パーソナリティー:
今回の放送は、東北防衛局の市川道夫局長からお話を伺います。市川局長、よろしくお願いします。
局長:
よろしくお願いします。本日は、米軍の輸送機オスプレイについてご紹介したいと思います。
茂木さんは、オスプレイについてどのような印象をお持ちになっていますか。
パーソナリティー:
私個人としては、オスプレイは、自分の日常にはないので、生活や現実とはかけ離れているイメージがありますね。
最近では、山形空港や仙台空港に緊急着陸したとテレビや新聞などでみました。民間空港を米軍機が利用することに少し違和感がありました。
局長:
はい。今年の6月14日、米軍横田基地に所属するCV-22オスプレイが、山形空港に、また、9月22日には仙台空港に、それぞれ飛行中に警告ランプが点灯したため、予防着陸をしました。その際は各空港周辺の住民の皆様には大変ご心配をおかけしたかと思います。米軍機の民間空港の利用については、「地位協定」という日米間の条約によって我が国の飛行場に出入りすることができるとされています。
パーソナリティー:
米軍機が民間空港を利用できるとは知りませんでした。ところで、報道では、「緊急着陸」といっていた記憶がありますが、市川局長は、「予防着陸」と言いました。「緊急着陸」と「予防着陸」は異なるのでしょうか。
局長:
どちらも安全に着陸することなのですが、「緊急着陸」は、航空機の航行に影響する異常が発生した場合に、その危険を回避するため、速やかに行う航空機の着陸です。これに対して「予防着陸」は、パイロットが飛行中の航空機に何らかの通常とは異なることを示す兆候を察知した場合に、危険な状況ではないけれども、危険の未然防止のために行う着陸をいいます。山形空港・仙台空港、どちらも予防着陸で、危険な状況ではなかったんですけれど、いずれも飛行中に警告ランプが点灯したことから、危険の未然防止のため、最寄りの着陸可能な場所として、それぞれ空港に着陸したものです。
パーソナリティー:
なるほど、そうなんですね。
私は、墜落しそうになって、慌てて最寄りの空港に着陸したとのイメージでした。お話を伺うと「危なかったから着陸した」というのは正確な言い方ではない、ということでしょうか。
局長:
そうですね。そのまま飛行を続けて危険な状況になるのを避けるため、安全に飛行できる間に着陸したもので、「危なかったから着陸した」というのは正しい言い方ではないですね。
一方で、こうした着陸が安全確保の観点から行われるものであるにせよ、周辺住民の方々に少なからず不安を与えるものであったことから、こうした事案が発生した際には、私達防衛局からは、米軍に対し、確実な整備・点検、安全管理の徹底等について申し入れを行うとともに、米軍から情報が得られ次第、速やかに関係自治体等にお知らせしています。
ところで、茂木さんは、米軍のオスプレイとは、どのような航空機で、日本のどこに配備されていると思いますか。
パーソナリティー:
オスプレイはヘリコプターのプロペラが両方に付いている機体ではないでしょうか。ニュースで知った限り沖縄にあるイメージが強いです。
局長:
はい、簡単に説明しますと、回転翼、つまりプロペラですね、これを上に向けた状態ではヘリコプターのように飛ぶことが可能で、プロペラを前方に傾けた状態では固定翼機、すなわち翼のある航空機ですが、そのように高速で長い距離を飛行することができます。言い換えれば滑走路を使わなくても飛べる「飛行機」というようなものがオスプレイのイメージになります。
日本にはじめて配備されたのは、茂木さんも言っていただいた、沖縄県に所在する普天間飛行場です。平成24年度に、米海兵隊の航空部隊の主力として、様々な作戦で人や物の輸送などを行うため、またCH-46という当時使われていたヘリコプターを新しい機種に更新する一環としてMV-22オスプレイが配備されました。
MV-22というのは、海兵隊のオスプレイのことなんですけれど、平成30年度には、東京都に所在する米空軍の横田飛行場に米空軍のCV-22オスプレイが配備されました。
パーソナリティ:
海兵隊と空軍に配備されているのですね。
海兵隊がMV-22で空軍がCV-22と伺いましたが、性能面などで違いがあるのですか。
局長:
MV-22とCV-22は、従事する任務が異なるので、機内の備品類に違いはありますが、機体構造やエンジン・飛行システムの基本的なものは同じになっています。
オスプレイの主な性能ですが、最大速度は約520km/h、搭載量は約9トン、行動半径は兵員24名を搭載した状態で約600km飛ぶことができます。
性能だけをご説明してもなかなか分かりづらいと思いますので、MV-22に機種更新する前のCH-46、このヘリコプターは、東日本大震災における「トモダチ作戦」で活動いたしましたが、このヘリコプターで比較しますと、最大速度は約2倍、搭載量、積むことのできる量は約3倍、行動半径は約4倍になっています。
なお、これらの高い能力を活かして、大規模災害が発生した場合には、捜索救難などの人道支援、災害救援活動を迅速かつ広範囲にわたって行うことが可能です。具体的な活動を紹介すると平成28年の熊本地震の時にはMV-22オスプレイが派遣されて、被災地への生活物資の輸送に従事しました。
パーソナリティ:
なるほど。性能面では、大きく向上し、災害発生時には実際に活動しているのですね。でも、オスプレイは安全性に不安があるように感じるのですがいかがでしょうか。
局長:
MV-22オスプレイについては、普天間飛行場への配備に先立って、日本の政府内外の専門家、航空機のパイロットなどからなる分析評価チームを防衛省へ設置するなどして、政府として独自に安全性を確認しています。
事故への対応ですけれども、MV-22は、開発途中においては大きな事故が4回発生しましたが、機能の追加や再設計など事故原因への対策を行って、技術的な問題は現時点ではクリアされています。
なお、米軍は、議会や政府の要人を輸送する手段としても活用されていて、2018年12月には当時の米国大統領夫人であったメラニア・トランプ氏もオスプレイに搭乗しています。
パーソナリティー:
開発段階などの事故について、原因を究明し、より安全性を高めるための努力を行っているのですね。
ところで、米軍のオスプレイの説明がありましたが、自衛隊には配備されているのでしょうか。
局長:
平成26年、陸上自衛隊にもオスプレイを導入することを決定しました。万が一、南西諸島などの島嶼が侵攻を受けたような場合に対処する部隊をいち早く輸送されるために、恒常的な配置先は佐賀空港が最適と防衛省では考えていますが、佐賀空港の施設整備が整うまでの間、暫定的に陸上自衛隊木更津駐屯地に配置されています。
パーソナリティ:
あまり東北には馴染みがありませんが、自衛隊にも導入されているんですね。
ところで、オスプレイが東北に飛来する予定などはあるのでしょうか。
局長:
12月4日から同月17日までの間、海兵隊のMV−22オスプレイも日米共同訓練(レゾリュート・ドラゴン21という訓練名で呼ばれています)に参加します。場所としては王城寺原演習場等でその訓練が実施される予定です。
詳細については、東北防衛局のHPをご確認いただければと思います。
今後も、米軍オスプレイの飛行に関し、お知らせできる情報が得られましたら、関係自治体の方々にお知らせいたします。
パーソナリティ:
ありがとうございました。
本日は、オスプレイについて、東北防衛局の市川道夫局長から、お話しをお伺いしました。市川局長、どうもありがとうございました。
局長:
どうもありがとうございました。
パーソナリティー:
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