自 衛 隊 百 科
(4月放送内容)



テ−マ:自衛隊の組織



パ−ソナリティ−:

自衛隊百科のコーナーです。このコーナーでは、毎月1回、東北防衛局の中村吉利局長におこしいただいて、様々なお話をいただいています。局長、本日もよろしくお願いいたします。


中村局長:

 はい。よろしくお願いします。


パ−ソナリティ−:

局長には、以前、三自衛隊の特色についてお話をいただきました。そもそも、自衛隊はどんな所なのか、あまり知らないようにも思うんですが、もちろん、ラジオをお聴きの方のなかにはすごく自衛隊に詳しい人もいるかもしれないんですが、そうでない方も多いと思います。そこで、自衛隊全体について、今日は、分かりやすくお話をいただければなぁと思うんですが。


中村局長:

はい。確かに、災害派遣などを通じて、自衛隊が活動している姿ですとか、自衛隊に関する報道を目にすることも多くなってきたと思うんですけれども、自衛隊の全体像についてまとまった形で目にする機会というのは、実は、それほど多くないと思います。また、よく知っているよという人にとっても、改めて全体像を押さえてもらうと、よりいっそう理解が進むんじゃないかなと思います。今日は、自衛隊全体の組織について、限られた時間なんですけれども、お話したいと思います。そのうえで、やっぱり組織というのはヒト・モノ・カネですから、次回以降、それらについてもお話をしていきたいと思います。早速なんですが、自衛隊の本当のトップって誰かご存じですか。


パ−ソナリティ−:

 はい。内閣総理大臣です。


中村局長:

 素晴らしいですね。


パ−ソナリティ−:

 ドキッとしました。


中村局長:

はい。法律では内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮監督権を有するというふうになっています。たとえば、防衛出動ですとか出動と名のつく武力攻撃ですとか、非常に重大な事態に対するものは総理大臣が、そのほかの、たとえば、災害派遣などは防衛大臣が命令をするということになっています。また、防衛大臣が命令をするものでも、総理大臣の承認が必要な活動というのがいくつかあるんですね。というわけで、総理大臣が自衛隊の本当のトップということなんです。それでは、自衛隊の統合幕僚長を制服のトップ、陸海空の幕僚長を各自衛隊のトップとニュースなんかでよく聞きますけども、この4人の幕僚長の役割って分かりますか。


パ−ソナリティ−:

 はい。防衛大臣を助ける、補佐するのが仕事ではないでしょうか。


中村局長:

そうですね。簡単に言ってしまうと、おっしゃる通り、各幕僚長は防衛大臣のアドバイザー的立場で、いわゆる、指揮官ということではないんです。といっても、全自衛隊でいわゆる四つ星、外国の軍隊では大将のランクの人は、幕僚長4人だけなんです。このなかでも、統合幕僚長は各自衛隊の幕僚長の経験者がついていますので、制服のトップといえますし、各自衛隊の幕僚長も四つ星はそれぞれ一人だけなので、各自衛隊のトップということになるのですね。次に、自衛隊の部隊のほうの組織について身近な東北地方を例に話をしたいと思います。まず、陸上自衛隊ですけれども、それぞれの地域の陸上防衛を担当する方面隊が全国5つあって、東北の6県を担当するのは東北の方面隊です。仙台にある東北方面総監部は方面隊の司令部的な存在なんです。実戦部隊として、山形県を担当しているというのは東根市神町に駐屯している第六師団なんです。第六師団は、山形県のほか宮城県福島県も担当していまして、これら2つの県に隷下の部隊を持っています。東北方面隊には、第六師団のほかに、青森に駐屯する第九師団があって、こちらは北東北の3県を担当しています。海上自衛隊ですけれども、こちらも合計で5つの地方隊があって、それぞれ日本周辺の海域を分担しています。山形県内には部隊はないんですけれども、海域については京都府にある舞鶴地方隊というところが担当しています。お隣の宮城県なんですけれども、太平洋側にあるということもあって、神奈川県にある横須賀地方隊の担当と、海でつながっているところが担当しています。ちなみに、青森県むつ市には大湊総監部が所在していますけれども、ここは、青森県から北の海域を担当しています。なお、海上防衛の中核であります護衛艦ですね。これは、自衛艦隊の所属で、方面隊の総監部のある港に分散して配置をされているという形になっています。次に、航空自衛隊なんですけれども、ここは全国を4つの空域に分けていまして、北部、中部、西部、この3つの航空方面隊と、南西航空混成団というものが、それぞれの空域の防衛を担当しています。では、質問です。山形県の防空を担当しているのは、このうちのどこでしょうか。


パ−ソナリティ−:
 北部かと思いますが。中部だと、中部ではないでしょうか。

中村局長:

それは、引っかけに掛からなかったですね。はい。正解、中部航空方面隊です。ここの司令部は埼玉県の入間市にありまして、戦闘機部隊は茨城県の百里基地と石川県の小松基地に所在しています。青森県の三沢市に司令部のある北部航空方面隊なんですけれども、ここは東北の北部の3県と北海道の防空を担当しているということになります。お隣の宮城県には松島基地というのがありますけれども、ここは全国のパイロットの養成ですとか、ブルーインパルスの訓練を担当していて、静岡県浜松市に司令部のある航空教育集団の構成部隊となっているんです。このあたり、言葉だけでは非常に分かりづらいと思いますので、防衛白書の巻末の地図や表、これは防衛省のホームページから見ることができますけれども、こちらをご覧いただくといいかと思います。


パ−ソナリティ−:

はい。それでは、東日本大震災のときには、10万人以上の自衛隊が災害救援のため、活動していたと聞いていますが、どのような部隊が参加していたんでしょうか。


中村局長:

はい。東日本大震災では自衛隊の歴史上初めて三自衛隊の部隊を統合した部隊が編成されているんです。統合任務部隊といっていたんですけれども、陸海空それぞれの部隊が中心となる部隊に、全国から追加する形で編成されてまして、陸上自衛官である東北方面総監が指揮官として全体を束ねていました。言葉では、簡単に言ってしまうんですけれども、やっぱり、これだけ、10万人の規模の部隊、それも、以前ご紹介した通り、いろいろな点で違いのある三自衛隊の部隊を整然と活動させるっていうことは、やっぱり容易ではなかったと思います。日頃からの訓練と、やっぱり、隊員個々が高い意識を持っていればこそと思います。また、自衛隊の勢力の半分近くが被災地の災害救援に投入されるということになっていましたけれども、その一方で、いつも通り日本の防衛というものにも必要な活動を行わなければならなかったわけですから、残された部隊の方の苦労というのも大変なものだったと思います。こういった、災害の救援活動という、皆さんの目につきやすい活動だけではなくて、日本の防衛のためには、地道な活動もあるんだということを理解してほしいと思います。


パ−ソナリティ−:
 はい。分かりました。さて、本日の自衛隊百科のコーナーは、自衛隊全体の組織についてお話をおうかがいしました。また、機会があれば今度は自衛隊のヒト・モノ・カネという3つのフレーズも気になりますので、うかがってまいりたいと思います。本日も、東北防衛局の中村吉利局長にお話をおうかがいしました。どうもありがとうございました。

中村局長:
 こちらこそ、どうもありがとうございました。

パ−ソナリティ−:
 自衛隊百科のコーナーでした。
 
 


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