防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
 自衛隊百科 
共通
(2月放送内容)



 

テ−マ:令和4年度防衛予算案について

 
 

パーソナリティー:
 本日は東北防衛局の市川道夫局長からお話を伺います。
 市川局長、よろしくお願いいたします。

局長:
 よろしくお願いします。
  本日は、昨年12月に閣議決定をされました令和4年度の政府予算案、そのうちの防衛関係予算案についてお話をしたいと思います。
 令和4年度の国全体の予算案は約107兆6千億円なんですけれども、今さん、そのうち防衛関係費はどのくらいの金額を占めると思いますか。
 

パーソナリティー:

 この107兆あまりの金額の中では割合としてはそれほど多くないのかなと思うんですけれども、例えば10兆円くらいとかでしょうか。
  

局長:

 近いのか遠いのかなんとも評価しづらいのですけれども、答えとしては、国の予算の約5%、金額では5兆4,000億円余りが防衛省関係の予算になっています。前年度と比べると、1%程度の増額となっています。この予算額を聞いて、今さんの10兆っていうお答えからは半分くらいだったと思うんですけども、あるいは多いなと思われる人もおられるかと思います。
 諸外国では国防のために多くの予算が使われています。各国ごとに予算の制度が違うので、単純に比較するのは困難なんですけれども、例えば、昨年度の中国が公表した国防費、これは約20兆3,300億円なんです。これはわが国の予算の約4倍になります。また昨年度における主要先進国の国防費の対GDP比、すなわち国内総生産に占める割合なんですが、アメリカが3%以上、ロシアも3%以上、フランスは2%程度、ドイツが1.3%、これに対して日本は0.94%となっていて主要国との比較では、低い割合となっています。  


パーソナリティー:

 そうなんですか。  
 防衛関係費の内訳はどのようになっているのでしょうか。
 
局長:
 はい、防衛関係費の内訳は、自衛隊員の給与ですとかあるいは食事のための経費、いわば人件費に相当するものになるんですけれども、これが全体の約4割を占めております。残りの6割が、自衛隊員の教育訓練ですとか技術研究開発、装備品の調達などのための経費、こういう風になっております。


パーソナリティー:

 人件費に相当する金額が全体の4割を占めているのですね。
 令和4年度防衛予算案の注目すべき点を教えていただきますか。

局長:
 はい、令和4年度の予算案につきましては、我が国周辺の安全保障環境がこれまでにない速度で厳しさを増していることから、令和4年度からの実施を予定していた事業をこれまでにない規模で令和3年度補正予算の中に前倒しました。その結果、令和3年度の補正予算と令和4年度の予算をいわば一体として「防衛力強化加速パッケージ」と位置づけまして予算編成をしました。令和3年度の補正予算とあわせると、約6兆2千億円となります。
 

パーソナリティー:

 防衛力強化加速パッケージですか。初めて耳にしました。  
 なぜ、防衛力を強化しなければならないのですか。

局長:
 はい、国を確実に守るためには、日本が自分たちの国を守る意思と能力があることを周辺国に対してしっかり示すことによって、我が国にとって有害となる行動を思いとどまらせることが必要です。さらに、それでも他国に攻め込まれるような場合には、確実に対処できるようにしておくことが必要となります。周辺各国は軍事力を強化し、我が国周辺で軍事活動を急速に加速化させるなど、我が国を取り巻く安全保障環境がこれまでにない速度で厳しさを増しています。このためこうした動きに対応できるよう、防衛力を強化していかなければならないと考えております。

パーソナリティー:

 具体的には何を強化するのでしょうか。

局長:
 宇宙・サイバー・電磁波といったいわば新たな領域における能力、総合ミサイル防空能力といったもの、我が国を取り巻く安全保障環境の変化に対応するために必要な防衛力を大幅に強化することが大切だと考えています。

パーソナリティー:

 サイバー攻撃は私たちの生活にも深刻な影響をもたらしますので、防衛省でも強化することは分かりますが、宇宙というと日本ではJAXAがありますが、防衛省でも宇宙と関係があるのでしょうか。

