防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(12月放送内容)



テ−マ:オスプレイA 安全性

パ−ソナリティ−:

では前回は、オスプレイについて、どんな飛行機なのか、また、何故、この時期に配備されなければならないのかについてお伺いしました。今回は、オスプレイの安全性について伺いたいと思います。


中村局長:

その前に前回のおさらいを簡単にしたいと思います。まずオスプレイは、回転翼と固定翼のいいとこ取りをした画期的な飛行機であることこれがまずあります。次に危機に際しての初動対応という、アメリカの海兵隊の任務遂行に不可欠であること、更に、今使っているCH−46というヘリは運用開始から50年を超えて老朽化がすごく進んでいて、もうこれ以上使えないといった3点がポイントになっていました。  もっと言いますと、ここでオスプレイを配備しないと、沖縄の海兵隊が任務を遂行できなくなり、更には日本と地域の平和と安全に悪影響が及ぶと言うことになりかねないと言うことです。


パ−ソナリティ−:

オスプレイを配備しないと色々な問題があることはわかりますが、やはり安全を蔑ろにすべきではないですよね。


中村局長:

 そのとおりですね。オスプレイは、約20年前から開発をしていて。当初は複数の大きな事故がありましたけれども、最初の頃に事故が発生すると言うのははどんな飛行機でも同じことなんです。そこで前回もちょっと話しましたけれども、アメリカは、こうした事故に限らず配備までの間に、小さな不具合があった場合でもその度に改善を加えて、最終的にオスプレイの安全性には自信を持っています。当たり前ですけれども、危険な飛行機を自分の国の軍隊に使わせたりとか、ましてや大統領を乗せたりするようなことはどの国もしませんよね。


パ−ソナリティ−:

そうですね。それにも関わらず、今年は2件の墜落事故が起きていますが。


中村局長:

どんな飛行機でも、絶対に事故を起こさないと言い切ることは出来ないと思います。オスプレイについて言いますと、今年に入っておっしゃったとおり事故が2件ありましたけれども、実はこの内の1件と言うのは、海兵隊のオスプレイではなく、空軍のものなんです。この両者は、大体機体はほぼ同じなんですけれども、使い方が違うんですね。海兵隊はオスプレイを輸送用としているんですけども、空軍は特殊作戦用としていて、より厳しい環境での運用というものが前提となっているんです。空軍は比較的最近オスプレイの運用を開始しているんですけれども。運用開始当初に事故が起こりやすいと言うのは、先程述べたとおりなんです。こういった点で、既にイラクですとかアフガニスタンの実戦、更には要人の輸送にも使っていて、140機、11万時間以上の実績がある海兵隊とはちょっと事情が違うということです。海兵隊のオスプレイについて言いますと大きな事故の発生率は、10万時間当たり1.93件と言うことになっております。これは、海兵隊の全部の飛行機2.45件と言うのを下回っているんです。この1.93について、日本ヘリコプター協会の関係者の方は、一概に比較できないと言っているんですけれども、民間ヘリの平均を下回っていると言うように述べていす。もちろん、事故率が低ければ良いというものでもありませんけれども、事実としてオスプレイは特に危険な飛行機であるという根拠もないんじゃないかなと言うことです。


パ−ソナリティ−:

理屈の上では、特に危険ではないとしても、沖縄の人達を中心に不安感を持っている方と言うのは多いんじゃないでしょうか。


中村局長:

それだからこそ、国内での飛行開始に先だって、日米の専門家の間で、海兵隊だけでなくて、空軍の事故も踏まえた改善策ですとか追加的な安全策を検討して、これを海兵隊に実施させることにしています。両方の事故の原因は、いずれも機体の問題ではなくて、マニュアル通りの操縦が行われなかったことなどによる人為的な要因と言うことが大きいようです、そこでこうしたことが発生しないように、事故を教訓としてマニュアルの改善を行うですとか、訓練を徹底すると言うことなどを合意をしております。なお、この検討には日本の専門家も参加をしていて、米側が考慮していなかったような改善事項も追加しているんです。たとえば、2件の事故はいずれも副操縦士が操縦している時に起こったんですけれども、こんな場合に、機長は従来よりも指揮監督を厳格に行うと言うことを徹底するようにさせています。さらに、日米で協議をしまして、実際の運用に際して、安全運航が更に確保されるよう、このほかにも各種の安全策を行うこととしているんです。例えば、米軍基地周辺での飛行経路や飛行要領を定めるですとか、低空飛行訓練に際しては、日本の航空法に定められた飛行安全高度150メートルを守るですとか、人口密集地上空を避けると言ったことを合意されているんです。こんなふうに、オスプレイと言うのは特段危険なものでないにも関わらず、米側が日本側の意向を汲んで、さまざまな措置を行うこととしているんです。これは前例のない、すごく異例のことなんですね。


パ−ソナリティ−:

なるほど日本がいろいろと努力しているのはわかりますが、アメリカは安全策を必ずしも守っていないとも聞きます。これも、不安感が払拭されない理由ではないでしょうか。


中村局長:

 ただ、合意の違反が確認されたとは聞いていないんです。いずれにしてもそんなことがあれば、日米間で改めて協議することにはなっています。日米でいずれにしましても出来るだけの努力を引き続き行って不安感を払拭していく必要があると思っています。


パ−ソナリティ−:

  分かりました。ところで、低空飛行訓練を東北地方でも実施すると言うことを聞いていますが。


中村局長:

 オスプレイが環境にどんな影響を及ぼすかを検討したアメリカの環境レビューというものが有るんですけれども、この中で全国に6つの訓練ルートが設定されています、そのうちの2つが明らかに東北地方を縦断するかたちになっているんですね。けれどもこういったルートはオスプレイ用に設定されたものではなくて、これまでもジェット戦闘機などが使っていたと言うことなんです。まず、誤解がないようにして欲しいのは、このルートを飛んでいる間ずっと低空飛行でやっているというものではないと言うことなんです。通常は最低安全高度よりも高く飛んで、さらに人里離れたところを飛ぶようですので、飛んだことにも気がつかないことが殆どではないのか。ましてや、市街地の上空を低空飛行することなどは想定されていません。
パ−ソナリティ−:

過度に心配する必要はないということかと思います。この点、もっとお伺いしたいのですが、時間も迫ってまいりましたので、また回を改めてお伺いしたいと思います。

中村局長:

分かりました。よろしくお願いします。


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