防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
 自衛隊百科 
共通
(2月放送内容)



 

テ−マ:令和3年度防衛予算案について

 
 


パーソナリティー:
 本日は東北防衛局の熊谷昌司局長からお話を伺います。
 熊谷局長、よろしくお願いします。

局長:
 はい、よろしくお願いいたします。
 昨年の12月21日に令和3年度政府予算案が閣議決定されていますので、今回は防衛関係予算案についてお話をしたいと思っています。
 令和3年度の国全体の予算案は106兆6,097億円となっています。このうち防衛関係費については5兆1,235億円を計上しています。わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、防衛計画の大綱に基づく中期防衛力整備計画の3年度目として着実に防衛力を強化すべく、対前年度比1.1パーセントの増額となっています。このほか、中期防衛力整備計画対象外のSACO関係経費、米軍再編関係経費などを含めると総額5兆3,422億円となります。

パーソナリティー:
 防衛関係費は、どのような経費から構成されているのでしょうか。

局長:
 防衛関係費は、隊員の給与や食事のための「人件・糧食費」と、隊員の教育訓練、装備品の調達などのための「物件費」とに大別されます。さらに、物件費は、過去の年度の契約に基づき支払われる「歳出化経費」と、その年度の契約に基づき支払われる「一般物件費」とに分けられます。
 令和3年度防衛予算案では、「人件・糧食費」が2兆1,919億円、「歳出化経費」は1兆9,377億円で、これらの義務的な経費 を合わせますと全体の約8割になります。
「一般物件費」は9,939億円となっています。  

パーソナリティー:

 人件費や後年度負担経費の割合が多いのですね。
 令和3年度防衛予算案の注目すべき点を教えていただけますか。

局長:
 はい、令和3年度予算案においては、特に宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における能力の獲得・強化、次期戦闘機の開発をはじめとした海空領域における能力、スタンド・オフ防衛能力、総合ミサイル防空能力、機動・展開能力の強化等に必要な経費を計上し、防衛力全体の強化を図るものとなっています。また、自衛隊の各種活動を継続的に実施できるよう、弾薬や維持整備など防衛力の持続性・強靭性を強化するとともに、人的基盤や技術基盤の強化等にも優先的に取組むこととしています。  

パーソナリティー:
 宇宙・サイバー・電磁波の領域では、どのような能力の獲得・強化を計画されていますか。

局長:
 はい、現在の戦闘様相は、陸・海・空という従来の領域のみならず、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域を組み合わせたものとなっています。従来の領域の能力に加え新たな領域の能力を有機的に融合することにより、実効的な抑止及び対処を可能とするもので、領域横断的な戦力発揮を行うものです。
 まず、宇宙領域においては、令和8年度をめどに打上げる予定の宇宙設置型光学望遠鏡の整備に着手し、宇宙状況監視の強化をはかることとしています。また、宇宙領域における指揮統制を担う部隊として、これはまだ仮称ですが、宇宙作戦軍を新編するといった組織体制の強化等を図ります。  
 次に、サイバー領域においては、既存の自衛隊指揮通信システム隊を廃止し、陸・海・空自衛隊のサイバー関連部隊から要員を移管して、共同の部隊として、こちらも仮称ですが、自衛隊サイバー防衛隊を新設し、サイバー防護機能の一元化に着手することとしています。
 電磁波領域においては、我が国に侵攻する相手方のレーダー等を無力化する能力を強化するため、スタンド・オフ電子戦機の開発等を行うこととしています。  


パーソナリティー:

 宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域において防衛力を強化していくのですね。  従来の領域の能力の強化は、どのようことが計画されていますか。

局長:
 はい、従来の領域においては、航空機、艦艇、ミサイル等による攻撃に効果的に対処するため、新たな領域と一体となる能力の強化を行います。  
 具体的には令和2年度に引き続き、次期戦闘機に係る研究開発など次世代技術の獲得を推進します。 また、常続監視態勢の強化のため、固定翼哨戒機(P-1)等の取得を進めるほか、相手の脅威圏外から対処可能なスタンド・オフ・ミサイル等も取得し、スタンド・オフ防衛能力の強化を図ります。
 総合ミサイル防空能力においては、一元的指揮統制による経空脅威への対応のため、探知識別能力、情報処理能力等を向上させ自動警戒管制システム(JADGE)の能力向上を図るほか、低高度を変則的な軌道で飛翔する弾道ミサイルに対する対処能力の強化等も進めます。
 加えて、大規模な展開に資する輸送機(C-2)の取得のほか、統合水陸両用作戦訓練をはじめ所要の訓練に係る経費を計上しており、引き続き機動・展開能力の強化を図ることとしています。

パーソナリティー:

 正に多次元領域の防衛力が強化されるのですね。  
 自衛隊にとって、人的基盤の強化も重要だと思いますが、これについては、どのようことが計画されていますか。


局長:

 はい、人口減少と少子高齢化が急速に展開する一方、装備品が高度化・複雑化し、任務が多様化・国際化する中、より幅広い層から優秀な人材を確保することが重要となっており、募集業務の充実・強化を図ることとしています。具体的には、ソーシャルメディア等を意識した話題性の高い採用広報動画の作成や広告バナーを活用し、採用対象者や保護者への広報の推進を図るための予算を計上しています。
 また、女性の活躍、働き方改革の推進、生活・勤務環境の改善を図るため、隊舎や艦艇の女性用区画の整備、テレワーク用端末の整備、子育て中の隊員が安心して任務に従事できるよう、庁内託児施設の整備等を行うこととしています。

パーソナリティー:

 自衛隊の魅力向上につながる取組みですね。
  その他には、どのような予算が計上されていますか。


局長:

 はい、防衛施設と周辺地域との調和を図るため、基地周辺対策を着実に実施するとともに、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的に行うための経費として4,618億円を計上しています。 具体的には、飛行場等周辺の住宅防音事業などの基地周辺対策経費として1,153億円、防衛施設用地等の借上経費等として1,447億円、また、在日米軍従業員の給与・光熱水料の負担や米軍の隊舎・家族住宅等提供施設の整備等に要する経費として在日米軍駐留経費負担2,017億円を計上しています。在日米軍駐留経費負担に関する新たな特別協定は、現在米側と交渉中のため、現行の特別協定に準じ計上しています。

パーソナリティー:
 防衛施設を安定的に使用するための対策や日米同盟の強化に繋がる経費も計上されているのですね。
 ところで国の財政事情は非常に厳しいと伺っていますが、経費の効率化への取組みは何か行っているのでしょうか。

局長:
 はい、重要度の低下した装備品の運用停止や、費用対効果の低いプロジェクトの見直し、仕様の共通化、一括調達など、防衛力整備の一層の効率化・合理化を徹底し、約4,168億円の縮減を図っています。

パーソナリティー:
 経費の効率化にも取組まれ、真に実効的な防衛力の整備に向けた予算編成がなされているのですね。
 本日は、令和3年度予算案について、東北防衛局の熊谷局長にお話をお伺いしました。ありがとうございました。

局長:

はい、ありがとうございました。


パーソナリティー:

このコーナーでは、よりよい内容にしていくため、ラジオをお聞きの皆さまからご意見・ご感想を募集しております。お聞きのコミュニティ放送局までご連絡ください。  

 
 
  
 
このペ−ジのTOPに戻る
 
   


日本の防衛Q&ATOPページ