自 衛 隊 百 科
12月放送内容)


テ-マ:防衛白書について


パーソナリティー:
 本日は東北防衛局の熊谷昌司局長からお話を伺います。
 熊谷局長、よろしくお願いします。

局長:
 はい、よろしくお願いします。
 本日は、令和2年版防衛白書についてお話をしたいと思います。防衛白書は、1970年の創刊からちょうど今年で50周年を迎えました。

パーソナリティー:
 創刊から50周年ですか。半世紀にわたり、防衛白書は歩んできたのですね。50年前ということは、1970年代の安保闘争の時代かと思いますが、どのような信念の下で防衛白書は創刊されたのでしょうか。

局長:
 はい、今からちょうど50年前の1970年、自衛隊に対する世間からの風当たりがまだ厳しい時代にあって、当時の中曽根康弘防衛庁長官の「国の防衛には、何よりも国民の理解と積極的な支持、協力が不可欠である」という強い信念のもと、防衛白書が創刊されました。 その信念は、50周年目の現在も受け継がれているものと思います。
 防衛省では、防衛白書を通じ、防衛省・自衛隊の諸施策・活動等について理解を深めていただくとともに、防衛省・自衛隊と地方公共団体との連携強化を図るため、都道府県知事、市町村長等に対し、防衛白書の説明を行っています。
 山形県においても、県及び全市町村に対し、東北防衛局及び山形地方協力本部から令和2年版防衛白書の説明及び配付を行いました。

パーソナリティー:
 いま、私の手元に新しい防衛白書があるのですが、表紙がピンク色でとても華やかな印象を受けます。  
 この表紙には、どのような思いが込められているのでしょうか。

局長:
 はい、表紙については、令和という元号が万葉集の梅の花の歌をまとめた序文に由来していることから、梅の花の色を基調とし、50年前の創刊時の防衛白書の表紙にも用いられていた富士山を背景としたデザインで、陸・海・空の各自衛隊のマークを用いた表紙となっています。

パーソナリティー:
 梅の花と色を用いた白書ですか…!きれいな装丁ですね。  
 今年の防衛白書の特色を教えていただけますか。

局長:
 令和2年版防衛白書は、よりわかりやすく、使いやすい白書となるよう様々な工夫を凝らしており、主に次の3点が大きな特色となっています。  
 第1に、新型コロナウイルス感染症に対する取組みなど、この一年間の主な防衛省・自衛隊の活動や国際情勢について、白書本文のみならず、10ページにわたる巻頭特集「防衛この1年」において、多数の写真を交えて大きく取り上げるなど、多面的に紹介しています。  
 第2に、白書の内容に関連した動画を50本以上用意し、白書内の関連箇所にスマートフォン等で即時再生が可能なQRコードを配置しています。  
 第3に、国内外の様々な場面において活躍する自衛隊員について、これまでの白書内でも取り上げてきたところではありますが、その数を元年版白書から倍増させ、隊員約50名の生の声を紹介しております。

パーソナリティー:
 防衛省・自衛隊としての取組み等の写真を交えながら幅広く記載しているのですね。
 新型コロナウイルス感染症は、未だ終息が見えず、長い闘いとなりそうですね。
 一方で、国際情勢、特に中国や北朝鮮の動向も気になるところです。防衛白書ではどのように記述されているのでしょうか。

局長:
 はい、まず、中国についてですが、中国軍を「世界一流の軍隊」とすることを目標に、透明性を欠いたまま、継続的に高い水準で国防費を増加させています。2020年度の公表国防費は日本円で約20兆円、10年前より約2.4倍に増加しており、今年度の日本の防衛関係費が約5兆ですので、日本の約4倍です。国防費を増加させ、核・ミサイル戦力や海上・航空戦力を中心に、軍事力の質・量を広範かつ急速に強化しています。
 また、中国は、宇宙・サイバー・電磁波の新たな領域に関する能力も急速に強化しています。 わが国周辺における活動としては、中国機による領空侵犯や領空への接近飛行が頻繁に確認されています。また、尖閣諸島周辺において力を背景とした一方的な現状変更の試みを執拗に継続しており、強く懸念される状況となっています。
 次に北朝鮮ですが、令和元年5月以降、30発を超える新型と推定される短距離弾道ミサイルや潜水艦からの弾道ミサイルを発射しました。北朝鮮は攻撃態様の複雑化・多様化を執拗に追求し、攻撃能力の強化・向上を着実に図っています。このような能力の強化・向上は、発射兆候の早期把握や迎撃をより困難にするなど、わが国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威であり、わが国を含む関係国の情報収集・警戒、迎撃態勢への新たな課題となっています。 そのような内容を記述しています。

パーソナリティー:
 わが国の防衛体制の強化が求められているということですね。

局長:
 はい、陸・海・空自衛隊は、各種事態に迅速かつシームレスに対応するため、平素から領海・領空とその周辺の海空域において情報収集及び警戒監視などの体制を強化しています。

パーソナリティー:
 東北防衛局に関係している記述はありますか。

局長:
 はい、御質問ありがとうございます。 関係する記述としましては、地方防衛局は、防衛行政全般の地方における拠点として全国8か所に設置されていることや、防衛施設と周辺地域との調和を図るための施策として、防衛施設周辺対策事業や在日米軍の駐留に関する理解と協力を得るため、在日米軍再編に係る交付金等の交付、事件・事故発生時の自治体等への速やかな情報提供、在日米軍と地域住民との交流の促進などの様々な取組みについて、記述しています。

パーソナリティー:
 そうなんですね。 先ほど特色の中で巻頭資料について触れていましたが、巻末にも資料が掲載されていますね。どのような内容が記載されているのでしょうか。

局長:
 はい、巻末資料につきましては、「平和を仕事にする」と題して、自衛官の階級や職種、日本全国及び世界を舞台に仕事をする自衛官の声、主な広報施設及び各種イベントのご案内、主要装備品の紹介など、様々な内容を盛り込んでいます。
 また、資料の中には、たった4つの質問から自分に向いている自衛官の仕事がわかる「自衛官適職診断」というものがあり、QRコードから診断することが可能です。陸・海・空各自衛隊から選んで診断することができ、動画付きの結果を見ることができます。自衛隊の職種について知ることができるので、興味がおありでしたら是非やってみてください。
 その他にも、陸上自衛隊が行うイベントの中で最も人気がある富士総合火力演習や自衛隊記念日行事の一環として行われる自衛隊音楽まつりの動画もQRコードから読み取れますので、是非、ご覧いただきたいと思います。

パーソナリティー:
 自衛官適職診断ですか、面白そうですね!私も是非やってみたいです。
 ラジオをお聞きの皆さんに興味を持たれた方がたくさんいらっしゃると思うのですけども、防衛白書を読むにはどうすればいいのでしょうか。

局長:
 はい、令和2年版防衛白書については、令和元年版と同様、書籍として販売されるほか、防衛省ホームページにおける無料によるダウンロードや閲覧もできます。 是非、防衛白書をご覧になっていただき、防衛省・自衛隊をより身近なものに感じていただければと思います。

パーソナリティー:
 はい、ありがとうございます。  
 本日は防衛白書について、東北防衛局の熊谷昌司局長から、お話をお伺いいたしました。熊谷局長、どうもありがとうございました。

局長:
 こちらこそ、どうもありがとうございました。


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