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トップへ戻る予備自衛官等の声インデックス/衛藤  俊  氏

予備自衛官等の声

  現在、熊本地方協力本部渉外広報室に勤務し、防衛省職員非常勤隊員である衛藤期間業務隊員は、「予備自衛官」として活躍しています。ある時は行政事務に、またある時は戦闘訓練に、またまたある時は…の衛藤期間業務隊員より、独自の視点で“自衛隊”をご紹介致します。

氏名
衛  藤      俊  氏
階級
予備陸士長
現勤務先
自衛隊熊本地方協力本部渉外広報室
予備自衛官中央訓練の紹介その3

市ヶ谷へ
  昨日までの疲労もなんのその、迷彩服から第3種夏服に着替えた我々予備自衛官達は、訓練4日目を迎え、朝霞駐屯地からマイクロバスで市ヶ谷へ向かいます。
  マイクロバス。普通の車両がこんなに乗り心地が良いものだったと実感したのも、昨日の帰りに6時間近くかけてトラックの荷台に揺られて、お尻や背中に疲労を蓄積したのがその原因でしょう。普段からそのような移動をされている現職自衛官の方々には本当に頭が下がります。
  さて、郊外から都心部に入り、我々が高いビルばかりに目を取られている間に、バスは市ヶ谷へと到着しました。そこはまさに自衛隊の中枢でした。陸海空の自衛官と事務官等が忙しく行き交い、所狭しと大きな建物が並ぶ敷地内。今日はここで、陸上幕僚長の訓示を受けることになっています。
予備自衛官制度教育
  若い佐官クラスの幹部自衛官の方と何度もすれ違いながら、会議室へと足を運びました。ここであったのは、陸上幕僚監部の予備自衛官室長から近年の予備自衛官制度についての教育です。
  注目すべきは東日本大震災、熊本地震と、2度にわたる災害派遣を受けて変化してきたいくつかのポイントです。東日本大震災において史上初めて予備自衛官等が招集を受けたことは記憶に新しいところですが、実際の運用にあたっていくつかの改善すべき点も見えてきたそうです。
  例えば地震の後、予備自衛官が実際に出頭し、部隊に配属されるまでタイムラグが発生していたことなどです。そこで、平時より予備自衛官に職務を指定し、出頭の迅速化を図ろうとする動きが近年みられるようになってきました。これにより、普段から各人がやるべきことを明確化し、運用開始にかかる時間を短縮できるとのことです。
  そのほかにも、即応予備自衛官が社会の中で培った様々な特殊技能を積極的に活用することや、各人が持つ地域性を前面に押し出した被災地への支援体制の構想が今後進められていくことなどが示され、予備自衛官を取り巻く環境が少しずつ改善されていることが分かり、大変参考になる時間でした。

予備自制度教育の様子
陸上幕僚長訓示
  いよいよこの時です。緊張して待つ我々の前に、岡部陸上幕僚長が姿を現されました。陸幕長の訓示で挙げられた要望事項は次の2点です。
「真に戦える予備自衛官としての誇りを堅持せよ」
「自衛隊と国民の架け橋たれ」
  その言葉は一つ一つが重く、私たちの心に響きました。予備自衛官が常備自衛官と一緒に活動する時間は限定的なものです。時には私たちが本当に役に立つ時が来るのだろうか、と心が揺らぎそうになる時もあります。しかし陸幕長から示されたのは、我々予備自衛官も陸上自衛隊の一部であり、仲間であるとの明確なお気持ちでした。その言葉一つ一つを各人の胸にしまい、これからの活動の糧にしていくことを固く誓いました。

陸幕長による永年勤続表彰
市ヶ谷記念館
  市ヶ谷の敷地内には、かつて陸軍士官学校として使用された建物の主要部が、市ヶ谷記念館として一部移築・保存されています。日本の歴史の中で、数多くの舞台としてその役目を果たしてきた建物内に足を踏み入れると、長い年月を刻んできた床材の寄木や展示された品々から、時の流れの重みを感じることができます。

市ヶ谷記念館研修
米軍予備役制度教育
  最後の教育内容として、米軍予備役のルイス=ポマレス大佐より、米軍予備役制度に関する教育がありました。通訳を介して我々が知ることができたのは…
・予備役は、現役にはない特殊能力を提供する(衛生や憲兵に属する予備役の割合が高い)
・アメリカは軍に対する社会の理解が浸透しており、出頭時の職場との調整が容易
ということでした。
  1点目は、社会の中で専門的な技術を培った予備役が、その能力を軍で発揮していくという意味です。警察官が予備役を兼ね、出頭して憲兵になるというのはよくあるパターンのようです。
  特に2点目に関しては興味深いものでした。米軍予備役は、年次の出頭が30日を超え、多い人では70日以上を訓練に費やすそうです。これをそのまま自衛隊に当てはめるためには、社会と職場の理解が不可欠といえるでしょう。予備自衛官は自営業の方も、雇用される側の方も、出頭にあたっての調整にはかなりの苦労が伴う現状があります。日本でも予備自衛官に対する理解と認識が高まると、そのような課題も解決されていくことでしょう。
最後に
  5日間の訓練は、本当にいろいろな内容が目白押しでした。短い時間でしたが、日本全国津々浦々から一つの地に集い、交流を持ちつつ予備自衛官の結束を図れたのはまたとない機会です。
  今回の訓練の合間には、地元ではわからない事情もたくさん知ることができました。香川では出頭する駐屯地が複数ある、広島では「予備自衛官の歌」を毎回歌っている、奈良には何にでも効く伝統の薬がある、沖縄の飲み屋は夜10時くらいから客が多くなる…。予備自衛官のことから地方の秘密まで、いろいろなことを教わりました。
  交流の中では、私が熊本から来たことを話すと、皆さん開口一番「地震は大丈夫だったですか?」と声をかけてくださいました。どうやらこれまでに熊本とかかわりを持たれていた方や、旅行で訪れたことのある方がたくさんおられたようで、熊本城などの観光地や県民のことを大変心配されつつ、激励の声をたくさんいただきました。中には発災後、実際に隊友会の活動として、京都から熊本までボランティア活動に来られたという方もおり、熊本が全国から温かい支援と応援を受けていたということに改めて気付かされた次第です。この場を借りて、それらの方々の思いを他の熊本県民の皆様にもお伝えしたいと思います。

熊本から参加の2名
  我々を受け入れてくださった練馬駐屯地第1普通科連隊の皆様にも本当にお世話になりました。予備自衛官訓練ではこのように、毎回常備の部隊が受け入れ役となり、我々の訓練の支援をしてくださいます。自分たちの業務の時間を割いて我々のために奔走してくださる常備自衛官の方々にも、あらためて感謝の念を表したいと思います。ありがとうございました。
   長くなりましたが、以上で私からの予備自衛官中央訓練に関するご紹介は終わりです。こちらをご覧の方で、予備自衛官だけではなく自衛隊に興味があるという方がいらっしゃいましたら、いつでも気兼ねなく熊本地方協力本部までご質問ください。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
予備自衛官等制度に関するお問い合わせは
自衛隊熊本地方協力本部 援護課予備自班
TEL(096)297-2052