本部長の群馬紀行
第13回 大室公園と大室古墳群

 皆様、こんにちは。
 7月に入り、いよいよ夏本番ですが、大気が不安定な状態は続いていますので注意が必要です。

 今後、地本の自衛官等募集業務担当者(広報官)による募集活動を本格化していきますので、受験資格があり、自衛官という職業に関心のある方は、是非一度耳を傾け、ご検討頂けますようお願い申し上げます。

 

 さて、群馬紀行第13回は、前橋市西大室町にある大室公園と大室古墳群をご紹介します。

 


 大室(おおむろ)公園は、前橋市西大室町、前橋市内から約15km、車で30分ほどの赤城山南麓に位置する歴史と自然を生かした総合公園で、「大室古墳群」を中心として整備されています。群馬紀行第3回でご紹介した「上毛野はにわの里公園」とともに「日本の歴史公園100選」に選定されているそうですが、公園の規模や古墳の数では大室公園が上回ります。掲載写真は、五料沼を通して赤城山を眺望できる「水桟敷広場」からの景色です。

 



 
大室古墳群は、国指定史跡の「前二子古墳」「中二子古墳」「後二子古墳」「小二子古墳」と周辺に点在する中小の古墳を総称したものです。国指定史跡の4古墳は、いずれも6世紀に造られた前方後円墳で、隣接しているため、規模や外形上の特徴を容易に比較することができます。最も南側に位置する前二子古墳は、4古墳の中で最初に造られた古墳で、墳丘長94m、高さ14mで、墳丘に登ると上毛三山や浅間山、周辺の町並みを一望することができます。

 

 


 また、前二子古墳と後二子古墳(墳丘長85m、高さ11m)は、「陵墓(りょうぼ)」(天皇や皇族を葬った所)の有力候補地として昔から注目されていたため、明治11年に地元民による石室の詳細な発掘調査が行われ、その多彩な副葬品は、当時の英国の外交官「アーネスト・サトウ」によって広く世界にも紹介されたそうです。いずれも石室の内部を見学することができます。

 

 

 


 中二子古墳は、堀を二重にめぐらした古墳で、墳丘長111m、高さ15m、堀を含めた長さは170mにもなり、大室古墳群の中では最大です。残念ながら、墳丘は樹木に覆われており、また、石室内部も未調査なので外側から眺めるだけですが、内堀と外堀の間の堤(中堤)に埴輪が整然と並べられた姿は壮観です。

 

 

 



 最も北側に位置する小二子古墳は、墳丘長38m、高さ5mで、4古墳の中では最小ですが、多数の埴輪が復元されて当時の配置どおりに並べられており、コンパクトなので、全体の姿が最も良く分かる古墳です。

 

 

 

 



 園内の歴史的な見所としては、この他、赤城山南麓において良く目にすることができた典型的な養蚕農家(赤城型民家)である「旧関根家住宅」(市指定重要文化財)を移築復元した「民家園」や古代住居を復元したコーナーがあります。旧関根家住宅は江戸時代末期に建てられたもので、当時の生活の場所や養蚕が行われていた屋根裏の様子を詳しく見学することができます。

 


 広大な園内は常時開放され、石の風鈴のある「風のわたる丘」、水時計のオブジェのある「時の広場」、かつて石切場であった窪地に水琴窟による音の仕掛けをした「岩室ゾーン」、水生植物とのふれあいの場所とした「親水ゾーン」や子供の遊び場などがあり、家族連れや様々な年代層の人が楽しめるようになっています。掲載写真は石の風鈴ですが、石の内部に風が導入されて風鈴が鳴る仕掛けになっており、小高い丘にそよ風が吹くと、心地よい音色が響いていました。

 

 (参考図書等:前橋市HP、「東国文化ガイドブック」(群馬県歴史文化遺産発掘・活用・発信実行委員会)、「群馬県の歴史散歩」(山川出版社)、現地の説明板等)