自 衛 隊 百 科
(3月放送内容)



テ−マ:3自衛隊の特色、違いA 階級章



パ−ソナリティ−:

 自衛隊インビテーション。本日のパーソナリティーは、東北防衛局の中村局長と女性自衛官の星川さんです。それでは、よろしくお願いします。


中村局長:

 はい。よろしくお願いします。


星川:

 よろしくお願いします。前回は、各自衛隊の全体的な雰囲気の違いなどについて局長にお話をうかがいました。 今回は、個別の違いについておうかがいしたいと思いますが、まず、自衛官として気になるのが階級章の違いです。基本的に、陸空は肩、海は袖に付いていて、場所も違いますし、デザインも違います。また、陸空の階級章は国によって異なるようですが、海は国際的に同様の階級章を付けていると聞いています。


中村局長:

 はい。そうですね、あの、確かに海軍の階級章というのは、国際的に大体同じものが付いていますので、私のような者でも分かりやすいんですけれども、陸軍空軍については、階級はどうも国別に勉強していかないと分からないような形になっています。で、自衛隊に戻ってなんですけれども、階級の名称ですけれども、日本語では基本的に陸海空で同じになっていますけれども、英語表記にすると陸空と海とで違います。たとえば、キャプテンという階級があるんですけれども、これは陸と空では一尉になりますけれども、海だけは一佐になります。外国でも、大佐がキャプテンということなんですけれども、外国の海軍の大佐で階級をキャプテン(N)と名刺に書いている人がいましたけれども、自分は大尉ではなくて、ネイビーの大佐だということを示すためですね。


星川:

 英語表記にすると、海軍と陸空軍の呼称はまったく異なるのですね。

中村局長:
 はい。それと、陸空軍と海軍とちょっとした違いなんですけれども、指揮官として自衛隊の場合、一番やりがいのある時代は、どの自衛隊でも二佐、陸でいうと大隊長、海でいう艦長、空は飛行隊長ということになるようなんですけれども、どうも、海の艦長だけは別格のようなんです。どういうことかっていいますと、食事は艦長は箸をつけるまでは、他の者は食べることができないですとか、艦長の椅子だけは赤い布が掛かっていて別扱いということになっているようです。これは、二佐の階級の英語表記にも表れているように思います。陸空を英語でいうと、二佐はルテナントカーネル、言ってみると、一佐ですとか大佐の補佐的立場ということになるんですけれども、海はコマンダーまさに指揮官ということになります。


星川:

 同じ階級であっても、海上自衛隊は特別なんですね。


中村局長:

 そうですね。どうも、陸空と海というのはそこに違いがあるような気がしますね。また、次に違いを感じるのは、敬礼の仕方なんです。ちょっと性格が違うんですけれども、陸空は肘を張るという敬礼をしますけれども、海の敬礼は肘を張りません。これは、狭い船のなかで敬礼を交わすためだというように言われています。船つながりで話を飛ばしてしまいますと、どこの自衛隊でも使っているヘリコプター、海の艦載ヘリだけは他よりも発火点の高い燃料を使っているようです。発火点の高い燃料を使いますと、どうしても、燃焼効率が落ちるようなんですけれども、その分だけ安全になるということで、言ってみれば、船の安全を考慮してこうした燃料を採用しているということだそうです。


星川:

 なるほど。ヘリコプターの燃料まで違うとは知りませんでした。


中村局長:

 はい。それと、前回、海上自衛隊の伝統墨守についてちょっとお話をしましたけれども、旧海軍からの伝統による陸空との違いもあります。自衛隊は色々とラッパで号令をかけることがありますよね。陸空とも自衛隊になってこのメロディーというのを新たに作ったものらしいんですけれども、海だけは旧軍と同じものを使っています。また、幹部候補生学校の所在地なんですけれども、海だけは旧海軍兵学校のあった江田島にあります。それと、幹部候補生学校を卒業したあと、陸と空はすぐに部隊勤務になりますけれども、海は約半年の遠洋航海に出ます。これも、伝統という感じですね。


星川:

 聞いた話ですが、海上自衛隊の国旗降下の時間は陸空と違い、旧海軍時代と同じく、日の入り時刻にあわせているそうです。また、ベッドでの頭の位置は陸空が壁側としているのに対し、海は通路側にしている違いがあるそうです。


中村局長:

 あの、それは私も全く初耳でした。さらに、海の関係で二つ申し上げたいと思います。一つ目は、朝の起床なんですけれども、陸と空は普通に起床という号令がかかるんですけれども、海だけは総員起こしという号令がかかるようです。さらに、その5分前には総員起こし5分前という放送が流れるんですけれども、どうもその時点で、起床してはいけないということのようです。その他、海はどんなときでも5分前には準備万端整えろと教えられているようで、これを称して、誰が言ったか、海上自衛隊5分前の原則というのがありますよね。もう一つは、休暇のときの駐屯地、基地からの外出なんです。海では船に勤務している人だけではなくて、陸上に勤務している人も休暇のときは上陸と言うようなんです。やっぱり、海上自衛隊は船なんだなというように思いますよね。


星川:

 海上自衛隊はすべて船での行動を基準としているのですね。


中村局長:

 はい。どうも、陸空と海との違いばかりになってしまいましたけれども、三自衛隊のあいだで作戦ですとか装備が異なることによる違いというものもあります。私が部隊を訪問してまず感じるのは、速度ですとか距離の単位の違いです。陸はメートルが基本で速度も時速何キロということになってますけれども、海空はノーティカルマイルですとかフィートを使っていて、速度はノットになっています。東日本大震災では決めて本格的な統合運用が実施されましたけれども、こうした単位が違っているというのは統合運用の難しさの一端かというように思います。

星川:
 各自衛隊の違いをよく理解することが重要ですね。

中村局長:
 はい。そうですね。話はちょっと変わりますけれども、星川さんは陸の女性自衛官ですので、ワックということになるかと思いますけども、ご承知の通り、海はウェーブ、空はワッフというように言っていますよね。これらはもともと第二次大戦における米軍の女性部隊の略称だったようなんですけれども、自衛隊では陸海空それぞれの女性自衛官そのものを示すものになっていますよね。外国で女性軍人を示す言葉というのは聞いたことがありませんので、自衛隊ではそれだけ女性自衛官が大切で貴重な存在ということなのかもしれません。

星川:
 確かに、そうですね。また、全体では少ないかもしれませんが、先の大震災でも多くの女性自衛官が活躍していました。私も、もっと、頑張らなければならないと思います。

中村局長:
 はい。是非、頑張ってください。こうして並べてみますと、自衛隊と一口に言っても、それぞれの任務作戦の場ですとか、スピード、使用する装備、さらには歴史の違いに由来する違いがあることがわかります。こんなところからも、ラジオを聞いていただいている方々が自衛隊に対する理解を深めていただけたらと思います。2回にわたってのお話、どうもありがとうございました。

星川:
 局長。ありがとうございました。

パ−ソナリティ−:
 ありがとうございました。自衛隊インビテーション、本日のパーソナリティーは、東北防衛局の中村局長と、女性自衛官の星川さんでした。
 
 


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