自 衛 隊 百 科・自衛隊インビテーション
(1月放送内容)



テ−マ:軍隊とファッションB コートなど



パ−ソナリティ−:

 前回はセーラー服で少々話も脱線してしまいましたが、他にも、軍の制服を起源とする服は多数あるということなので、引き続きお話を伺いしたいと思います。


中村局長:

 女子学生の制服の代表がセーラー服であれば、男子は詰め襟でしょうね。これもオリジナルは軍の制服らしいです。ちなみに、今の自衛隊で詰め襟の制服と言いますと、防大ですとか防衛医大の学生を除くと、海上自衛隊の夏服だけと言う事のようです。
 男女ともに用いられる制服としては、ブレザーってありますよね。現在のブレザーの特徴と言いますと、形はダブルで、金属のボタンが付いていて、色はネイビー・ブルーと言うものですけれども、もともとは、ヨーロッパの軍で使われていた、丈の長い騎兵隊服らしいです。これがイギリスにわたって丈が短くなって、徐々に今のスタイルになったようです。そういえば、海上自衛隊の制服も、色は黒ですけど、ブレザー・スタイルになっていますよね。ちなみに、余談なんですけども、濃い紺色のネイビー・ブルー、もともとイギリスの海軍、英語でロイヤル・ネイビーですね、これが制服の色が濃い紺色だったことから来ているらしいんです。ちょっと話を戻しまして、ブレザーの由来なんですけども、これは水兵の制服がなかったという時代に、ブレザー号という軍艦がありまして、その艦長が、女王陛下の閲兵を受けるとゆう時に揃えたのが始まりだという説があります。
 ところで、今の季節、やっぱりコートが必要ですよね。学生がよく着ているピー・コートというのがありますけれども、ダブルでちょっと丈の短いやつなんですけれども、これもイギリスの海軍が発祥のようです。ダブルで右前にも左前にもできますけれども、これは、留めているボタンが取れても逆を前に出せばまた留められる機能なんです。ダッフル・コートもよく学生が着てますけれども、もともと北欧の漁師が着ていたのを海軍が採用して広まったと言う事のようなんです。留め具とループと言われる紐の輪が特徴的なんですけれども、こういったものは、手袋をはめていても着たり脱いだりできるようにするためらしいです。


パ−ソナリティ−:

 なるほど。手袋を私は脱ぐのがめんどくさいなと思って、ダッフルの留め金を止めたりしますけど、元々漁師の方がそう言ったもので使用していたものなんですね。ところで、本日、局長が着ていらっしゃたトレンチ・コートもイギリスが有名ですが、これも海軍が発祥なんですか?


中村局長:

 いえ。トレンチ・コートは陸軍の方なんですね。トレンチと言うのは、もともと、「塹壕」という、地面を掘って敵の攻撃から身を守る溝のことを言っているんです。第一次大戦のヨーロッパでは、沢山の塹壕戦が行われたんですけど、やっぱり寒くて湿気の多いヨーロッパの塹壕では、水や風を防ぐ生地を使って、他にも色々工夫されたこのコートが役に立ったようなんです。工夫の例としては、寒さ対策として、襟の下や手首に付いているベルトを締めると風の進入を防ぐことが出来ます。また、胸のボタンを全て留めることで風の進入を防いで、さらに、右胸の当て布があるんですけど、ここを下ろして留めることで上からの雨の進入を防ぐことができます。
 戦闘面では、腰回りのベルトにアルファベットのDの型をした金具が4つ付いているんですけど、これはもともと手榴弾を吊り下げるためのもだったらしんですね。今となっては、手榴弾はもとより、ここに何かぶら下げると、変な人になっちゃうと思うんですけれども…。肩にストラップが付いていますよね。これは元々、水筒ですとか拳銃を吊り下げていたと言うようなんですけど、実戦で一番役に立ったのは、ここに手を掛けてケガをした同僚を引きずって移動させるのと言う事だったらしいです。言われてみると、そうかな、って感じがしますよね。あと、腰のポケットの部分は、実は入り口がスリットになっていて、下のズボンのポケットに入れているものなどを取り出せるようになっているんですね。腰のベルトを締めると、コートとしてはシャープになって、塹壕のようなところでもすごく動きやいと言う機能があります。 こうして見てみますと、百年前のものでも、現在に十分通用する機能性があって、それ故に根強い人気があることがあると言う事だと思います。


パ−ソナリティ−:

 ファッション性からやっぱりトレンチコートは人気が高いアウターですが、こうやって見ると本当に今もデザインに活かされているものって言うのは、軍の使いやすいものと言うものがあるんですね。ところで、イギリスやヨーロッパの話しが多いんですが、アメリカにはそう言った発祥のものは無いんでしょうか?

中村局長:
 各国の軍に制服が一般化していったのは18世紀からなんで、これはまさに日の沈まない大英帝国最盛期に当たります。その点で、イギリスの影響力が大きかったと言う事だと思います。その点、アメリカの影響力が増してきたのは第一次大戦以降ですので、もう既に制服は一般化したと言う事です。そのため、制服の面で影響力は大きくないと言う事なんですけど、1つ似たようなもので代表例をあげるとTシャツだと思うんですね。今にも通じる、いかにもアメリカ的なものですよねこれは。で、もともとは、海軍が19世紀末の米西戦争、アメリカとスペインの戦争ですね。この頃に下着として採用したものらしいんです。当時から、丸首で、白くて、半袖でコットン製と言うものだったらしいんです。まっと言うことで海軍の白い制服の下に着るのに丁度よかったと言うことだと思います。暑い時は、上着を脱いでも違和感がないという、非常にアメリカ的な実用性もあると言うことです。ところで、このTシャツなんですけど、着る以外にも重要な用途があるらしんですけど、分かりますか?


パ−ソナリティ−:

 えっ?今回もまた手ぬぐいでしょうか?


中村局長:

 それもそうかも知れないんですけれども、もっと重要な、命に関わる用途があるんです。棒の先に白いTシャツを旗のようにくくりつけて振ったら、何という相図になります?


パ−ソナリティ−:

 あっ!白旗を上げるとか、降伏するということでしょうか。確かに、映画か漫画でそんなシーンを見たような気もします。海軍は、そこまで考えて採用していたんですか?


中村局長:

 そのような用途にも使えるということかと思います。


パ−ソナリティ−:

 ところで、外国の話しばっかりなんですが、自衛隊か、もしくは旧日本軍が由来のものはないんでしょうか?


中村局長:

 私は寡聞にして、軍手くらいしか知りません。


パ−ソナリティ−:

 軍手ですか…ちょっとがっかりですね。でも、以前は、自衛隊の制服なんて殆どの人が見たことなかったと思うんですが、災害派遣の時からずいぶんなじみ深いものになって来たと思います。自衛隊にはたくさんの制服があると言うのもお伺いしましたし、探してみると、私たちもかっこいい〜とか、かわい〜とか思うのがきっとあるんだろうな〜と思います。特に、女子の方からも「すごい男前に見える補正がかかる。」と伺ったことはあるんですけれども。
 どこかの駐屯地か基地で、制服ファッション・ショーとかはされていないんですか?


中村局長:

 さて…。どうでしょうかね〜?

パ−ソナリティ−:
 これを聞いてる部隊の方、是非やっていただきたいと思うんですが。もしよろしかったら局長私を推薦していただいて。モデルの方に推薦していただきたいと思うんですが。是非お願いします。

中村局長:
 はい。是非、空挺服で降下と言うことから始めるといいんじゃないでしょうかと思います。今日は有り難うございました。
 
 


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