本部長の群馬紀行
第24回 日光白根山とその周辺

 皆様、こんにちは。
 
爽やかな秋の空気が気持ち良く感じられますが、9月の天候は目まぐるしく変わりますので注意が必要です。

 現在、自衛官候補生、一般曹候補生、航空学生の試験を実施していますが、防衛大学校、防衛医科大学校(医学科・看護学科)学生の試験は受付期限(9月30日)が迫っています。公務員や自衛官という職業に関心のある方、医師・看護師を目指す方の多数の応募をお待ちしています。

 

 さて、群馬紀行第24回は、片品村の北東部、群馬県と栃木県の県境に位置する日光白根山とその周辺の見どころをご紹介します。日光火山群の主峰で関東以北の最高峰(2,578m)の高さを誇り、山岳随筆家・深田久弥の「日本百名山」にも選ばれています。

 

 一般的な登山口は、前橋市内から約75km、2時間の片品村東小川にある丸沼高原スキー場の日光白根山ロープウェーの山頂駅にあります。ロープウェーは、標高1,400mの山麓駅と標高2,000mの山頂駅を15分で結んでいます。日光白根山は関東以北の最高峰でありながら、日光連山や外輪山に囲まれ、また1年を通じて雲に隠れていることが多く、なかなかその姿を見ることができないようですが、ここまで来るとドーム状の堂々とした山容が眼前に迫ります。

 

 日光白根山は別名「二荒山(ふたあらさん)」と言われ、栃木県日光市の男体山と共に(火山による)荒れ山の総称で、村人は毎年6月、水垢離をして身支度し、山が荒れて降灰による農作物への被害がないように登拝したそうです。また、昔から信仰の山とされ、登山道には「大日如来」、「地の池地獄」、「六地蔵」、などの山岳信仰にまつわる文化財があります。登山口にある「二荒山神社」で安全祈願をして入山しました。

 

 

 しばらくは比較的なだらかな樹林の中を進みますが、樹林帯が低くなるとややきつい斜面となり、やがて火山の雰囲気が残る歩きにくい砂礫の斜面となります。入山から約2時間、小さな奥白根山神社のある南峰を経て噴火口を超えると山頂のある北峰です。大勢の登山客で賑わう岩場の山頂付近は360度のパノラマが広がり、関東以北の最高峰を実感することができます。

 

 

 日光白根山は、有史以来多くの火山活動があり、昭和27年にも噴煙を上げたそうです。その火山活動により、座禅山、五色山、前白根山、白根隠山などの外輪山を従え、その内側に五色沼と弥蛇ヶ沼を抱えています。また、山麓の菅沼、丸沼、大尻沼は火山噴火に伴う溶岩流が大滝川を堰き止めたことによる典型的な堰止湖です。写真は外輪山に囲まれてエメラルド色に輝く五色沼です。

 

 

 

 登山当日(9月中旬)の天気は良かったのですが、標高があるため風が吹くと寒く感じました。山中には登山道の他に「自然散策コース」や山岳信仰の文化財を巡る「史跡散策コース」が整備され、これらを寄り道しながら下山し、山頂駅にある「天空の足湯」で疲れた足を癒しました。写真正面の山は、百名山の一つで、片品村、みなかみ町、川場村の境にある標高2,158mの武尊山(ほたかやま)です。

 

 

 写真はロープウェーから見た丸沼で、その左にわずかに大尻沼が顔を出しています。眼下に見下ろすスキー場の広大なゲレンデは、サマースキー、サマーリュージュ、オートキャンプなどを楽しむ人で賑わっていました。ロープウェーからの空中散歩を終え、湖沼などを間近で見学するため、国道120号を栃木県方面に進みました。

 

 

 写真は、昭和6年に丸沼と大尻沼の間に発電用ダムとして建設され、現在も稼働している丸沼堰堤(えんてい)です。水圧を支える遮水壁を鉄筋コンクリート造りの柱と梁を格子状に組み合わせて補強するバットレス構造のダムで、その希少性、ダムの規模、先進的な理論による設計、丁寧な施工技術など、わが国屈指の近代化土木遺産であることから、平成15年に国の重要文化財に指定されました。

 

 

 

 国道120号は、沼田市と日光市を結ぶ全長約100kmの国道で、昨年11月に椎坂トンネル(沼田市)が開通してアクセスが格段に良くなりました。丸沼高原スキー場から先の県境付近は積雪が多く、冬期は閉鎖されます。写真は、県境の金精トンネルで、山道の金精峠(標高2,024m)の下を貫通しており、1,843mの標高は国道の峠としては全国で3番目の高さのようです。

 

 (参考図書等:片品村HP、「新・分県登山ガイド・群馬県の山」(山と渓谷社)、観光パンフレット、現地の説明板等)