自衛隊群馬地方協力本部/群馬ちほん日記 HOME  

令和2年9月
高崎地域事務所

防衛医科大学校1年生からのメッセージ

入校してみて

47期 医学科1年 神宮辰太郎

はじめに

 新入生の代表としてせっかくの機会を与えられたので、防衛医科大学校に入校して1ヵ月と1週間経った今、これまでに思った事を書いてみたいと思う。


嬉しかった合格通知

 防衛医大を目指したきっかけは高校3年生の時である。クラスメイトが防衛医大を受けるんだと言ってきたときに初めて防衛医大の存在を知った。家に帰って防衛医大を調べてみると防衛医大は自衛官でもあり医師でもある医官を養成する場所であり、医学の観点から平和に貢献することができるとわかり、国際貢献や災害時に最前線に立って医療を届けてみたいと思っていた私にとって有意義な6年間を過ごせる場所だと思い受験を決意した。現役の時は受験の受付期間が既に終了していたため受けることができなかったが浪人して初めて受け、2月14日に合格通知が来た際は何て最高なバレンタインだと笑みがこぼれたのを覚えている。


驚きの連続

 4月1日に入校してから今に至るまであっという間の出来事だったと思う。正門をくぐって3年生に待合室みたいなところに連れて行かれると対番と呼ばれる2年生の先輩がついてくれてはじめの1週間ここでの生活ルールなどを教えてくれた。
 対番は新入生一人ひとりについてくれるお付の先輩で先輩にも対番がいてというふうに何十年もつながっているものだと知った。ちなみに僕は地方公立高校出身一浪系列に属されているらしい。入校当日は生憎の雨だったが、先輩たちは傘をさしていなかった。聞いてみると制服を着用中は傘をさしてはいけなかった。また、着帽中は挙手の敬礼をしたり挨拶が時間帯で異なっていたりといきなり今までの生活とのギャップに驚いた。その後も1週間は驚きの連続だったように感じる。


チームの強さ

 入校するにあたって希望のところで学生生活が送れるという嬉しさもありながら不安もあった。なぜならば朝起きるところから寝るまでスケジュールがしっかりと決められているなど自衛隊式の生活に慣れるのかということに心配していたが、すぐにその心配が消えた。自分がうまく適応できたという理由もあるが、強制的にそうならなくてはいけなかったからである。
 自分の与えられた居室の窓の目の前には大きな桜の木があり、桜が満開に咲いていて新入生である私を盛大に出迎えてくれた。しかし、日が経つにつれて桜の花びらが散り始め、1週間が経った頃にはだいぶ花びらも散ってしまった。お客様扱いから防衛医科大学校生としての当たり前を身につけるべく先輩からの指導が始まった。(この文章を書いているときも指導期間が続いている。いつ終わるのだろうか。)この期間中は1日の大半を床上げ、ベッドメイク、プレス、掃除が占めているように思う。
 医学部に入ったので難しい授業に追われると思ったら、学業以外のことに追われている日々が続いている。これには最初困惑したが、よく考えるとこれは、医官として将来働く際に必要なスキルであると思う。先輩から与えられる膨大な量の課題は一人でこなそうと思うと確実に心身ともにつぶれると思うが、同期とともに作業を分担したりやり方を教えあったりして日々上達しながら毎日を生き抜いているように思う。ベットメイクやプレスなどは、初めの段階で上手だと思ったものを写真でたまたま残してあるのだが今見ると酷すぎる。
 1か月間の成長スピードに自分でも驚きである。人それぞれに得意な分野があり、自分の得意分野を教えあった結果、こんな成長をしたのだからチームで協力することはチームの人数分以上の力を発揮してくれることを改めて感じた。


感謝

 防衛医科大学校に来てここでの環境にものすごく感謝している。これは、掃除の時と他大学の友達と話をした時に強く感じた。


掃除

 小学校の時から掃除というのは行われてきたが、汚い状態からきれいにすることは自分の心も洗われているようになり気持ちが良いがはっきり言ってめんどくさいものであり、いい加減に掃除をしていた気がする。

 しかしここでの生活はそういうわけにはいかない。いい加減に行うと、再点検に引っかかり自分のやりたいこと(プレスがほとんど)がどんどんできなくなってしまう。同じフロアの同期とフロアの公共場所を分担して掃除するのだが、自分の掃除場所はシャワールームと階段である。階段は小中高の掃除と同じ要領でやればいいのだが、シャワールームに割く時間を増やすため、高速で雑巾がけを行うのは大変である。シャワールームは今までやったことがなく、点検要項が多いのでシャワールームの掃除する面積自体は小さいがとても気を張らないといけない。
 特に排水溝とスノコの掃除が精神的に辛い。ちなみに私は排水溝の蓋を開けて毛の溜まり具合とヌメリ具合を確認する事を渇水ガチャと呼び、スノコの水ジミと毛の付着具合、スノコの下にいっぱいある水ジミと毛の様子を確認する事をスノコガチャと呼んでいるが、ふざけて呼ばないといけないほどこの二箇所は掃除を放置すると特に水と毛がいっぱい溜まるひどい場所なのである。ガチャの結果が良いとあまり気分を害さず掃除ができるのだが、そんな日は滅多になく、ガチャの結果が悪いのがいつもである。
 ここに入校する前は、家族の中の私の役割に風呂掃除があったが排水溝を掃除することはなかった。今回ここに来て初めてシャワールームの掃除をすることになって今まで綺麗な風呂場を使えていたのは母親がしてくれていたからだということに改めて気づいた。母が二十年近くもこんなことをやっていたし、今後もやっていくのかと思うと感謝しか感じない。家中を掃除してくれていたと思うとますます感謝と母親の強さ、偉大さを感じる。こないだ母の日があったが母の日に母に何もしたことがなかった。もうすぎてしまったが初任給ももらったことだし何かプレゼントをしてみようと思う。


他大学の友達との話

 コロナウィルスによってゴールデンウィーク中の帰省ができなくなってしまったので、もともと会う予定だった高校の同期たちや浪人時代の仲間と今話題のzoomを使ってプチ同窓会を開いた。久しぶりの再会に昔話などで盛り上がったが、やはり大学の話にもなった。互いに今の大学生活を話し合ったが、私の生活は羨ましいらしい。確かに自分もそう思った。YouTubeやzoomを使ったライブ授業があったりレポート提出による課題もあるが大学も行けず、部活やサークルも出来ず、ずっと家の中にいるらしい。ほとんどの友達が不規則な生活を送っている。私の生活は毎日が時間に追われるもので辛い日々が続いているがある意味とても充実しているように思える。
 入校する前は友達からもちろんここに進学することを祝ってもらったが「ほかの医学部も受かっているんだからそっちにいけばいいのに」とか「なんでわざわざ自衛隊に入っちゃうの」と言われたが私の選択は間違っていないように思う。授業から食事、風呂の時、先輩に怒られしんどい時も常に同期と共にいて支え合える環境がここにはある。まだ、ここでの生活が始まって1ヶ月と少し経ったが特に同じ中隊の同期とはすでに半年以上過ごしたように感じる。あと六年もともに過ごすと思うと家族みたいに感じるのだろうか。
 コロナによってなかなか思うように過ごせてない中、多少の影響は受けているものの普段通りに授業に出席し、ともに生活ができるここでの環境にいられていることに感謝である。


おわりに

 私はまだ右も左もわからないピカピカの1年生である。これからの六年間で自分がどう成長していくのかが楽しみである。同期と協力しながら夢に向かって一日一日を一生懸命過ごしていきたいと思う。


追記

 この文章が作成し終えた日に指導期間が終了した。


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