自衛隊兵庫地方協力本部

防衛省・自衛隊
兵庫地方協力本部について

本部長ご挨拶

兵庫地方協力本部 本部長
1等陸佐 生田目 徹

本部長



    六甲山ではススキの穂が風に揺れていますね。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

    さて、これまでの勤務で入隊前には思いもよらなかった機会を多々得てきましたが、国連日本政府代表部の防衛駐在官として国連を舞台とする外交に触れた3年間も日々新鮮で印象深いものでした。

    国連では、意思決定を下す手続きや決議等の採択手続きは表決(挙手や投票など)によるとされています。全加盟国が協議に参加する国連総会では、国の大小にかかわらず各国が1票をもっており、表決によって過半数または2/3の賛成が得られれば決議等が採択されます。しかしながら、実際には表決に頼らず話し合いで合意に達すること(=コンセンサス採択による意思決定)を目指して協議が重ねられます。

    各国の代表者(団)は本国からの指示に基づきそれぞれの主張を相手にぶつけ、駆け引きを演じながら妥結点を探ります。合意形成は容易ではなく侃々諤々の話し合いがそこここで繰り広げられ、時間切れ寸前までときには深夜まで延々と協議を続けてコンセンサスを目指します。

    協議への参加範囲は議題によって異なりますが、たいてい多くの国が絡みます。初めての多国間協議の場で学んだことは、ある議題に対する「反対」あるいは「賛成」というポジションに加え、「反対ではない」あるいは「賛成ではない」というポジションにも意味がありうるということです。グレーなポジションをとる相手が抱えている事情を読み取ると、反対/賛成という二つの極の間に論点を見いだすことができます。それを糸口として根気強く話し合っているうちに議論が展開し、スタート時には想定していなかった妥結点にたどり着くことがあります。また、このプロセスをたどる中で、仲間として共同戦線を張っている国がある論点のもとでは対立する側に回るなど、協議の途中で敵(対立)/味方(協調)の関係が変化することもあります。

    二国間(バイラテラル)の外交では、敵(対立)/味方(協調)というポジションが比較的はっきりしています。一方、多国間(マルチラテラル)の外交では、議題や論点に応じて敵(対立)/味方(協調)の関係が移ろいます。この違いを体感したことは貴重な経験となっています。

    自衛隊は戦闘で勝つことを究極の目標としているので、敵/味方あるいは平時/有事というふうに二元論的に割り切って物事をとらえる習性があると感じます。一方、外交ではバイとマルチの関係を上手に使い分けながらポジションを選択することが重要です。防衛分野でも多国間協力や交流の機会が増えており、時と場合に応じて柔軟にポジションを設定して相手と向き合うことが重要だと思います。

    国際協力が進む中、自分を相手の立場に置き換えてみる想像力、角を立てずに自分と相手との違いを指摘する表現力(できればユーモアを交えて…)、相手の内面の変化に気づく観察力、決めるべき期限がきたら結論を下す決断力などなど、コミュ力を高めていかなければと思っています。

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