防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(6月放送内容)



 

テ−マ:防衛力を支える人的基盤の強化についてA

 
 


パーソナリティー:
 本日は東北防衛局の熊谷昌司局長からお話を伺います。熊谷局長、よろしくお願いします。

局長:
 はい。よろしくお願いします。 前回の放送では、「防衛力を支える人的基盤の強化」の取組のうち、募集・採用についてご紹介しました。本日は、前回に続き自衛官の教育や生活・勤務環境の改善などを中心にご紹介したいと思います。

パーソナリティー:
 前回は、自衛官の採用について、幅広い層から多様な人材を確保するため、採用上限年齢を引き上げ、採用・任用基準の拡大を行ったとのことでしたね。

局長:
 はい、平成30年に、一般曹候補生及び自衛官候補生の採用上限年齢を「27歳未満」から「33歳未満」に引き上げる等の措置を講じました。
 自衛官の募集環境は、人口減少や少子高齢化の急速な進展によって、厳しくなってきていますが、確固とした入隊意思を持つ優秀な人材を採用できるよう取組んでいます。  そして、入隊した自衛官個々の能力を高めることは、部隊の任務遂行に不可欠な要素です。このため、入隊直後には、各自衛隊それぞれの教育部隊などにおいて、最長で約1年間、必要な知識・技術の習得のための教育を受けます。
 その後は、階級や職務に応じて、段階的かつ体系的な教育を行うことにより、必要な資質を養うと同時に、職種に応じた知識及び技能を修得します。

パーソナリティー:
 教育は、具体的にはどのように行われているのですか。

局長:
 まず、陸海空自衛隊には、約50種類の職種というものがあり、それぞれに応じて高度な専門知識と技術が必要とされます。
 教育は、各自衛隊の教育部隊において行われるほか、陸上自衛隊ですと、骨幹となる普通科をはじめ、各種ヘリコプターにより地上部隊を支援する航空科や施設器材を駆使して戦闘部隊を支援する施設科といった16個の職種に応じて、専門的に教育を行う航空学校や施設学校といった各種学校があり、自衛隊内において学ぶことができます。さらに専門の知識や技能を高める必要がある場合や、自衛隊内で修得することが困難な場合は、海外留学を含め、部外教育機関、国内企業、研究所などに教育を委託しています。
 実効性のある効率的な教育を行うためには、特殊な技能を持つ教官の確保、装備品や教育施設の整備など、非常に大きな人的、時間的、そして財政上の努力も必要となります。 また、時代や体制の変化に合わせ、陸海空統合教育の充実や、外国語教育を行うとともに、相互理解を目的に留学生の受け入れも行っています。

パーソナリティー:
 自衛官は入隊後も様々な教育により個々の能力を高めているのですね。

局長:
 はい、自衛官は、能力向上のため、様々な教育を受け、日々訓練も行っています。
 自衛隊の部隊などにおいて行う訓練は、「隊員個々の訓練」と「部隊の訓練・演習」の2つに大別されます。
 「隊員個々の訓練」は、隊員それぞれの職務に必要な技量の向上を目的としており、射撃訓練や車両操縦訓練など、隊員の職種などの専門性や隊員の能力に応じて、個別的、段階的に行われます。 「部隊の訓練・演習」は、部隊の組織的な能力の練成を目的とし、小部隊から大部隊へと訓練を積み重ねながら、部隊間での連携などの大規模な総合訓練も行っています。

パーソナリティー:
 大規模な訓練となると、広大な面積が必要だと思いますが、どのようなところで訓練を実施するのですか。

局長:
 陸上自衛隊の場合ですと、大規模な総合訓練は、各地の演習場等で実施しています。
 東北地方では、宮城県に所在する王城寺原演習場が、対戦車ヘリコプター、榴弾砲、戦車等の訓練が可能な大規模演習場であり、全国5番目の広さとなっております。
 自衛隊の訓練は、可能な限り実戦に近い環境で行う必要がありますが、広さや周囲との関係等から制約も多いため、平成30年12月に策定された防衛計画の大綱においては、北海道をはじめとする国内の演習場などの整備・活用を拡大し、より効果的な訓練・演習の拡充を進めることとしています。
 また、地元との関係に留意しつつ、米軍施設・区域における自衛隊による共同使用の拡大を促進し、さらには、米国・オーストラリアなどの国外の良好な訓練環境の活用を促進するとともに、シミュレーターなどを一層積極的に導入することとしています。

パーソナリティー:
 訓練の実施にも様々な取組がなされているのですね。 時々、自衛隊の訓練中の事故等について、耳にすることがありますが、安全管理の取組み等は行っていますか。

局長:
 はい。防衛省・自衛隊が国民の生命や財産に被害を与えたり、隊員の生命を失うことなどにつながる事故は、何としても避けなければなりません。そのため、日頃の訓練にあたっては、安全確保に最大限留意するなど、平素から安全管理に一丸となって取組んでいます。
 ところが、最近では、昨年4月、三沢基地所属のF−35A戦闘機1機が、青森県東方の太平洋上で墜落し、隊員1名が殉職する事故が発生しました。この事故を受け、原因究明を行った上で、パイロットに対する教育・訓練及び機体の特別点検を実施するなど再発防止策を徹底しました。
 防衛省・自衛隊としては、事故原因について徹底的な原因究明を行った上で、今一度、隊員一人一人が安全管理にかかる認識を新たにし、防衛省・自衛隊全体として再発防止に全力で取組んでいます。

パーソナリティー:
 訓練中の事故についても再発防止策を行っているのですね。 次に、自衛官の生活・勤務環境についても教えていただけますか。

局長:
 はい、わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、各種事態に持続的に対応できる態勢を確保するためには、隊員が心身ともに健全な状態で、高い士気を保って、その能力を十分に発揮できるような環境を整えることが必要です。
 このような考えから、防衛省・自衛隊では、ワークライフバランスに関する取組みを進めています。 全ての隊員が能力を十分に発揮して活躍できるよう、ワークライフバランス確保のため、長時間労働の是正や休暇の促進などにも努めています。
 また、不規則な勤務態勢である自衛隊の特性に合った託児施設を駐屯地や基地等に整備するなど、隊員が育児・介護をしながら活躍できるための環境整備も進めています。
 更に、自衛官の任務の危険性や特殊性、地域の特性などに応じた適切な処遇を確保するために、特殊勤務手当などの改善を図ることとしているほか、隊員が士気高く、誇りを持って任務を遂行できるよう、防衛功労章の拡充をはじめ、栄典・礼遇に関する施策を推進することとしています。

パーソナリティー:
 自衛隊においてもワークライフバランスの取組みを進めているのですね。
 本日は東北防衛局の熊谷昌司局長から、防衛力を支える人的基盤の強化についてお話を伺いました。熊谷局長ありがとうございました。

局長:
 こちらこそ、どうもありがとうございました。

パーソナリティー:
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