本部長の群馬紀行
第8回 下久保ダムと三波石峡

 皆様、こんにちは。
 初夏を通り越して夏のような暑さが続きますが、午後になると雷雲が発生したり、竜巻警報が出るなど、天気の変化も激しいですね。

 幹部候補生第1次試験に合格された皆様、おめでとうございます。第2次試験に向けて万全の準備を宜しくお願いします。

 
 さて、群馬紀行第8回は、神流町の下久保ダムと藤岡市譲原の三波石峡(さんばせききょう)をご紹介します。三波石峡の場所は、前橋市内から約30km、車で1時間ほどの距離にある国道462号沿いの道の駅「上州おにし」から2kmほど先、下久保ダムは5kmほど先です。


 下久保ダムは、首都圏の水がめである利根川水系8ダムの一つとして神流川に建設された多目的ダムで、規模としては八木沢ダムに次ぐ大きさです。主ダムと補助ダムという二つのダムがL字型に連接しているのが特徴で、一つのダムに比べ貯水量が飛躍的に増加するそうです。L字型の堤防上の車道を進み、山沿いのダム管理所に隣接した展望台からダムと三波石峡を眺めました。

 



 
三波石峡は、下久保ダムのすぐ下流の渓谷にあり、緑石片岩と呼ばれる緑色の巨岩、奇石が並び、神流川の清流と織りなす自然美が見事であるため、国の名勝及び天然記念物に指定されています。地質学的には、全国的に有名な「三波川変成帯」(関東から九州まで約800kmにわたって続く連続性の良い変成帯)が露出したもので、地下深くの比較的低温で高い圧力を受けて変成した石は「三波石」と言われれ、江戸時代から庭石として珍重されてきました。なお、三波石は三重県や徳島県でも見られますが、名前の由来は藤岡市譲原(旧鬼石町)付近を流れる三波川だそうです。



  道の駅からわずかに進んだところを左折して市道に入り約2kmほど進むと、下久保ダムの真下に広い駐車場があります。河原に降りて三波石を間近で見るため、市道を歩いて約1kmほど戻り、5か所ある河原への降り口を伝って降りてみました。上から見ると石伝いに難なく進めそうでしたが、間近で見る石は予想以上に巨大で、滑りやすく、急流もあるため、川沿いを進むのは困難でした。川や石の間に落ちないように慎重に足場を選んで付近の石を眺め、市道に一旦戻って次の降り口に向かいます。

 

 


 主な48の石には「兜石」「虎毛石」「富士石」「屏風石」などのようにその形状等に由来する名前が付いており「三波石峡48石」というそうですが、実際に確認するためには、詳細な案内図と落ち着いた時間が必要です。深く切れ込んだ渓谷の新緑、巨大奇抜な三波石の微妙な色合い、流れの強弱で異なる川面の色のコントラストが見事でした。ちなみに、我が自衛隊群馬地方協力本部の庁舎前にも三波石の庭石が置かれています。

 



 三波石峡を後にして、道の駅「上州おにし」に立ち寄り、駅内の三波石の学習コーナーや敷地内にある「譲原石器時代住居跡」を見学しました。譲原石器時代住居跡は、縄文時代前期から晩期初頭にかけての遺跡で、4個の結晶片岩で築かれた長方形の炉の周囲を粘土で固め、その上に石を敷き詰めた敷石(しきいし)住居跡で、鋼製の立派な覆屋の中に、発掘当時のまま保存されています。神流川流域は、関東と長野を結ぶ交易の道として栄えていたため縄文時代の遺跡が点在していますが、国指定遺跡となっているのはここだけだそうです。(参考図書等:ダム管理所資料室、現地の説明板、観光パンフレット等)