防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(1月放送内容)



テ−マ:防衛官僚

パ−ソナリティ−:

 防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A、このコーナーでは防衛省・自衛隊や日本の防衛について、詳しく分かりやすくお話いただいております。今日も東北防衛局の増田義一局長にお話をいただきます。それでは局長本日もよろしくお願いいたします。


増田局長:

 よろしくお願いいたします。


パ−ソナリティ−:

 では早速ですが、今日はどういったお話をいただけますでしょうか。


増田局長:

 はい、国家公務員を志望している学生さんがいらっしゃると思いますけれども、そういう人たちにぜひ防衛省にも目を向けてもらおうと思いまして、今日は、防衛省職員についてですね、どういうことをしているのか、また、どうしたらなれるのかというようなことを話したいと思います。


パ−ソナリティ−:

 はい、お願いいたします。

増田局長:
  最近、新聞等で「防衛官僚」という言葉をよく目にします。「防衛官僚」の定義が厳密にはよく判りませんけれども、防衛省において防衛行政事務にですね、携わっているシビリアンのことを指しているんじゃないかなと思います。私自身もですね、このカテゴリーに属する防衛省職員なんですけれどもね。


パ−ソナリティ−:

 なるほど、それではシビリアンについて詳しくお話を聞かせていただけますでしょうか。


増田局長:

 はい、そもそも防衛省職員定員のですね、約27万人のうち、その大多数が自衛官で、9割以上を占めています。残りのわずか1割に満たない、数にして約2万2千人なんですが、それがシビリアンでして、事務官あるいは技官という肩書でですね、様々な分野で活躍しています。シビリアンには制服はありませんので、背広で勤務している人たちは世間からは背広組と呼ばれるようなこともあります。仕事の内容は、実に様々で、マスコミでもよく取り上げられた震災対応とかですね、普天間問題だけではなくて、国際協力業務とか、インテリジェンス、あるいは装備品の研究開発、防衛施設の整備等々、短い時間では説明しきれないほどであります。職場についても、いわゆる本省である内局とかですね、あるいは地方支分部局である8か所の地方防衛局、あと情報本部、技術研究本部、装備施設本部、防衛監察本部、防衛研究所、防衛大学校、防衛医科大学校、統幕や陸海空各自衛隊など非常に多岐にわたっています。


パ−ソナリティ−:

 わかりました。では実際にはどうすればなれるんでしょうか。


増田局長:

 一般的にはですね、まず、公務員試験を受験して合格することが必要です。国家公務員採用総合職試験、一般職試験といった試験ですね。実は今年度までは、防衛省T種、U種、V種試験という防衛省独自の試験が行われていたんですけれども、来年度からはちょっと変わりまして、語学職と国際関係職を除いて防衛省独自の試験が廃止されました。そのかわり国家公務員採用試験を受験してもらうということになったわけですね。合格者は、防衛省だけじゃなくて他の省庁にも採用される可能性もありますので、選択肢が今まで以上に広がったということになるんじゃないですかね。


パ−ソナリティ−:

 はい、それでは実際に入省した後というのはどういった流れになるんでしょうか。


増田局長:

 入省後はですね、各々どこかの部署に配属されて、いよいよ実務に就くわけですけれども、その際に、初任者研修などというものも行われます。古い話で恐縮なんですが、私が入ったときにはですね、シビリアンといえども部隊の現場を知らなければ仕事ができないということで、初任者研修のプログラムの中に、陸海空自衛隊の部隊をそれぞれ2週間づつですね、合計6週間かけて回る研修が組み込まれていました。当時の官房長が佐々淳行さんで、安全保障の危機管理の専門家を今されていますけれども、その佐々官房長が陸海空の幕僚長にこんなことを言ったんですね、「お客様扱いはせずに、ビシビシ鍛えて下さい。」とこういうふうに言われたものですから、部隊研修ではコッテリ絞られてしまったのを覚えています。


パ−ソナリティ−:

 なるほど、実に厳しい状況で研修を受けていらっしゃったんですね。まず、現場から知っていくというのは、どのような職業でもやはり共通はしているんですね。


増田局長:

 そうですね、それで新人からスタートしまして、各々がその職場において経験を積むにつれて昇進していくわけですけれども、先ほども申し上げたとおり、仕事の内容は様々なものがありますので、短時間で説明するのは不可能ですけれども、私が辿ってきた道をですね、説明しようとすれば一例となるわけですけれども、特に印象深かったのは、対人地雷禁止条約というある意味歴史的な多国間条約があるんですが、それがオスロでですね、締結交渉がありまして、それに日本代表団の一員として参加したこともあります。あとは情報本部でですね、中東情勢の分析の責任者を務めたんですが、その後アメリカに赴任しまして、そこでアルカイダによる9・11テロですね、これに遭遇したこともありました。それとあと、自衛隊のイラク人道復興支援活動でですね、サマーワに行ってポリティカル・アドバイザーとして働いたことなどもあります。ちなみに前職ではですね、防衛生産技術基盤を今後どう維持・育成していくかというような課題にですね、腐心をしました。いずれにしましても、防衛省職員でなければ経験できないような、貴重な体験ができたと思っています。また、ダイナミックな歴史の一場面にですね、立ち会うこともできたんじゃないかなと思いましてですね、ぜひ、若い方々には、防衛省職員として働く魅力を知っていただければなあと思います。

パ−ソナリティ−:
 はい。

増田局長:
 最近ですね、学生の間で防衛省の人気が高くなっていまして、入りたいと考えている人がですね、実際のところ多くなっています。防衛関連記事が新聞に載らない日もありませんし、ここ10年間でですね、防衛政策がかなり進展したということも影響していると思います。振り返ってみればこの10年間でですね、国際的な仕事が飛躍的に増えまして、例えばインド洋、イラク、ソマリア・アデン沖といったそういったところで活動してますし、またその他様々な地域でですね、PKOや国際緊急援助活動も行われています。またこれから南スーダンにも派遣されようとしているわけですね。そういったことで国際平和協力活動等はですね、本来任務化というのもこれは前に行われましたし、中央即応集団の新編なども行われたわけですね。それから後振り返ってみますと、日米同盟やですね、他の国々との協力関係も進化してきていますし、武力攻撃事態対処法とかですね、国民保護法といったこれは以前有事法制というふうな言われ方をしていましたけれども、そういった法制の整備も整いました。あとはBMDですね、すなわち弾道ミサイル防衛、こういった対応についてもですね、法制面、運用面ともに進展しましたですね。
そして何より象徴的なのは、防衛省がですね、2007年に防衛庁から防衛省になったと、まあそういうことが非常に象徴的なことだと思うんですが、これによって改めてですね、その重要性が認められたような気持になったわけですね。あと、あまり一般には知られていないんですけれども、総理大臣秘書官を出している役所というのはですね、一流の証だなんてことを世間で言われることがありますけれども、防衛省からも2010年からなんですが、総理大臣秘書官を出しています。
ということで、東北地方の学生の皆さんですね、是非防衛省職員という選択肢もですね、検討されたらいかがかなと思います。ということで、本日の話を締めくくりたいと思います。

パ−ソナリティ−:
 はい、是非興味を持っていただいて、ラジオを聞いている方も防衛省の職員を目指していただきたいと思います。さて、本日は東北防衛局の増田義一局長からお話を伺いました。どうもありがとうございました。

増田局長:
 どうもありがとうございました。
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