局長:
 はい、宇宙空間は人工衛星を活用すれば、地球上のあらゆる地域の観測を行うことができます。また地球上のあらゆる地域との通信ですとか、あるいは位置の測定を行うことも可能です。そのため主要国は軍事施設の偵察ですとか、ミサイルの発射を探知する衛星をはじめとして、宇宙を利用した能力を向上させることに力を注いでいます。
 中国やロシアなんかは他国の人工衛星を妨害・攻撃あるいは捕獲するキラー衛星と呼ばれているものの開発・実験を進めているとも指摘されています。今や宇宙空間は安全保障のみならず経済社会の分野でも利用がそうとう進んでいますので、こうした動きには注意が必要だと考えています。防衛省としては、JAXAをはじめとした政府関係機関ですとか、あるいは米国などと連携しながら、宇宙の状況を監視する能力の強化を図ることとしています。令和4年度は、低軌道の宇宙物体をより正確に監視できる装備の取得ですとか、宇宙設置型光学望遠鏡の整備を行うこととしています。

パーソナリティー:
 SF映画や宇宙戦艦ヤマトが現実になるみたいですよね。
 
局長:
 はい。宇宙戦艦ヤマトといえば、波動砲を発射しますけれども、防衛省では電磁力によって砲弾を発射する、レールガンといわれているものの研究を行っております。
   

パーソナリティ:

 電磁力で発射する砲弾ですか。電磁力と言ったらリニアモーターカーを思い浮かべますけれども、やはり高速で撃つことができるのでしょうか。
 

局長:

 はい。リニアモーターカーはだいたい時速500km位だと思うんですけれども、レールガンは時速7200km、これはマッハ7に近いスピードなんですけれども、こうした高速度で弾丸を発射し、かつそれを連続して発射することも可能で、ミサイル防衛なんかに活用しうる可能性を秘めています。
 

パーソナリティ:

 ということは最先端技術の研究も積極的に行っているということなんですね。  
 ところで、近年、大規模災害や新型コロナウイルス感染症の対応等、災害派遣活動も増加していると思うんですけれども、何か取組みを行っているのでしょうか。

局長:

 災害派遣ですが、最近では令和3年7月静岡県熱海市で大雨による土石流が発生し、延べ約2万3千人の自衛隊員が救助活動等を行いました。また、新型コロナウイルス感染症の対応では、自衛隊大規模接種センターを設置・運営したり、自衛官を医療施設に派遣したりしています。このような各種の活動への対応に万全を期すことができるよう、体制の強化も進めています。
 具体的には、災害対処の拠点となる駐屯地、あるいは基地の耐震化、あるいは浸水対策、また、大規模災害に対応するための訓練の実施など、こういったことを行っています。また、災害発生時に迅速に情報収集を行うため、各部隊に災害用のドローンを整備することとしております。


パーソナリティー:

 自衛隊は日々の訓練や災害派遣活動の為の装備品取得等、常日頃から災害に備えているのですね。  
 その他には、どのような予算が計上されているのでしょうか。

局長:
 東北防衛局に関係が深いものとしては、防衛施設と周辺地域との調和を図るため、飛行場周辺の住宅防音事業などの基地周辺対策のための経費ですとか、在日米軍の駐留を円滑に行うための経費、たとえば在日米軍のための施設の整備費などの予算を計上しています。


パーソナリティ:

 防衛施設を安定的に使用するための経費等も計上しているのですね。
 ところで、国の財政事情は非常に厳しいと伺っていますけれども、経費の効率化への取組みは何か行っているのでしょうか。

局長:

 はい、重要度の低下した装備品の運用の停止ですとか、費用対効果の低いプロジェクトの見直し、また、まとめ買いをすることによる経費の抑制など、防衛力整備の一層の効率化・合理化を徹底し、約4千億円の縮減を図っております。

パーソナリティ:

 経費の効率化も取組み、実効的な防衛力の整備に向けた予算編成がなされているのですね。
 本日は、令和4年度防衛予算案について、東北防衛局の市川局長にお話をお伺いしました。ありがとうございました。


局長:

 はい、ありがとうございました。


パーソナリティー:

 このコーナーでは、よりよい内容にしていくため、ラジオをお聞きの皆さまからご意見・ご感想を募集しております。お聞きのコミュニティ放送局までご連絡ください。

 
 
  
 
このペ−ジのTOPに戻る
 
   


日本の防衛Q&ATOPページ