防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
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(5月放送内容)



 

テ−マ:海上自衛隊と防衛局について

 
 


パーソナリティー:
 本日は東北防衛局で総合調整官として勤務されている山ア1等海尉からお電話でお話を伺います。
 どうぞよろしくお願いします。

総合調整官:
 はじめまして、山アと申します。よろしくお願いします。

パーソナリティー:

 まずは、山アさんに自己紹介をお願いしたいと思うのですが、 山アさんは、ご出身はどちらなのですか。

総合調整官:

 はい、出身は静岡県です。33年前に海上自衛隊に入隊の後、全国の海上自衛隊で勤務し、令和2年4月に広島県呉市にあります海上自衛隊呉地方総監部から東北防衛局に転勤してきました。
 

パーソナリティー:

 そうなのですね。海上自衛官ですから、普段は護衛艦などの船に乗って仕事をされているのですか。

総合調整官:
 私は海上自衛隊の「施設」という職域で、基本的に艦艇に乗ることはありません。皆さん海上自衛官は船に乗っていると考えている人も多いと思いますが、航空機のパイロット、その整備をする者、護衛艦搭載武器等の整備や調達を行う者など多くの職域があり、艦艇に乗らない海上自衛官は大勢います。

パーソナリティー:

 海上自衛官は皆さん基本的に船に乗っていると思っていました。「施設」という職域があるのですね。山アさんは東北防衛局でどのような仕事をされているのですか。

総合調整官:
 はい。私は、東北地方に所在する、海上自衛隊基地の施設工事について、施設を使用する部隊側からの要望の取りまとめや、部隊への連絡、確認などの調整業務を行っています。

パーソナリティー:
 海上自衛隊の建物というとちょっと想像がつかないのですが、陸上自衛隊や航空自衛隊にはない海上自衛隊特有の施設や建物というのはあるのでしょうか。
 

総合調整官:
  はい、海上自衛隊特有の施設としては、艦艇を係留する桟橋や修理・検査を行うドックがあります。そのほか、海上自衛隊にも陸上自衛隊や航空自衛隊と同じように、執務を行う庁舎、隊員が生活する隊舎が整備されています。また、海上自衛隊は護衛艦や潜水艦以外にP―3CやSH−60Kといった航空機もあり、滑走路や格納庫といった航空基地も運用しています。
   

パーソナリティー:

 桟橋やドックも施設という扱いなのですね。確かに船が航海から帰ってきて休む場所という意味では、なくてはならない施設ですよね。


総合調整官:

 はい、そうですね。海上自衛隊の施設は、米軍や旧海軍から引き続き使用している建物が多く、老朽化が進んでおり、逐次建て替えなどの更新が行われています。

パーソナリティー:

 新しい装備品などに目が行きがちですが、施設が海上自衛隊の能力の発揮になくてはならない重要な存在であるということがとてもよくわかりました。
 海上自衛隊には、施設以外にどのような職域があるのでしょうか。

総合調整官:

  それでは、海上自衛隊の職域について簡単に紹介したいと思います。海上自衛隊下士官である曹士には、大きく分けて7つの区分があり、その内訳は、艦艇の運用に関する船務要員、艦艇に装備された武器に関する攻撃要員、艦艇のエンジンに関する機関要員、航空機の管制に関する航空基地要員、航空機の整備に関する航空整備要員、経理業務等を行う経理補給要員、音楽・衛生といったその他の業務に分かれています。この要因が更に細かく分かれており、それぞれ特技職と呼ばれています。それぞれの特技職の者が定められた業務を実施し、艦艇や航空機の運航が行われています。


パーソナリティー:

 隊員それぞれの仕事が歯車のようにかみ合って、船や航空機が運航しているのですね。山アさんの職域は、施設ということですが、施設職域について、お話をしていただけますか。

総合調整官:
 それでは施設職域の話をさせていただきます。
 海上自衛隊の施設職域では、主に全国の海上自衛隊基地施設の維持・補修や施設整備に関する計画を立てる業務を行っています。私は入隊してから約33年間で西は沖縄県那覇市から、東は宮城県仙台市まで、色々な基地施設を担当してきました。
 例えば、トイレの詰まりとか、電気が点かないといった小さな維持・補修から、庁舎を新しく建てる際の担当者として、防衛局と調整を行うなど様々な業務を行いました。
 話は変わりますが、青森県の海上自衛隊八戸航空基地には、海上自衛隊唯一の施設職域のみで編成された「機動施設隊」通称「機施隊」という部隊があり、この「機動施設隊」は、全国の海上自衛隊基地の維持補修を行う「派遣作業」、冬期における「除雪作業支援」、自然災害等の「応急復旧作業」を行っています。最近ですと熊本地震や西日本豪雨災害の際に、ここ東北から機動展開し、道路警戒や土砂の撤去などを行いました。
 また、ソマリア沖アデン湾における派遣海賊対処行動においては、基地業務要員としてインフラの維持・補修のため施設職域の隊員が派遣されています。


パーソナリティー:

 山アさんはソマリア沖の派遣海賊対処行動に参加されたことはあるのですか。


総合調整官:

 残念ながら私は参加したことはありません。参加した隊員から話を聞くと、特に老朽化した空調の維持管理は、「猛暑と砂の被害による故障も多く、部品が早く手に届く国内と違い、創意工夫と迅速な対応が必要だ。」と語っておりました。
 海上自衛隊の施設職域は、隊員の生活や戦力発揮の基盤として海上自衛隊における縁の下の力持ちです。施設職域の隊員達は、平時有事を問わず、「常在戦場」を胸に、強い使命感を持って勤務しています。

パーソナリティー:

 海上自衛隊の施設職域は、本当にいろんなことをされるのですね。
 それから「常在戦場」常に戦場にいる心構えで事に当たる。とても心強い言葉ですね。

総合調整官:

 そうですね。今回の話を聞いて、東北防衛局や海上自衛隊に興味を持っていただければ嬉しいですね。

パーソナリティー:

 はい。本当にそうですね。
 本日は、東北防衛局で総合調整官として勤務されている山ア1等海尉から、お話を伺いました。山アさん、ありがとうございました。

総合調整官:

 はい、こちらこそ、ありがとうございました。


パーソナリティー:

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