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 艦上からは見えない水面下のちょっと雑学的な船の構造の話です。

 CPP(Controllable Pitch Propeller)とは可変ピッチプロペラの略(以下CPP)で、スクリューのプロペラ1枚1枚が
速力等に応じて角度を自動的に変更する賢いプロペラのことを指します。

 エンジンは基本的に一定方向にしか回転することが出来ないので、スクリューの翼角(スクリューのプロペラ部分の角度)が
固定だった場合、前進する時はいいのですが、後進用ギア等の機構が無ければ後進できません。
硬い陸の上を走る車とは違い、「摩擦抵抗」の少ない液体の上を走る船は慣性により進みますので、
惰性を打ち消す後進が出来ないと止まることもできないことになります。
後進・停止用に逆転装置(後進用の機器及び後進用エンジンなど)もあるのですが、海上自衛隊ではCPPという装置が採用になりました。
 
 プロペラ部分の角度を変化させることで速度を調節したり、角度を逆(反転)させることにより後進、
垂直(角度0゜)にすれば停止といったように、前進・後進・停止やこまめに速度を変更することが可能になります。
護衛艦に多く採用されているガスタービンエンジンは、定格回転数からの増減速・後進や微速等の変速に
燃料を大量消費するので、定格回転数を維持したまま迅速・滑らかに変速の操作ができるCPPと相性も良く、
燃費向上にも繋がる利点があります。

 ※ちょっと想像できないという方は扇風機を思い浮かべて下さい。扇風機の羽根角度と回転は一定方向です。
スイッチを入れると回転して風が出ます。その風の流れを水に置き換えると、流れの強さが船の推力となります。
羽根の角度を徐々に変化させていき、垂直にしていくと風が弱くなり、垂直(角度0度)になると空回りして風が出なくなります。
水の中なら推力0となり、垂直の状態だと水の抵抗が最大になりプレーキとなります。
(完全停止にするには前進の力を打ち消す後進が必要になります。→← 
    大雑把に言いますと1ノットの前進から停止するには1ノットの後進が必要になります。)
さらに角度を変えて垂直(角度0度)からマイナス角度にしていくと前面の空気を吸い込み、風は後ろに吹くようになります。
これが後進になります。

 簡単に言えば回転方向が同じでも羽根を逆につけると風は後ろに出るということです。
つまり、回転方向が同じでも角度を変化させることによって推力を変えられるということです。
 
 

 
 CPPを装備するメリットとして大まかにいくつか述べます。

・操作性及び安全性を向上させ、プロペラの角度変化による急停止性能を保有。
・エンジンを最も燃費が良くなる一定回転数にしたまま速度調節が可能なので燃料節約による経済効果が高い。
・エンジンの負担が過度にならないので故障・耐久性等でのトラブル回避による維持費を低減。
・スクリュー回転時におけるスクリュー自体の水の抵抗を適正にすることで騒音・振動を低減
(振動を低減させると船体強度の寿命が長くなります。)
・逆転装置(後進用の機器及び後進用エンジン)不要による船体スペースの確保・省人力化等があります。

信頼性の高さから世界中で多くの船舶がCPPを装備しています。


 世界的なシェアがあって何気に高性能なのに、普段は海面下に隠れてフジツボが友達の影の薄いCPPですが、
人知れず頑張っている縁の下の力持ち的な存在です。気が向いたらたまに思い出してあげて下さい ヾ(@°▽°@)




翼角(角度)0度の時(中立)
進行方向に対する抵抗最大
(海水がプロペラに垂直に
当たってそれがブレーキになる)
翼角+30度の時
前に進む
翼角-30度の時
後ろに進む