自 衛 隊 百 科
9月放送内容)


テ-マ:自衛隊の装備品について


パーソナリティー:
 本日は東北防衛局の熊谷昌司局長から自衛隊の装備品についてお話を伺います。 熊谷局長、どうぞよろしくお願いします。

局長:
 はい、よろしくお願いします。 陸海空各自衛隊は、戦車や戦闘機、護衛艦や潜水艦、また、自衛官が着用している制服や迷彩服、ブーツなど、多種多様な装備品を使用しております。これらの装備品は、平素の訓練をはじめ、災害派遣活動など、自衛隊がその任務を遂行するに当たり、大変重要な役割を果たしています。
 本日は、多様な装備品の中から、特に、陸上自衛隊の携行小火器の更新についてご紹介するとともに、最近、各種メディアにおいて話題となった装備品のオークションについてもご紹介したいと思います。

パーソナリティー:
 はい、お願いします。

局長:
 はい、それでは、まず、今年度新たに更新された、陸上自衛隊の携行小火器について紹介したいと思います。 小火器とは、小銃や拳銃、機関銃など比較的火力の小さい武器で、隊員一人で携行できるものを言います。 その小火器の中で、今年度、小銃と拳銃が更新されました。 自衛隊が使用した小銃としては、戦後初の国産自動小銃「64式7.62mm小銃」や現在自衛隊で主力の「89式5.56mm小銃」などがありますが、1989年度以来、実に31年ぶりに更新されました。この背景には、我が国を取り巻く安全保障環境において、様々な課題や不安定要因がより顕在化・先鋭化してきており、その中でも特に離島防衛において、装備品の排水性、さびを防ぐ防錆性の向上、射程の延長、可変性といった性能の向上が求められたことがあげられます。 更新にあたり、陸上自衛隊が要求する性能を満たしている海外製を含めた3種類の小銃を取得し、実際に試射試験を行い、また、経費等を比較検討した結果、最も評価点数が高かった豊和工業株式会社の5.56mm小銃が選定されました。 今回の小銃は、陸上自衛隊にとって国産では3代目になり、3代続けて豊和工業が製造することになりました。 新しい小銃は、現行の89式小銃と比べ、耐環境性が向上し、火力性能及び拡張性に優れており、今年度は、予算約10億円を計上し、約3,300丁を購入します。1式当たりの単価は約28万円となります。

パーソナリティー:
 31年間も更新されていなかったのですね。 拳銃は何年ぶりの更新ですか。

局長:
 現在、使用している拳銃は1982年から採用されていますので、38年ぶりの更新となります。こちらも小銃同様、三種類の拳銃を取得し、比較検討した結果、ドイツの銃器メーカ、ヘッケラー&コッホ社製のSFP9が選定されました。今年度約320丁を購入し、今後、各部隊に配備されます。価格は一式当たり約7万円です。

パーソナリティー:
 そうなんですね。 先ほど64式小銃や89式小銃という名称が出てきましたが、この○○式という名称はどういう意味ですか。

局長:
 はい、○○式というのは、その装備品が制式化された年度が名称になっています。制式化年度とは、研究や開発から試作品を経て、その装備品の調達が開始された年度のことです。89式5.56mm小銃は、1989年度に調達が開始されましたので、西暦の下二桁を採り89式となります。

パーソナリティー:
 そうだったんですね。  
 それでは、次に、自衛隊の装備品のオークションについてご紹介いただけますか。

局長:
 はい、最近のニュースで、自衛隊が装備品をオークションしたということを聞かれた方もいらっしゃると思います。これは、防衛省・自衛隊が、自ら国の収入を増やす試みとして、自衛隊で不要になった装備品のオークションを行うことにしたのです。これまで、鉄くずや廃棄物として売払い又は処分していた装備品をオークションにかけることによって、国庫への収入の確保に貢献しようという取組みです。  
 本年7月26日、防衛省内で行われた初回となるオークションには、戦車用ブーツやC-1輸送機の操縦かんや航空自衛隊パイロットのヘルメットなど約30品目が出品され、事前に抽選で当選した176人の方が参加しました。落札総額は税抜き約580万円で、最高落札額を記録したのは、航空自衛隊パイロットのヘルメット・酸素ボンベ・バックのセットで、開始価格は3万円でしたが、最終的には66万円で落札されました。

パーソナリティー:
 国の財政状況が厳しい中での収入確保の取組みとして、オークションとは面白いアイデアですね。

局長:
 はい、河野防衛大臣は、記者会見で、いずれネットオークションなど、もっと幅広く大勢の方が参加できるようなこともやりたいと言っていますので、放送をお聞きの皆さんも参加できるようになるかも知れません。

パーソナリティー:
 毎年、多種多様な装備品を購入していると思いますが、国の財政も厳しい中、防衛省・自衛隊ではオークション以外で何か取組みを行っているのでしょうか。

局長:
 はい、御指摘のとおり、わが国の財政事情は厳しい状況です。徹底したコスト管理や抑制を行う必要があることから、現在所有している装備体系を検証して、合理的な装備の体系を構築し、各自衛隊の運用に必要な能力などを踏まえ、装備品のファミリー化、仕様の共通化、各自衛隊が共通して保有する装備品の共同調達などを進めています。 また、航空機などの種類の削減、重要度の低下した装備品の運用停止、費用対効果の低いプロジェクトの見直しなどを行っています。 令和2年度予算においては、これら各種効率化対策に取り組むことで約4,313億円の縮減を図ることとしています。

パーソナリティー:
 そうなんですね。 ところで、装備品のファミリー化とは、どのようなことですか。

局長:
 はい、装備品のファミリー化とは装備品について、基本的な構成部品を共通化し、機能、性能などにバリエーションを持たせることで異なる運用要求に応えるようにすることです。これにより、補給整備性の向上、ライフサイクルコストの低減、研究開発の効率化が図られます。 例えば、陸上自衛隊の次期装輪装甲車の「人員輸送型」、「指揮通信型」、「患者輸送型」などの「ファミリー化車両」があげられます。

パーソナリティー:
 防衛省・自衛隊もコスト削減のため様々な取組みを行っているのですね。  
 本日は、東北防衛局の熊谷昌司局長から、自衛隊の装備品について、お話を伺いました。ありがとうございました。

局長:
 こちらこそ、どうもありがとうございました。


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