していて、これは静岡県の浜松市に司令部のある航空教育集団の構成部隊になっていて、防空をするという任務はありません。このあたり、言葉だけでは分かりづらいと思いますので、防衛白書の巻末の地図ですとか表をご覧いただくと良いかと思います。


パ−ソナリティ−:

 ありがとうございます。東日本大震災の時には、10万人以上の自衛隊の方々が災害救援のため活動していたと聞いていますが、どのような部隊が参加していたのでしょうか。

中村局長:
 東日本大震災では、実は自衛隊の歴史上初めて、3自衛隊の部隊を統合した部隊が編制されております。統合任務部隊と言っていますけれども、陸海空それぞれの部隊が、中心となる部隊に全国から部隊を追加する形で編制されてまして、陸上自衛官である東北方面総監が指揮官として全部隊を束ねていました。と、言葉では簡単ですけれども、これだけの規模の部隊ですので、それも以前ご紹介したとおり、さまざまな点で相違のある3自衛隊の部隊を整然と活動させることは大変なことだったと思います。これも日頃からの訓練と、隊員個々が高い士気を持っていればこそと思います。また、自衛隊の勢力の半分近くが被災地の災害救援に投入される一方で、いつも通り、日本の防衛に必要な活動というものも行わなければならなかったわけですから、残された部隊の苦労も大変なものだったと思います。こういった、災害の救援活動という、皆さんの目に付きやすい活動だけではなくて、色々なところで日本の防衛のために地道な活動もやっているんだということも理解して欲しいなと思います。


パ−ソナリティ−:

 はい、今日は、本当に沢山の方が勉強になったなと思います。私も色々とありがとうございました。今日は、自衛隊全体の組織についてお話を伺いました。次回以降は、自衛隊のヒト・モノ・カネについても伺っていきたいと思います。ありがとうございました。

中村局長:
 ありがとうございました。
 
 

 
 

 
 

 
 

 
 
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