防災特別番組
(9月放送内容)



 

 
 

パーソナリティー:
 ラジオモンスターでは、毎年9月の防災月間に合わせて、各界からゲストをお迎えし、「防災特別番組」を放送しています。
 本日は、東北防衛局の市川道夫局長と浜崎貴宏基地対策室長をゲストとしてお迎えし、お送りいたします。

局長・室長:
 東北防衛局長の市川です。よろしくお願いします。本日は、「防災特別番組」にお招きいただきまして大変ありがとうございます。
 東北防衛局企画部地方調整課基地対策室長の浜崎です。よろしくお願いいたします。


パーソナリティー:

 さて、今年は、東日本大震災発生から10年という節目の年であります。あの未曽有の災害時に東北防衛局がどのような活動を行っていたのか、また大規模災害・危機管理への備えの大切さについてお話を伺っていきたいと思います。
 早いもので東日本大震災から10年が経過しましたが、お二人は、震災当時、どのような業務を担当されていたのでしょうか。
 市川局長はいかがでしょうか。

局長:

 はい。震災当時は、東京の防衛省本省会計課で勤務していて、災害に対処する自衛官を予算面でサポートする業務を行っていました。当時、自衛隊は、10万人の態勢で救助・救援活動を続けていましたが、活動を続けるためには、例えば、燃料代や救助用の資機材などが不足するため、財政当局と調整しながら、自衛官が災害派遣活動に専念できるよう、必要な予算を確保する仕事をしていました。


パーソナリティー:

 浜崎室長はいかがでしょうか。
 
室長:
 はい。私は、東北防衛局の地方協力確保室という部署で、大規模自然災害等の各種事態が発生した際の対応などを企画・検討する業務を担当しておりました。震災発生後は、数か月に渡り東北防衛局緊急事態等対策本部の一員として震災対応に従事しました。


パーソナリティー:

 なるほど。東北防衛局はどのような活動を行ったのでしょうか。

室長:
 はい。東北防衛局では、その使命と責務を果たすべく甚大な被害を被った各地の自衛隊施設に建築・土木・設備を担当する技官を派遣し、復旧活動など技術支援を行いました。また、宮城県知事からの要請に応え、ご遺体安置所に職員を派遣し、ご遺族対応業務を行っています。これら以外にも在日米軍のトモダチ作戦には、語学の専門家等を派遣し、通訳支援などを行いました。

パーソナリティー:
 各種支援活動などを行ったようですが当時を振り返って、苦労なさったエピソードや教訓など教えていただけまでしょうか。
 
室長:
 はい。東北防衛局は、大規自然災害を含む緊急事態等が発生した時に備えて規則を定めており、東日本大震災が発生した際にも、この規則に基づき対応しました。停電により地震の被害状況に係る情報も十分に入ってこない状況ではありましたが、これまで経験したことのない、強く、また長く続いた揺れから、「これはただ事ではない。」と判断し、当時の東北防衛局長が、全職員をあげて対応する「第3種非常勤務態勢を速やかに発令しました。
 実は、私は、地震が発生した平成23年3月11日は青森県八戸市に出張しており、仙台にある東北防衛局にはいなかったんです。その日は、八戸市で会議があり、私を含めて東北防衛局の災害担当職員が出席していました。そんな中、午後2時46分にあの地震が発生しました。これは大ピンチですよね。例えば、この番組にコンさん(パーソナリティー)がいないような状況です。絶体絶命です。
  

パーソナリティ:

 はい。どうなったのでしょうか。
 

室長:

 はい。東北防衛局では、それまでに地震が発生したことを想定した訓練を何度もやっていましたし、自衛隊の震災対処訓練にも参加し、自衛隊との連携要領についても訓練し、各職員の役割を決めていました。その成果があり、地震発生時に局にいた職員がそれぞれ役割を果たし、対策本部を立ち上げ、職員の安否を確認し、東北地方の被害の状況について情報収集をするとともに、防衛本省との連絡調整を開始しました。
 新幹線も止まり、八戸から帰れずにいた私は、未曾有の災害を前にし、これからどうなってしまうのだろうと不安にかられつつも、仙台で頑張ってくれている仲間の頑張りを聞き、とても頼もしかったとともに、これまでの備えの成果が発揮されたことで少しホッとしたのを覚えています。


パーソナリティ:

 大変貴重な体験談ありがとうございました。震災は忘れた頃にやってくるとよく言われますが、東日本大震災の教訓や課題を風化させることなく次の世代に繋げていくことが重要ですね。
 さて、浜崎室長の体験談にもございましたが、防災・減災のためには「備える」ことも大切だと思います。市川局長は、内閣官房内閣参事官を務められたとのことですが、大規模災害・危機管理への備えの大切さについて伺っていきたいと思います。
 まず、内閣官房内閣参事官の業務内容を教えていただけますか。


局長:

 はい。まずは、緊急事態における内閣官房の役割をお話ししたいと思います。コンさんも、「役所は縦割りで仕事を押し付けあっている」という批判を聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、緊急事態に際してそんなことをしていたらダメですね。縦割りを排して政府の力を結集するのが内閣官房の役割です。そのため、内閣官房には、内閣危機管理監というポストがありまして、その内閣危機管理監をサポートするスタッフの一人として私は働いておりました。


パーソナリティー:

 内閣官房で勤務されたご経験を踏まえ、大規模災害・危機管理への備えの大切さについてお伺いしてもよろしいでしょうか。
 
局長:
 まず、危機に備える上でのポイントについてなんですが、自分の経験からお話ししたいと思います。 
 まず、何に備えるのか、備えるべき対象を明確にすることが大切です。漠然と「危機に備えよう」と考えていましても、何をすべきかは明確にはなりません。何に備えるかが明確になれば、次に何をすべきかを特定する必要があるんですけれども、大事なのは、それを誰が責任をもってやるのかを明確にしておくことです。「誰かがやってくれるだろう」では、結局誰もやらないことになりかねません。
 誰が何をするかが明確になったら、一度ためしにそれをやってみることが重要だと思います。実際にやってみる、すなわち訓練をしてみると、あれが足りないこれが足りないというものが必ず出てきます。訓練をして、誰が何をするかを見直していく、そういうプロセスが大変重要だと思います。
 コンさんは、BCPという言葉を聞いたことがありますでしょうか。
 このBCPというのは、、ビジネス、コンティニュイティ、プランという言葉の略なんですが、災害などの緊急事態が発生したときに、民間の企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画のことをいいます。日本語では、事業継続計画という言い方をしますが、多くの民間企業では、そうした計画をあらかじめ作成して、危機に備える取組を現に行っております。
 

パーソナリティ:

 普段から訓練を行い、関係機関との連携を確認し、防災意識を高めることが、実際に災害が発生したときには役に立つのですね。
 最後に、市川局長からリスナーに向けメッセージをお願いいたします。  

局長:

 新型コロナウイルスの問題をはじめとして、数十年に1度の豪雨とかですね、地震、サイバー攻撃、重大テロなどなど、私たちの周りには、様々な危険が存在しています。それらをあまりに恐れすぎてもいけないのですけど、適切に恐れること、適切に恐れるからこそ、それをあらかじめ危険に備えようとする意識を持つことが大事なのかなと思っています。

パーソナリティ:

 はい。本日は、東北防衛局の市川道夫局長と浜崎貴宏基地対策室長をゲストとしてお迎えし、防災関連の番組をお送りいたしました。
 市川局長、浜崎室長ありがとうございました。


局長・室長:

 ありがとうございました。

 
 
  
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