防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(12月放送内容)



 

テ−マ:防衛施設周辺地域における周辺対策事業について(後編)

 
 


パーソナリティー:
 本日は東北防衛局の熊谷昌司局長からお話を伺います。熊谷局長、よろしくお願いします。

局長:
 はい、よろしくお願いします。
 今回は、自衛隊や在日米軍が使用する飛行場などの周辺における騒音対策事業について、ご紹介したいと思います。これは、飛行場や演習場などの周辺にお住まいの方々には、身近な問題として、特に重要度の高い施策であります。

パーソナリティー:
 ではさっそく、よろしくお願いします。

局長:
 はい、騒音対策事業が行われるようになったのは、昭和28年に「日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律(いわゆる特別損失補償法)」が制定され、米軍及び自衛隊の行為による騒音による障害を防止し又は軽減するため、行政措置により、個別に、学校等の防音工事の助成、住宅の移転の補償等が行われたことがはじまりです。
 その後、昭和41年に「防衛施設周辺の整備等に関する法律(通称周辺整備法)」が施行され、学校等の防音工事の助成、住宅の移転の補償等は法制化されることとなりました。 更に、昭和40年代航空機騒音が社会問題化し、関係地方公共団体等から住宅防音工事等の充実が強く要請されるようになりました。これにより、昭和49年「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(いわゆる環境整備法)」が制定され、新たな施策として個人の住宅に対する防音工事の助成が開始されたのです。 工事等の対象により、大きく分けますと、学校・病院等の公共用施設の防音工事への助成、住宅の防音工事への助成、建物等を移転する場合の補償や土地の買い入れの3つの施策があります。

パーソナリティー:
 それでは、それぞれについて紹介していただけますか。

局長:
 はい、まず、学校・病院等の防音工事の助成ですが、具体的には、地方公共団体などが学校、病院、幼稚園などのいわゆる公共用施設の防音工事を行う場合に、その費用の全部又は一部を助成するものです。 音を遮るために防音サッシを取り付けたり、密閉された室内の換気や温度保持のために空気調和機器を取り付け、室内の壁や天井を音を吸収する素材のもので仕上げることが主な内容です。
 また、防音工事を実施した学校等に設置されている空調機器を防音のために稼働した場合の電気料金などの助成も行っています。 ちなみに、平成30年度に防音工事が完了した地方公共団体に対し、防音事業の効果についてアンケート調査を実施したところ、航空機が飛行しても授業を中断することが無くなったとのご意見をいただいております。

パーソナリティー:
 それでは、次に住宅の防音工事への助成について教えてください。

局長:
 はい、住宅の防音工事の助成ですが、こちらは個人の住宅や借家などをその所有者などが防音工事を行う場合に、一定額を限度として、その費用を助成をするものです。
 防音工事の内容は、防音サッシやエアコンなどの空調機器の取り付け、壁や天井を防音効果の高いものに改造するというもので、学校・病院等の防音工事の助成とほぼ同様の内容を住宅において実施しています。

パーソナリティー:
 それでは、次に建物等を移転する場合の補償や土地の買い入れについてお願いします。

局長:
 はい、建物等を移転する場合の補償や土地の買い入れについて、飛行場や演習場の周辺である一定の区域内にある建物等の所有者が、その区域外に移転を希望される場合、建物等の補償や土地の買い入れを行うものです。
 また、建物等の移転には、移転希望者が個別に移転する「個人移転」と、多くの移転希望者が一団となって別の同一地区へ移転する「集団移転」があります。集団移転の場合、移転先に新しい地区を整備することになりますので、地元地方公共団体などが新しい地区を整備するための、道路、上下水道などの公共施設整備費用の助成も行います。 一例を申し上げますと、三沢飛行場が所在している青森県三沢市が主体となって、平成14年度から平成19年度までに、三沢市五川目地区集団移転事業としまして、住宅移転約160戸、開発面積約25haの、移転先地公共施設整備の助成を行いました。

パーソナリティー:
 騒音対策事業には、対象範囲が決められているのですか。

局長:
 はい、まず、学校・病院等の防音工事の助成は、原則として、学校・病院等毎に、定められた方法による音響測定を1週間行い、音響の障害の実態を確認し、音響の強度及び頻度が一定の基準を超える場合に対象となります。
 また、住宅の防音工事の助成及び建物等を移転する場合の補償や土地の買い入れは、飛行場や演習場毎に騒音の度合いを数値で評価し、その値に応じて住宅の防音工事の助成及び建物等を移転する場合の補償や土地の買い入れの対象となる区域をそれぞれ指定し、その区域内にあって、かつ定められた時期までに建築された住宅が対象になります。

パーソナリティー:
 騒音対策事業では、これまでどの位の防音工事や建物の移転をしているのでしょうか。

局長:
 はい、令和元年度までの実績を申し上げると、学校・病院等の防音工事については、東北管内12防衛施設周辺において、合計約500の施設において実施しています。主な防衛施設で言いますと、青森県三沢飛行場周辺では、約160施設、宮城県松島飛行場周辺では、約120施設の助成を行っております。  
 住宅の防音工事については、航空機騒音に係る施設として、青森県三沢飛行場周辺、三沢対地射爆撃場周辺、八戸飛行場周辺及び宮城県松島飛行場周辺の4施設周辺において、令和元年度までに延べ約49,000世帯、約1,100億円の補助を、また、砲撃音騒音に係る施設として、岩手県岩手山中演習場周辺、宮城県王城寺原演習場周辺の2施設周辺において、令和元年度までに延べ約900世帯、約75億円の補助を行っています。  
 建物等の移転補償については、青森県三沢飛行場周辺、三沢対地射爆撃場周辺、八戸飛行場周辺及び宮城県松島飛行場周辺、王城寺原演習場周辺の5施設周辺において、約2,000件の移転補償を行っています。

パーソナリティー:
 騒音問題というのは、周辺住民にとって、とても身近な問題ですからね。

局長:
 はい、そのとおりです。  
 自衛隊や米軍が使用する飛行場等は、わが国の平和と安全を確保するためには必要不可欠なものですが、一方で、飛行場などの周辺にお住まいの方々は、日々の騒音に悩まされているという実態があります。このような障害を防止又は軽減し、地域のご理解、ご協力をいただいて、初めて防衛施設を安定的に使用できるものと考えています。そのためには、今お話しした騒音対策事業というものが非常に重要な役割を担うこととなります。このため、当局では、騒音対策事業の実施に必要な十分な予算の確保などを、日々、努力しているところです。

パーソナリティー:
 本日は、防衛施設周辺における騒音対策事業について、東北防衛局の熊谷局長に、お話しをお伺いしました。どうも、ありがとうございました。

局長:
 はい、どうもありがとうございました。

 
 
  
 
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