防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(7月放送内容)



 

テ−マ:郡山防衛事務所について

 
 


パーソナリティー:
 本日は福島県郡山市に所在する東北防衛局郡山防衛事務所の古川(こがわ)洋彰(ひろあき)所長からお話を伺います。古川所長、よろしくお願いいたします。

所長:
 はい。よろしくお願いします。

パーソナリティー:
 古川所長は、福島の郡山に来られてどのくらいになりますか?

所長:
 はい。1年半程になります。

パーソナリティー:
 ちなみに、郡山の前はどちらで勤務されていたのですか?

所長:
 郡山の前は、お茶処で有名な京都の宇治市にあります、陸上自衛隊の宇治駐屯地というところで勤務をしておりました。

パーソナリティー:
 私も宇治抹茶大好きです(笑) 京都勤務で何か印象に残ったことはありますか?

所長:
 はい、そうですねえ、最近全国的に災害が多いように感じますが、私が勤務していた当時も、大阪府北部地震や西日本豪雨災害など毎年のように地震や台風などの災害が続き、その度に災害派遣活動に携わっていたというのは印象に残っています。
 その一方で、休日はよくお寺や神社を巡ったり山歩きをしていたのですが、ある時から仏像の彫刻に興味を持ちまして、教室にも通ったりしまして、今でも家で夜な夜な仏像を彫ったりしています(笑) 

パーソナリティー:
 えっ、仏像彫刻ですか!?

所長:
 はい、煩悩が減るかなと思って始めてみたのですが、全く減りませんね(笑) この話になると、止まらなくなってしまいますので本題に行きましょうか(笑)

パーソナリティー:
 彫ってるだけでは煩悩は減りませんか!?(笑) 仏像のお話が止まらなくなるとのことですので、本題に入りましょう。 (笑) 
 それではまず、東北防衛局郡山防衛事務所はどのようなお仕事をされているのですか?

所長:
 はい、郡山防衛事務所では、東北6県にございます企業の工場で製造されている自衛隊で使用する装備品等について、部隊に納品される前に、製品の品質や状態について、契約の内容に沿ったものかどうかを監督検査する業務を行っております。

パーソナリティー:
 福島の郡山の事務所で、東北6県を管轄しているのですね。郡山の事務所から東北6県にあるそれぞれの工場に実際に行って検査するのですか?

所長:
 はい、事務所において検査する品目もあるのですが、多くの品目は、検査官が直接企業の工場に出向いて検査を行います。ちなみに、現在、東北6県において自衛隊の装備品等の製造に携わっていただいている企業の数は、その年によって増減はあるのですが、約80社ほどございまして、年間約500件前後の検査を、8名の検査官でそれぞれ担当を決めて行っております。

パーソナリティー:
 その都度、東北6県に点在する工場に出張しての検査ですから大変そうですよね。ところで、東北6県ではどのような装備品が作られているのでしょうか?

所長:
 はい、東北地方には、航空機用のバッテリーや通信機器などの部品などを製造する電気通信関連企業をはじめ、防寒靴や安全靴などの革製品などを製造する企業などもありますが、実は最も多いのは、自衛官が着る制服や迷彩服など、衣類関係を製造する繊維業が東北各県に多く所在しています。
 他にも、自衛隊が野外などで指揮所として使用する天幕を製造している企業、戦闘機やヘリコプターの搭乗員が着用する救命胴衣、空挺部隊いわゆる落下傘部隊が使用する落下傘、自衛隊の大型トラックのタイヤ、航空機の機体の整備、それと先日都心上空を飛行したブルーインパルスなどのジェットエンジンを製造している企業など、多種多様な装備品等が東北の企業でも作られ、自衛隊の活動、ある意味、我が国の安全と平和を支えていただいております。

パーソナリティー:
 なるほど、東北にも様々な企業が自衛隊の装備品の製造を通じて日本の防衛に関わっていらっしゃるというわけですね。そして、郡山防衛事務所の皆さんは、それらの製品の監督検査を行っているということですね。
 実際に検査というのはどのような事をされているのですか?

所長:
 はい、簡単に申し上げますと、防衛省自衛隊が作成した仕様書という性能が書かれたものがございまして、寸法であったりとか、使用する材料の品質であったり、必要な機能であったり、耐久性能や安全性能などがそれに書かれています。 もちろん品目よって内容は異なりますが、検査官は、工場においてその実際の現物を見ながら寸法や重さの測定、時には長時間水槽の水に浸したり、航空機の整備にいたっては実際に飛行して、品質を満たしているかどうかという検査を行っております。

パーソナリティー:
 検査で何か苦労されている点などはございますか?

所長:
 そうですねえ、苦労と言うほどの事ではありませんが、先ほども申し上げました通り、多種多様な品目を検査するのですが、必ずしも自分の専門分野ではない場合もありますので、それぞれの専門的な知識を自学研鑽、事前準備してから検査に向かうというところでしょうか。

パーソナリティー:
 ちなみに、古川所長ご自身も工場に行かれたりするんでしょうか?

所長:
 はい、時々検査官と一緒に工場をまわります。これまで20社ほど行きました。

パーソナリティー:
 実際に工場に行かれて製造現場をご覧になって、何かお感じになられた事とかありますでしょうか?

所長:
 はい、企業の従業員の皆さんは物作りに対して、こだわりと誇りを持って取り組まれているということを強く感じました。
 特に自衛隊の装備品というのは、隊員が着用又は使用する上で、様々な悪条件の環境下で使用されることが想定されております。例えば、耐久性や防水性、隊員が動きやすいように運動性や操作性、海水など錆による腐食を防止する加工であったり、隊員の身の安全を守る防護性や安全性などといった要求がものすごく多く仕様書に含まれておりますので、作る側としては相当な手間のかかるものだと思いますが、そこをしっかりと作り込んでいただいています。
 また、一般に市販されていないものが大半ですので、大量生産というよりは、少量多品種のような製造だと思うのですが、中には職人さんと呼ばれる方々がいらっしゃって、誰でもできるという訳ではなく、まさしく職人さんの「匠の技」が必要な行程もあるのだそうです。しかしながら、最近はその職人さんの高齢化が進み、後継者育成に苦慮されているというお話もよく工場の現場で耳にします。  
 余談になりますが、先日、自衛官の制服や迷彩服を製造する縫製工場にお伺いした際に、女性の従業員の方からお聞きした話なのですが、小学生の子供さんと一緒にテレビをご覧になっていて、自衛官の制服や迷彩服を着ている隊員の姿がテレビに映ると、「お母さんは、あの人達の服を縫っているんだよねえ、って子供に言われて元気付けられているんですよ。」と嬉しそうにおっしゃっていたその女性の方のお話がとても印象的で、私もジーンと胸に来ました。

パーソナリティー:
 いいお話ですね。自衛隊の装備品などの製造に携わっていらっしゃる工場の方々の苦労話やエピソードが聞けるとは思いませんでした。

所長:
 はい、私自身も、郡山防衛事務所での勤務が無ければ聞けなかった話だと思ってますし、そういう意味では、装備品等の製造に携わっていただいている東北6県の企業の従業員の皆様やそのご家族の想いも込めて、しっかりと検査をし、自衛隊の部隊に装備品を届けるとともに、今後も自衛隊の活動が東北の皆様方にご理解ご協力いただけるよう我々も努めて参りたいと思います。

パーソナリティー:
 本日は、東北防衛局郡山防衛事務所の古川(こがわ)洋彰(ひろあき)所長からお話を伺いました。古川所長ありがとうございました。

所長:
 こちらこそ、ありがとうございました。

パーソナリティー:
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