防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
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(5月放送内容)



 

テ−マ:航空自衛隊と防衛局について

 
 

パーソナリティー:
 本日は東北防衛局で、総合調整官として勤務している佐々木1等空尉からお話をお伺いいたします。
 よろしくお願いします。

総合調整官:
 はじめまして。佐々木です。よろしくお願いします。
 

パーソナリティー:

 自衛官の方は転勤が多いイメージですが、佐々木1尉も何度か転勤されているのですか。
  

総合調整官:

 はい。私は青森県三沢市出身ですが、採用は埼玉県の入間基地に配属され、その後、山口県、沖縄県、鳥取県と4つの県を回り、令和2年の9月に、鳥取県にあります美保基地の第3輸送航空隊から東北防衛局へ異動し、総合調整官として勤務しています。


パーソナリティー:

 全国を回られているのですね。特に印象に残った土地はありますか。
 
総合調整官:
 沖縄県の久米島です。沖縄本島から西に100Km離れた場所にある島で、島内だけしか販売していない泡盛を飲んだり、サトウキビの収穫を手伝ったり、沖縄相撲大会に参加したりと、とても貴重な体験ができ印象に残っています。
 転勤先では、その土地の歴史や文化を学び、地域の催しに積極的に参加して自衛隊と地域の方のつながりを深められるように心がけています。


パーソナリティー:

 佐々木1尉は航空自衛官なので、日頃から飛行機に乗られるのですか。

総合調整官:
 航空自衛官と言うと大体の方は、パイロットというイメージをお持ちの方が多くいらっしゃいますが、残念ながら私は飛行機には乗れません。実際には、航空自衛隊においてパイロットとして勤務している隊員は、適性試験や技能試験、身体検査等の選抜試験に合格した隊員であり、航空自衛隊全体の約15%程度しかいないんです。
 その他の隊員については、主に陸上において勤務する隊員がほとんどなんです。航空自衛隊には複数の職種があり、一般的に知られているパイロット、航空機整備員や航空管制員の他に、高射整備員や通信、補給、厚生等、約20種類近くの職種があります。  それらの職種の中で、私は、「施設」という職種に属しております。
 

パーソナリティー:

 そうだったんですね。てっきり飛行機に乗れるものだと思っていました。
 佐々木1尉は、東北防衛局では普段どのような業務を行っているのですか。

総合調整官:
 はい。私は、東北6県に所在する、航空自衛隊の基地の施設建設工事について、部隊側からの要望内容の取りまとめや、部隊側への連絡、確認などの調整業務をしています。特に、最近では、青森県三沢基地においてF−35戦闘機受入に伴う施設建設工事として教育訓練施設と言われる建設工事やグローバルホークと言われる滞空型無人機受入のための建設工事等について部隊及び防衛局の調整窓口として業務に携わることができ、有意義な日々を送っております。
 また、これらの調整業務の他に、東北防衛局に勤務する職員は、豊富な知識及び技能の優れたエキスパートが多数いることから、我々自衛官とはまた違った視点や考え方、識見に触れる機会が多く非常に勉強になっております。

パーソナリティー:

 そうなんですね。東北防衛局は佐々木1尉にとって素晴らしい勤務地なんですね。

総合調整官:
 はい。そうなんです。

パーソナリティー:

 先程、佐々木1尉は職種が「施設」とおっしゃっていましたが、通常、部隊ではどの様なお仕事を行っているのですか。

総合調整官:
 航空自衛隊における「施設」の業務について簡単にご説明します。施設の業務は広範多岐にわたっており、具体的には、隊員の生活に直結する電気設備、空調設備、給排水設備、道路補修等の維持管理や消防救難業務、施設の維持補修、建物新設に係わる調整業務を行っております。
  また、その他に航空自衛隊の「施設」の任務の中で特徴的であるのが、滑走路被害復旧訓練といわれる任務があります。これは、何らかの脅威によって滑走路が爆破された場合に、施設が保有する器材を駆使し、短時間で滑走路を復旧するものです。戦闘機を飛ばすことができなければ、我々、航空自衛隊の存在意義はありませんので、そういった意味でも、万が一のことを想定し、日頃から重機や器材を使用した訓練の他、支援作業と言われるアスファルト舗装作業に従事し、技量の維持向上に努めています。
 先の東日本大震災の際にも、全国の施設職域に属する隊員で津波対策のための簡易的な防潮堤を整備したり、松島、石巻地区等の流木や廃材の撤去作業や、福島県原発事故の際、大型消防車による放水作業を行うなど活躍しました。
  「施設」はパイロットや航空機整備員といわれる花形の職域ではありませんが、隊員の生活や航空戦力発揮の基盤として航空自衛隊における縁の下の力持ち的な存在であり、隊員は、自覚とプライドをもって日々、勤務しています。

パーソナリティー:
 そうなんですね。航空自衛隊における「施設」は重要な役割を担っているんですね。隊員に直結するインフラ整備の他に、航空自衛隊独自の滑走路被害復旧訓練という任務があるのは、大変、興味深い内容でした。
 
総合調整官:
 はい。最近では、有事を想定し米軍と共同で滑走路被害復旧訓練を行うなど、幅広く活動しております。米軍との共同訓練ということで施設は技術力の他に、語学力も身につけるように、日々、勉学にも励んでいます。
 本訓練については、一般人の方は訓練に参加できませんが、興味のある方は、防衛省ホームページで検索していただければ訓練状況を確認できますので、是非一度御覧になってください。
   

パーソナリティ:

 はい。米軍との共同訓練も行っているんですね。佐々木1尉も参加されたことはありますか。
 

総合調整官:

 残念ながら、私は参加したことはありません。参加したことがある隊員に聞くと「実戦に裏打ちされた米軍のノウハウを学ぶことができ、見聞を広めることができた。」と話を聞きます。また、語学について、参加した隊員のほとんどが口を揃えて「語学は大切だ。」と話していました。これからも米軍との共同訓練の機会は増加すると思いますので、その時に備えて施設専門知識以外に語学勉強に勤しんでいます。
 東北防衛局でしか学ぶ事の出来ない業務が多数ありますので、しっかり吸収して、部隊に戻れればと考えています。 今日の話を聞いて、東北防衛局や航空自衛隊に興味を持っていただければうれしいですね。
 

パーソナリティ:

 本日は、東北防衛局で総合調整官として勤務している佐々木1等空尉から、お話をお伺いいたしました。どうもありがとうございました。

総合調整官:

 はい、こちらこそ、どうもありがとうございました。


パーソナリティー:

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