本部長の群馬紀行
第10回 吾妻峡

 皆様、こんにちは。
梅雨入り早々、激しい雨が降りますね。
幹部候補生の第2次試験を受験された皆様の最終合格をお祈りしています。

 

 さて、群馬紀行第10回は、上毛かるた「耶馬渓しのぐ吾妻峡」で有名な吾妻峡(あがつまきょう)をご紹介します。

 


 前橋市内から約55km、車で1時間30分ほどの国道145号沿いにあり、吾妻川上流の東吾妻町と長野原町にまたがる約3.5kmほどの渓谷を言います。「耶馬渓(やばけい)」とは、大分県中津市にある景勝地ですが、大正時代の地理学者が「九州の耶馬渓にも勝る。」と吾妻峡を絶賛したことから「関東の耶馬渓」と言われるようになったそうです。いずれも国の名勝に指定されています。

 



 
国道の対岸にある渓谷遊歩道を散策するため、吾妻峡の中間付近の「紅葉台」という台地上の駐車スペースに車を停め、国道沿いの歩道から眼下に吾妻峡を眺めながら、「鹿飛橋(しかとびばし)」への降り口がある場所まで戻りました。ここから更に200mほど進むと、日本一短いトンネル「樽沢隧道」があります。国道に並行して走るJR吾妻線の鉄道トンネルで、全長が7.2mしかなく、掲載写真のとおりトンネルを斜めから見ても、入口と出口が同時に見えます。

 


  樽沢隧道の辺りから紅葉台までの区間は、8丁(約900m)の距離があることから「八丁暗がり」と呼ばれ、渓谷の中で最も川幅が狭く最大の見せ場となっています。特に、鹿飛橋の辺りは、その名の由来のとおり鹿が飛んで渡れるほどの川幅(2〜3m)しかなく、絶好のビューポイントとなっています。

 

 


 鹿飛橋を渡って渓谷遊歩道に入り、紅葉台の先にある「小蓬莱(しょうほうらい)」という見晴台まで往復しました。深く切れ込んだ渓谷の急斜面に作られており、アップダウンもあるため、遊歩道というよりは登山道に近いイメージです。切り立った崖や奇岩などを間近で見ることができました。

 

 



 渓谷遊歩道は長野原町の川原湯温泉駅まで続いていますが、八ッ場ダム建設事業に伴い、小蓬莱から先は既に通行止めになっています。この先がダムの建設予定地なので、ダムが完成すると吾妻峡の4分の1程度が失われるそうですが、鹿飛橋を含む八丁暗がりなどの吾妻峡の象徴的な部分は残ります。掲載写真は、小蓬莱の先にある白糸の滝ですが、この辺りの景色は見ることができなくなりそうです。

 



 ダム建設事業に伴う各種施設の高台移転は進んでおり、帰りは、その高台を通る国道145号八ッ場バイパス沿いの道の駅「八ッ場ふるさと館」に寄り、駅から延びる不動大橋の遊歩道を散策しました。不動大橋はダム完成後の湖面に架かる3つの橋のうちの一つで、長さ590m、橋脚の高さは80mもあり、湖底に沈むこととなる吾妻川、国道145号、JR吾妻線などの景色が眼下に広がっていました。

 

(参考図書等:東吾妻町HP、長野原町HP、現地の説明板、観光パンフレット等)