特集!日米共同訓練
日米共同訓練(FTX)
日米安保条約に基づく日米安全保障体制は、わが国の防衛の柱の一つであり、また、日米安全保障体制を中核とする日米同盟は、わが国のみならずアジア太平洋地域の平和と安定のために不可欠なものです。更に、同盟に基づく日米間の緊密な協力関係は、世界における安全保障上の課題に効果的に対処する上で重要な役割を果たしています。
自衛隊と米軍は、戦術面などの相互理解と意思疎通を深め、相互運用性を向上させるとともに日米の共同対処能力を高めるため、平素より様々な共同訓練を実施しています。昭和60年度以降、日米共同統合演習として、おおむね毎年交互に指揮所演習または実動演習を行ってきています。
また、各自衛隊は、国内のみならず、米国に部隊を派遣するなどして、日米共同方面隊指揮所演習、対潜特別訓練、日米共同戦闘機戦闘訓練など共同訓練を拡大し、軍種・部隊レベルにおいても相互運用性及び日米の共同対処能力向上の努力を続けています。
平素から共同訓練を行うことは、相互の能力や戦術についての理解を深め、日米共同対処能力の維持・向上に大きく資するのみならず、日米それぞれの戦術技量の向上を図る上でも有益であり、とりわけ、実戦経験豊富な米軍から習得できる知見や技術は極めて貴重で、自衛隊の能力向上に大きく資するものです。また、効果的な時期、場所、規模で共同訓練を実施することは、日米間での一致した意思や能力を示すことにもなり、抑止の機能を果たすことになります。これらの観点を踏まえ、防衛省・自衛隊は、引き続き共同訓練の内容の充実に努めてまい
ります。 なお、北関東防衛局の担当地域においても、平成26年2月下旬から3月中旬に、関山演習場(新潟県)及び相馬原演習場等(群馬県)において、陸自第12旅団と米海兵隊による実動訓練が予定されており、現在、日程、訓練内容及び使用装備等に関する調整が行われています。
日米共同訓練では、米軍人に日本に対する理解や親近感を高めてもらうため、代表的な日本文化である書道、茶道及び剣道等を紹介し、体験してもらっているほか、米軍人に日本人の家庭を訪問してもらい、日常の家庭生活を見せたり、家族ぐるみで交流したりするホームビジットを行うなどの様々な交流が行われています。
また、平成24年12月に、陸上自衛隊の仙台駐屯地(宮城県仙台市)で実施された平成24年度日米共同方面隊指揮所演習(YS-63)においては、東日本大震災時に「トモダチ作戦」を遂行した米陸軍が訓練に先立って慰霊を行いましたが、米軍人の一人は「被災地の一日も早い復興を願うとともに、自分に何ができるか考えたい」とコメントしていました。このような交流は、日米両国の隊員同士のみならず、地域の皆様との交流にも寄与し得るものと考えています。
北関東防衛局 管理部施設管理課 取得第一係長 前田朋弘
また、本訓練における地方防衛局の業務に関し、普段、我々地方防衛局が行っている業務の延長線上で、事態対処時に何をすべきかを具体的に一つ一つ検討し訓練に臨んでおり、非常に興味深く見させてもらいました。特に、現在私は、施設用地の業務に従事しておりますが、本訓練では事態対処の際に、部隊の運用地としてよその土地をお借りする必要が生じた場合を想定し、具体的な手続をシミュレーションしていました。実際に事態対処時に的確な業務を行うためには、日頃の業務経験ではなく、このような訓練が必要であると感じました。
最後に、本訓練において、北海道防衛局は、このような業務に限らず損失補償業務や自治体等への情報提供等、実際に起こりうる事態にどう対応していくかという様々な訓練を実践的に行っており、それを研修できたことは、我々地方防衛局の果たすべき役割の重要性を改めて感じさせられ貴重な経験となりました。
平成25年11月16日、北関東防衛局において、「平成25年度北関東防衛局防災訓練」が行われました。当日は、午前10時過ぎに東京湾北部地震が発生したとの想定の下、訓練開始直後に、渡邉北関東防衛局長から、非常勤務態勢の発令、職員の安否確認、対策本部の設置及び本省、東部方面総監部への連絡員の派遣準備等の指示が出され、各担当部署は速やかに対応しました。
午後1時からは、発災から3日後を想定した「対策本部会議」が開かれ、山田事態対処支援室長から、被害状況や防衛省、自衛隊、米軍及び当局の活動状況等の報告がなされ、当局の対応が十分であるかについての議論が行われました。最後に、渡邉局長から「災害が発生した場合、情報を速やかに収集し、局長の指揮統制下で一元的に対応することが重要」等の講評があり、対策本部会議は終了しました。
午後3時30分から、北関東防衛局本局の全職員を対象として、東日本大震災の勤務経験者による講演が行われました。まず最初に、東日本大震災当時、東北防衛局企画部地方調整課長であった藤井企画官(現人事教育局衛生官付)から、「東北防衛局の活動」について説明があり、特に、甚大な被害を受けた松島基地における滑走路の健全性調査や燃料給油支援業務、航空灯火の仮復旧工事等の各種復旧工事に係る技術支援について職員は熱心に聴き入っていました。
次に、東北方面総監部総務部広報室長であった奥村1等陸佐(現北関東防衛局防衛補佐官)から、「災統合任務部隊の活動」について説明があり、講演の最後に「防衛省・自衛隊は最後の砦。予期をもって不期を討つ。備えは十分ですか」との問いかけに対し職員は改めて真剣に考えていました。
北関東防衛局では、今後とも、継続的にこの様な教育を行うとともに、災害時における自衛隊・米軍に対する各種支援活動や関係自治体との緊密な連携に主体的かつ積極的に取り組んで行きたいと考えております。
11月23日(土)、朝霞駐屯地の自衛隊体育学校において、北関東防衛局の主催で「オリンピックと自衛隊」をテーマとした防衛セミナーが行われました。北関東防衛局では、東京オリンピック・パラリンピック開催決定を受け、今後様々な分野で五輪への協力を行っていく防衛省・自衛隊に対して、地域住民からの一層の理解を得るため、自衛隊体育学校と連携して開催したものです。
セミナーには、7年後の東京オリンピックで活躍する年齢層である小学校4年生以上の児童とその保護者約100名が参加しました。参加者は、最初に体育学校内の過去のオリンピックメダリストのパネル等が展示されている広報展示室やレスリング、ウェートリフティング、馬術競技等のトレーニング場を見学し、実際にバーベルを持ち上げたり、馬への餌やりを体験しました。
北関東防衛局は、このような「体験型」のセミナーも企画し、防衛省・自衛隊に対する理解を深めて戴けるように努めて参ります。