防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(2月放送内容)



テ−マ:武器輸出3原則等と素数ゼミ


パ−ソナリティ−:

 防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A、このコーナーでは防衛省・自衛隊や日本の防衛について、詳しく分かりやすくお話をいただいております。今日も東北防衛局の増田義一局長にお越しいただきお話をいただきます。局長、本日もどうぞよろしくお願いいたします。


増田局長:

 よろしくお願いいたします。


パ−ソナリティ−:

 では早速ですが、今日はどういったお話をいただけますでしょうか。


増田局長:

 はい、先日ですね、官房長官談話という形で、武器輸出3原則等が見直しをされたという発表がありました。それで今日はまずこの武器輸出3原則等のですね、話から始めたいと思います。


パ−ソナリティ−:

 はい、お願いいたします。

増田局長:
  この武器輸出3原則等の見直しによりましてですね、防衛装備品等の国際共同開発・生産が可能となりました。但し、相手国がですね、我が国との間で安全保障面での協力関係があって、この共同開発・生産がですね、我が国の安全保障に資する場合のみというふうになっています。まあ当然な話なんですけれどもね。それと、相手国が目的外使用や第3国移転をする場合には、我が国の事前同意を義務付ける等のですね、厳格な管理が行われるということが前提となっています。私は今の東北防衛局長の前職で装備政策課長というものをですね、本省でやっていましたけれども、そのときに、武器輸出3原則等の見直し問題にずっと関与してきましたので、今回の見直しでですね、国際共同開発・生産ができるようになったことについては、非常に感無量の気持ちであります。それで防衛装備品の高度化・高価格化に伴ってですね、国際共同開発・生産が世界の主流になっているんですね。そういった状況の中で、今までこれが出来なくて取り残されて所謂ガラパゴス化の道を歩むのではないかというそういう現実をですね、非常に心配し、歯がゆい思いをずうっとしてきましたんで、今回大変良かったなあというふうに思っております。


パ−ソナリティ−:

 はい、以前ですね、お伺いしたお話で戦闘機の共同開発のお話の最後、ガラパゴス化の道を歩むのではないかという、この懸念、危惧と言うんでしょうか、あったんですけれども、そういったものとも関係がまた出てくるんですよね。


増田局長:

 そうですね、先般、導入が決まりました次期戦闘機ですね、これはF−35に決まりましたけれども、これは9カ国の共同開発によるものですね。日本は武器輸出3原則等の制約がありましたんで、その他の理由もありますけれども、この共同開発に参加していませんでした。ですからこのF−35をですね、導入するに際しては、ライセンス国産をするというふうなことになると思いますけれども、そのためにはライセンス料を払わなければなりませんし、アクセスできる技術も限られてくるわけですね。結局高くつくわけです。ということで、今後はこういったことが改善されるので、まあ良いかなと思います。


パ−ソナリティ−:

 なるほど、これからもまた開発・生産に関して、また違った展望が開けるということなんですね。


増田局長:

 そうですね。それでですね、武器輸出3原則を始めとしてですね、3原則、5原則、7原則と、物事を素数でまとめることが結構多いんですね。17条憲法なんていうのもありますけれども、防衛関係だけをみてもですね、武器輸出3原則のほかにも、自衛権発動の3要件とかですね、非核3原則、あるいはPKO参加5原則とかというのがありましてですね、色々あるわけですが、みんな素数でまとめると、素数はこれ以上割りきれないので、非常に安定性があって、いろいろなことが素数に収束する傾向があるのかなあと思います。だから何でもですね、素数でまとめるということが、収まりが良いということなのかなあと、私は思っているんですけれども。


パ−ソナリティ−:

 考えたことがありませんでしたが、たしかに今お伺いした中でも、素数のものというのは多いんですね。


増田局長:

 そうですね。物事が素数に収束する、従って安定性があるという一つの例を挙げますとね、素数ゼミというのがあるんですけれどもご存じでしょうかね。


パ−ソナリティ−:

 昆虫のセミですか。


増田局長:

 はい、日本のセミは毎年発生しますけれども、素数ゼミというのは毎年じゃなくてですね、13年毎とか17年毎とか素数年毎に発生するセミなんですね。それぞれ13年ゼミとかですね、17年ゼミとか呼ばれていますけれども、こういうのがいます。これは太古の昔は毎年発生するセミであったようなんですけれども、結局異性を見つける確率とかですね、天敵に捕食されない確率なんかを考えますと、より多く自分と同じセミがですね、発生する年、たくさん発生する年に生まれた方が子孫を残すという観点から有利なわけですね。そういうわけで何万年、何億年という長い年月を経てですね、淘汰されまして、13年毎あるいは17年毎という素数年毎に収束していったというふうに考えられています。

パ−ソナリティ−:
 はい、なるほど、日本のセミが生きている期間も一週間、7日間ですので、これもまた素数にもなっているんで、セミっていうのはちょっと素数にも関係が深いですね。

増田局長:
 はい。アメリカの東海岸には17年ゼミというのがいましてですね、17年毎に発生するわけでありますが、ワシントンも東海岸にありますけれども、前回は2004年にですね、17年ゼミが大発生しました。私はその時は既にワシントン勤務から帰国していたんですけれども、家族はまだ残っていましてですね、この17年ゼミの大発生に遭遇したんですね。至る所セミセミセミでですね、大変だったらしいです。木も電信柱も街灯もですね、セミで埋め尽くされてですね、娘たちは学校への登校途中に顔や頭にセミがぶつかってくるので危ないと言っていました。妻はですね、車の運転中にフロントガラスにセミがバンバンぶつかってくるので直ぐにフロントガラスが汚れてしまうと言ってましたですね。あと道路や駐車場は潰れたセミなどの死骸でですね、足の踏み場もないほど埋め尽くされていましてね、異様な臭いがするというようなことを言ってこぼしていました。その17年ゼミの容姿がですね、身体は炭のように真っ黒、目は血のように真っ赤ということでですね、日本のセミに比べてかなりグロテスクなもんですから、娘たちは非常に気味悪がっていましたですね。

パ−ソナリティ−:
 お話だけですけれども、17年に1回の貴重なときなのかもしれないんですが、あまり遭遇はしたくない機会ですね。

増田局長:
 そうですね。ただ悪いことばかりではなくてですね、このセミも食べると意外とイケるそうなんですね。17年ゼミの発生の年だけセミ料理を出すレストランがあるというふうに聞いています。一般家庭でもですね、羽化したてのセミをバターを引いたフライパンに入れて蓋をして炒るんですね、そうするとポップコーンのようにはじけてですね、そうやって食べると結構美味しいらしいです。この食べ方はインディアンが昔からやっていた食べ方らしいんですけれどもね。いずれにせよですね、ワシントンでの次回の17年ゼミの発生はですね、2021年ですね、9年後になります。是非ワシントンのペンタゴン見学かなんかとセットで行ってみてはいかがでしょうか。
今日は、武器輸出3原則の話から、変な話になってしまいましたが、こんなところで。

パ−ソナリティ−:
 はい、素数の話から知らなかったセミの話まで大変幅広く興味深いお話をいただきました。さて、本日の日本防衛Q&Aのコーナーは東北防衛局増田義一局長からお話を伺いました。どうもありがとうございました。

増田局長:
 どうもありがとうございました。
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