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自衛隊インビテ−ション
(10月放送内容)



テ−マ:F−X

パ−ソナリティ−:

 皆さんこんにちは、今日は東北防衛局の増田局長にお越しいただいています。局長、今日はどんなお話ですか。


増田局長:

 はい、防衛省は、24年度予算の概算要求で、F−Xを4機要求しました。まだ具体的にどの機種にするかは決まっていませんけれども、今年中には決まりますので、これから年末にかけて、マスメディアでも頻繁に取り上げられると思います。そこで、今日はこのF−Xの予備知識的なことを話したいと思います。


パ−ソナリティ−:

 局長、F−Xというのは。

増田局長:
 F−Xというのは次期戦闘機の略でして、戦闘機はFighter(ファイター)ですね、それのFと、Next(ネクスト)のXですね、それでF−Xといいます。現在使用しているF−4ファントムという戦闘機がありますけれども、これの後継機種を選定するということになります。ファントムは、百里基地と新田原基地に1個飛行隊づつ合計2個飛行隊で、約40機保有しておりますけれども、これはベトナム戦争のときに随分活躍したので有名なんですね。全世界で合計で5000機以上生産されたベストセラーなんですけれども、もう既に初飛行から50年以上経過していますので、アメリカでは全機退役しています。日本のF−4も老朽化が進んでいますけれども、修理に修理を重ねて何とか現役で使っています。このように何とか使えるのもですね、ライセンス国産というのをしたんですね、そういうことをしたので国内に修理、維持の基盤があるということだと思います。多分完成品を輸入していたら、こういうことは無理だったんじゃないかな思いますね。

パ−ソナリティ−:
 F−X、次期戦闘機の機種というのはもう決まったんですか。

増田局長:
 これはですね、候補としては3機種に今絞られています。というのも、F−Xは国内開発していませんので外国から導入するということになりますけれども、防衛省は、主な戦闘機製造国にRequest for Proposal (リクエスト フォー プロポーザル)と言いますけれども、提案書の要求を出しまして、提案要求ですね、これを出しまして、締切までに提案書が出されたのが3機種です。F−35ライトニングとですね、F−18スーパーホーネット、あとユーロファイター タイフーン、この3機種であったわけですね。24年度予算の政府原案が固まるのが年末ですので、それまでに所要の手続きを経て機種を決める必要があります。そういうことで今年中に決まると言ったんです。実際の取得価格がいくらになるかはちょっとよくわかりませんけれども、概算要求では一応4機で551億円を計上していますので、単純計算をすれば全部で40機を調達すれば約5500億円の巨額になりますね。維持・整備などを含めたライフサイクルコストを考えればもっといくんですけれども。

パ−ソナリティ−:
 かなりの高額ですね。さきほどおっしゃられた3機種以外には候補になりうる機種というのはなかったんですか。


増田局長:

 これからの戦闘機というのはいわゆる第5世代の戦闘機なんですけれども、前はですね、F−22ラプターというのがあるんですが、これがいいのではないかという意見がありました。しかし、F−22はステルス性能を始めとして性能が良いもんですから、製造国アメリカは外国に売らないということを決めましてですね、自分の国の所要数170〜180機ほどを製造して製造ラインを閉鎖するということになりました。例え同盟国であっても売らないというのは、結構厳しいですね。


パ−ソナリティ−:

 そうですね、ところで今候補に挙がっている3つの機種はどのような戦闘機なんですか。

増田局長:
 はい、まずF−35はですね、アメリカのロッキード・マーチン社が中心となって、欧米の9カ国で共同生産しているものです。最終的に世界で5千機以上生産されるという予測もあってですね、かなりポピュラーな戦闘機になると思います。戦闘機の開発には莫大なコストがかかりますので、それに伴ってリスクも大きいわけですから、1国だけで開発するのは近年非常に難しくなってきているんですね。各国の叡智を結集してですね、それで開発をして、生産についても各国が分担して世界のベスト・バリューを採用していくということでコストを下げるといったことも行われているわけです。ただ日本はですね、武器輸出3原則等がありますので、こういった共同開発に参加することは、現状では残念ながら出来ません。


パ−ソナリティ−:

 はい、ではあと2つの候補は。


増田局長:

  F−18スーパーホーネットというのは、アメリカの海軍等で既に使われているF−18ホーネット、これの発展型戦闘機なので、4.5世代なんて言われたりもしますけれども、アメリカのボーイング社が生産しています。あとユーロファイター タイフーンは、その名のとおり、ヨーロッパの4カ国が共同開発したもので、自衛隊では今までヨーロッパの開発した戦闘機を採用したことがないので、これが仮に採用されれば初めてのケースになります。


パ−ソナリティ−:

 そうですか。では、これからどのようにしてどの機種にするかということが決められるんですか。

増田局長:
 機種選定に当たってはですね、様々な観点から検討されて、総合的に評価が行われると思います。価格とか性能とかはもちろんなんですけれども、それ以外にも部品の調達が容易かどうかとかですね、修理がどうかとかですね、あるいは防衛生産技術基盤の維持にどの程度寄与できるかとかですね、様々な観点から検討する必要があると思います。価格についても、単に取得価格を比較するんじゃなくて、取得から最終的な廃棄に至るまでのライフサイクル全般にわたってのライフサイクルコストを比較する必要があります。あと防衛生産技術基盤への寄与という観点からですね、どの程度のライセンス国産が認められるのかと、それとどの程度の技術の開示が行われるのかと、またそのときのコストですね、こういったものが問題になってくると思います。

パ−ソナリティ−:
 さまざまな検討がなされるわけですね。

増田局長:
 そうですね、いずれにせよ、今年中というタイムリミットがありますので、もうじき決まるわけですけれども、是非皆さん注目していただきたいと思います。

パ−ソナリティ−:
 そうですね、はい、局長、今日は本当にどうもありがとうございました。

増田局長:
 ありがとうございました。
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