ドライドック


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  艦艇を見ていて、海面下にある船底部分を整備する時どうするのか?と、ふと疑問に思った方も居るかと思います。
今回はその疑問にお答えしたいと思います。
 
 小型の船舶等はクレーンで吊り上げて陸上に降ろしてから整備をしたりしますが、
護衛艦のような大型の艦船となると、とてもクレーンでは吊る事ができません。
 
 では、どうやって整備するのかといいますと、ドライドック(日本語で「船渠」:せんきょ)と言うところに入って整備します。
これを入渠(にゅうきょ)と言います。

 艦船は、工場の岸壁に掘られたドックに進入すると、海と繋がっている門が閉められドック内は海と遮断されます。
その後ドック内の海水をポンプで徐々に排水していきます。
排水は、船の位置を微調整しながら、ゆっくりゆっくり行われていきますのでかなり時間がかかります。
最終的に盤木(ばんぎ)という渠底(きょてい)に設置された構造物に船体を乗せるのですが、
完了する直前に一旦排水を止めて、ダイバーが潜水し安全と船体位置の確認を実施します。
異常が無ければ排水を再開し着底させます。着底後に艦内に陸上から電気を供給して概ねの入渠作業は終わります。

 入渠が完了すると、海に浮かんでいる時には出来ない、船底に設置されていて外すと浸水するような機器等の整備や
外に付着したフジツボなどの除去清掃等を行い、ペンキで塗装したりします。前に話したスクリューの整備もこの時行います。
整備に必要なクレーン車等の機材は陸上に設置された大型クレーンで吊り下げ渠底に入れます。


出渠(しゅっきょ)は入渠の逆手順で行います。



補足その1
 入渠する時は、艦内の機器の冷却に使用する海水が排水されてしまい使えなくなるため、
全ての機器を停止します。なので発電機も起動できず、艦内は真っ暗で空調もありません。
そのため夏の日は汗だくになります。
艦のエンジンも停止させているので、タグボートやワイヤーの助けを借りて入渠させます。

補足その2
 入渠して着底する時、船体のバランスが悪いと転倒してしまいます。それを回避するために、
バランスを調整(艦内の残存燃料をタンクからタンクへ移動)したり、鉄のブロック(微調整用)をクレーンで甲板上に
乗せてたりして船体をほぼ水平に保ちます。調整は、搭載されている機器の配置、重さ、高さ等も
区画毎にグラム・センチ単位で調べて計算し、調整します。

補足その3
 ドックは他に浮きドック(Floating Dock:フローティングドック)という種類もあります。
下の図の様に、地面を掘って作られたドライドック(乾ドック)とは異なり、その名の通り海の上に浮いている船のようなドックです。
入渠手順は乾ドックと同じですが少々勝手が違う所もあります。
まず浮きドック自体をポンプでタンク内に注水して海に沈めます。
入渠する船が沈んだドックの上に来る様にボートやワイヤーで移動させます。
丁度いい位置になったら、徐々にドックのタンクから海水を排水して浮上させていきます。
一旦排水を停止して、船と浮きドックの位置がズレていないか確認後に排水再開。
船及び浮きドックを完全浮上させると入渠完了になります。
























入渠作業の簡単な順序  乾ドック:かんどっく(Dry Dock:ドライドック)の場合
工場の敷地内にあるドックに入渠
渠門を開けて船を中に入れます。
渠門を閉めて海と内部を遮断します。
排水ポンプを使って中の海水を外に排除して、
中の水位をゆっくり下げていきます。
盤木の位置を確認しながら船を下げていき、
盤木に乗っかるまで下げます。
浮きドック:うきどっく(Floating Dock:フローティングドック)の場合
浮きドックに海水を注水して沈めます。
灰色の長方形が浮きドック
沈めた浮きドック内の海水を
排水して浮上させます。
位置を確認しながら
船ごと浮上させて完了です。
解り易い様に正面から(乾ドック・浮きドック共に同じ)
渠底には螺旋階段で降ります。
下ではクレーン車等で船底の整備や
掃除を行ったりします。