自 衛 隊 百 科
10月放送内容)


テ-マ:陸上自衛隊と防衛局について


パーソナリティー:
 本日は東北防衛局で、総合調整官として勤務されている陸上自衛官、菅原(すがわら)竜也(たつや)3等陸佐からお話をお伺いします。菅原さん、よろしくお願いします。

総合調整官:
 はじめまして。菅原です。よろしくお願いします。

パーソナリティー:
 東北防衛局へはいつからお勤めなのですか。

総合調整官:
 今年の3月から勤務しています。

パーソナリティー:
 総合調整官のお仕事はどのようなお仕事なのでしょうか。

総合調整官:
 総合調整官というポストは、法律の改正に伴い設置されたポストでして、北は北海道から南は沖縄まで、各防衛局に配置されていまして、その仕事をひと言で言うと、防衛局と自衛隊部隊をつなぐ「かけはし」の役割です。平成18年の組織改編で統合幕僚監部が新たに設立され、自衛隊の統合運用が発足し、翌19年9月に現在の総合調整業務の体制が確立されました。
 東北防衛局においては、陸、海、空の自衛隊部隊と建設工事等について調整する総合調整官が3名と、米軍の訓練や地方公共団体等との調整について自衛隊と連携する総合調整官が1名、計4名が勤務しています。
 私は陸上自衛隊の建設工事を担当する総合調整官でして、東北6県に所在する陸上自衛隊の駐屯地や演習場等の建設工事に関する要望の取りまとめや、防衛局が自衛隊の要望を反映して作成した建物の設計、建設工事の状況等について、自衛隊側へ連絡・確認する等の業務を行っています。

パーソナリティー:
 防衛局と部隊とをつなぐ「かけはし」とは、とても重要な役割を担っているのですね。
 総合調整官として、何か意気込みや考えていることはありますか。

総合調整官:
 はい。東北防衛局は、東北地方における防衛行政の拠点であり、防衛力の基盤である、防衛施設の安定使用確保等を行っています。 このことから、「すべては部隊、隊員のために。東北のために。国民のために。」と考えて業務にあたっています。

パーソナリティー:
 部隊や隊員のために、建設工事の面で具体的にはどのような調整業務をなされているのですか。

総合調整官:
 総合調整官になる前は、部隊側の建設工事担当であったため、東北6県全ての駐屯地、分屯地の建物の状況を、現地に赴き自らの目でつぶさに確認する機会を得ました。
 自衛隊は、建設から70年以上も経過した旧軍施設、進駐軍の施設のほか、50年以上前の自衛隊設立時や駐屯地開設時に建設した建物を、補修や修繕、部分的な改修を繰り返しながら、丁寧に大切に使っているところが現状です。ただし、どんなに大切に使っていても、経年による老朽化が著しい状況です。厳しい財政事情の中、全ての老朽化した建物を改修することは難しいところですが、引き続き予算を要求し、その範囲において維持補修等を行い、部隊、隊員のために、東北のために、これら老朽建物をなんとかしたいと考えております。

パーソナリティー:
 自衛隊の建物の老朽化が進んでいるというお話は、以前お伺いしたことがあります。
 自衛隊の建物を良くすることが、部隊や隊員さんにとっては良いことだとは理解できるのですが、「東北のために。国民のために。」にはとどのように繋がるのでしょうか。

総合調整官:
 老朽化した倉庫を、大きな倉庫、即応性に主眼を置いた倉庫、大地震でも破損しない倉庫に集約して建替えることにより、効率的に出動準備ができ、より迅速に救助活動等に従事できるようになります。救えるはずの命を救い、守れるはずの財産を守る。ひょっとしたら、今までは救えなかった命も守れるかも知れない。これが、具体的効果として、「東北のために。国民のために。」に繋がる部分です。
 また、自衛隊施設を改善することは、隊員の士気高揚に間違いなく繋がりますし、高い士気は、部隊の精強性の根源となります。これは、目には見えない効果ですが、よりやる気があって、より精強な自衛官が、より高い意識をもって、「東北のために。国民のために。」と考え現場に進出することになります。

パーソナリティー:
 ありがとうございました。
 自衛隊施設を良くすることが、隊員1人1人の士気を高め、ひいては部隊が「東北のために。国民のために。」という高い意識を持つことに繋がることがわかりました。目に見えない効果、については、自衛官ならではの意見だと感じます。

総合調整官:
 私自身、今は東北防衛局の総合調整官という、現場の最先端からは少し離れた立場ではありますが、阪神淡路大震災、東日本大震災の他、宮城県内の山林火災等の災害派遣、ハイチ派遣国際救援隊にも参加しました。
 東日本大震災時には、現場隊員を指揮する中隊長として、岩手県宮古市、大槌町、宮城県気仙沼市等で災害派遣活動に従事していました。今までの経験の中で、自らの身体を動かして活動する現場の隊員としての苦労、人・物・建物等、限られた基盤の中で、効率的・効果的に、よりよく任務を達成しなければならない部隊の苦労も身に染みて分かっているつもりです。
 陸上自衛隊の建物の現状、現場の苦労を知っているからこそ、「東 北のために。国民のために。」をゴールとして、「部隊のために。隊員のために。」東北防衛局の総合調整官として、防衛施設の整備の面から部隊を応援したい、と考えています。

パーソナリティー:
 はい、本日は東北防衛局の総合調整官の菅原さんからお話を伺いました。
 菅原さん、どうもありがとうございました。

総合調整官:
 こちらこそどうもありがとうございました。 引き続き、東北地方にお住まいの皆様のために、東北の陸上自衛隊のために頑張ってまいります。


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