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トップへ戻る予備自衛官等の声インデックス/衛藤  俊  氏

予備自衛官等の声

  現在、熊本地方協力本部渉外広報室に勤務し、防衛省職員非常勤隊員である衛藤期間業務隊員は、「予備自衛官」として活躍しています。ある時は行政事務に、またある時は戦闘訓練に、またまたある時は…の衛藤期間業務隊員より、独自の視点で“自衛隊”をご紹介致します。

氏名
衛  藤      俊  氏
階級
予備陸士長
現勤務先
自衛隊熊本地方協力本部渉外広報室
予備自衛官中央訓練の紹介その2

富士総合火力演習
  8月27日(土)、訓練2日目の朝、0400(午前4時)起床。5時には7tトラック(35人乗り)2両に分乗し、一路静岡方面へと向かいました。早朝にもかかわらず渋滞する都心部を抜け、東富士演習場に入ると、すでに客席は満員の観客で埋め尽くされています。

観客席から演習場を望む
  本日私たちが見学するのは、富士総合火力演習、通称「総火演」の教育演習です。演習は前段・後段の2部構成で実施されます。その内容は…
前段:装備品説明の意味合いを含めた射撃等の展示
後段:ある状況を想定し、目的に従って部隊が行動
  となっています。つまり前段では戦車から機関銃まで様々な装備品の性能を目や音で確認でき、後段では設定されたストーリーに沿って、自衛隊がどのように対処していくのかを知ることができます。
自衛隊の妙技
  中でも印象深かったのが、火砲の精度の高さです。今回の演習で使用されたものの中で、一番遠くをめがけて射撃されたものは、弾着が見えてから音が聞こえるまで8秒くらいはかかったでしょうか。学生時代に習った音の速さ、秒速340mを頼りに、ざっと計算しても3キロあまりの距離を飛翔したことになります。それでいて正確なタイミングでの弾着、しかも本来はその何倍もの距離を狙うことができるということですから驚きです。客席からは常に歓声や驚きの声が上がっていました。ぜひ会場に足を運ばれるか、DVD等でその雄姿をご覧になることをおすすめします。
  ちなみに、熊本地本が所在する熊本地方合同庁舎1階の広報ルームでも、総火演のDVDは時々上映しておりますので、是非いらしてください!

10式戦車射撃の瞬間
水 没
  山の天気は変わりやすいもの。きれいだった空もあっという間に雲がかかり、冷たい雨を降らせ始めました。各人雨衣を着用しましたが、風雨は激しく、雨水は内部にしみてきます。
  ここで活躍する私のおすすめが、戦闘服内部に着用する防水性のウインドブレーカーのようなものです。これにより、シャツとの間に隔たりを持たせ、万が一戦闘服が濡れても体を守ることができるのです。
市街地戦闘訓練
  一般の方であれば、あとは総火演のことを思い出しながら家路につくことでしょうが、我々はすぐさま市街地訓練場へ移動します。こちらで本訓練のメイン科目ともいえる、市街地戦闘訓練が始まりました。これは、都市部での対テロ、ゲリラ等に対処するための訓練で、都市の一角を再現するために演習場内に設営された、鉄筋コンクリート製の建物群を使用して実施します。
  銃、鉄帽、防弾チョッキ…各種装備を受領、一気に身動きが取りづらくなります。野戦と異なり、敵と近距離で対峙する市街地では、射撃姿勢や移動の概念が異なります。特に安全管理の指導には多くの時間が割かれ、近年の小銃の取り扱いが変化してきていることを知りました。そうして銃口の向きや跳弾に注意しながら慎重に廊下を移動し、部屋に突入するまでの流れを繰り返し演練しました。

突入までの動きを繰り返し確認
  この訓練は夜中まで続きましたが、ここまでの段階ではあくまで形の確認なので、明日の総合訓練で練習したとおりにうまくやれるのか、まだ想像もつきませんでした…。
演習場での食事
  さて、地元の訓練ではなかなかお目にかからない携行食(缶詰タイプ、いわゆるカンメシ)が今日と明日の食事です。今回登場した中にはとり飯や福神漬けなどがありました。
  これらを缶切りを使用し開缶するのですが、まだ20代前半の若い予備自衛官の中に1人、缶切りを使うのが初めてという青年がいました。最近は簡単に開く缶詰が多いですから、彼のような人も珍しくなくなってきたのでしょう。初めは思うようにいかなかったようですが、回を重ねるごとに彼の缶切りさばきがうまくなっていく様子を、周りがアドバイスをかけながら微笑ましく見守っていたのを見て、なんとなく予備自衛官の仲間意識の強さを感じたような気がしました。
総合訓練
  長い一日が終わり、明朝よりいよいよ総合訓練の段階に入りました。フェイスマスクとゴーグルを着用し、その他の装備品等も受領。道に発煙筒の煙が充満する中、制圧目標の建物入口に集結します。
  建物内には4人1組のチームで部屋を一つ一つクリアリングしていきます。ここで一つ問題が。ドアを開けた瞬間、相手側の射撃が想像以上に強力すぎて、しばらく我々のチームが立ち往生してしまったのです。周りには負傷と判定された味方や、銃の作動不良で動けなくなる味方…私の銃にも撃発不良が発生し、弾の排除のため一時射撃不能となります。状況把握が困難になり、現場は軽いパニック状態となりました。後方の助教からは厳しい声が飛び、ようやく射撃を開始しつつ何とか1つ目の部屋に突入した時点で、私の属するチームのメンバーは2名に減っていました。
  こういう時にはどうするべきか。状況終了後、予備自衛官同士の意見交換において、「相互の意思疎通を密に取る」「支援射撃等を継続的に行い、火力優勢を保つ」という2つの必要性が挙げられました。要するにゴーグルの曇りや煙、激しい銃声で周囲の状況が確認しづらい高度なストレス環境下においては、これら相互の連携を取らないと前進すらままならないということです。
  戦闘の最終段階においてようやくラストの1部屋を制圧し、状況終了を迎えました。私も最後の1人を目の前でなんとか倒しましたが、ここに来るまでにかなりの時間がかかったと思います。
  後ほど助教たちの華麗な制圧の様子を展示していただきましたが、周りの方々は皆口をそろえて「もう一度やらせてもらいたい、さらにうまくなりたい」と言っていました。それほど今回の総合訓練は、我々の心を揺さぶる、これからの予備自衛官生活を送るうえで非常に有意義な訓練だったと言えます。

今回参加した女性予備自衛官
3日目を終えて
  こうして富士総火演、市街地戦闘訓練と、非常に内容の濃い2日間が終わりました。睡眠時間は短く、入浴も当然ありませんでしたが、それと引き換えに得るものが多い時間となったのも事実です。近年の自衛隊の体制改革の中で、我々予備自衛官も新しく取り入れていかなければならないものが今後増えてくることでしょう。
  次回は4日目に行われた、自衛隊の中枢、市ヶ谷での研修をご紹介します。

予備自衛官等制度に関するお問い合わせは
自衛隊熊本地方協力本部 援護課予備自班
TEL(096)297-2052