本部長の群馬紀行
第6回 茂林寺

 皆様、こんにちは。 平野部は初夏の陽気ですね。
 予備自衛官補の試験に合格された皆様、おめでとうございます。また、先日、自衛隊幹部候補生試験を受験された皆様には、一人でも多くの方が合格されることを祈っています。

 

 さて、群馬紀行第6回は、上毛かるた「分福茶釜の茂林寺」で有名な館林市の茂林寺をご紹介します。場所は、前橋市内から約55km、車で2時間弱と遠距離ですが、伊勢崎市から先の東毛広域幹線道路(国道354号バイパス)が開通したので、比較的スムーズに行けると思います。


 茂林寺は、1426年に開山した曹洞宗の名刹で、「分福茶釜」の伝説があるそうです。後年その伝説は、明治・大正時代の作家 巌谷小波(いわやさざなみ)氏によっておとぎ話の「分福茶釜」として出版され、罠から助けられた狸が茶釜に化けたり綱渡りの見世物をして恩返しをする話が、広く世に知られるようになりました。その話は、最寄り駅の東武伊勢崎線「茂林寺前駅」から寺までの経路上に「ぶんぶくちゃがま絵本案内板」として設置されているとのことなので、寺の駐車場に車を置いて一旦駅に向かい、案内板を読みながら寺まで歩いてみました。



 
駅前の敷地には、親子3体の狸の像と案内板の1枚目があり、ここから寺まで660mの経路上の壁などに全部で13枚、約50m間隔で案内板が掲示され、寺の総門前の最後の案内板で話が完結します。案内板は絵本調で文章も易しいので、小さなお子さんでも楽しめると思いますが、道路沿いなので、車には十分注意して下さい。



  寺の総門をくぐると、今度は約20体の狸の像が参道の両側から出迎えてくれます。座っているもの、徳利をぶら下げて立っているもの、カラフルな着物を着ているもの、茶釜の形をしたものなど、どの狸もユーモラスで愛嬌があり、一つ一つ見入ってしまいます。ちなみに、館林市の観光マスコットキャラクターは分福茶釜の狸をイメージした「ぽんちゃん」といい、その幟(のぼり)もありました。

 

 


 一方、寺に伝わる「分福茶釜」の伝説とは、昔、寺で千人の僧に茶を振る舞うにことになり大釜がなくて困っていると、代々の住職に仕えていた守鶴という老僧が、いくら汲んでも尽きることのない茶釜をどこからか持ってきて、その湯で喉を潤す者には八つの功徳に授かると言って「分福」と名付けたが、ある時、守鶴は熟睡中に手足に毛が生え尾が付いた狸の姿を現してしまい、名残を惜しみつつ姿を消したというものです。本堂の一室には、今でもその茶釜があり、拝観料300円で見ることができます。百聞は一見に如かずで、拝観しましたが、茶釜は硝子戸の中に置かれており、思ったより大きく重厚で、いかにもいわくありげに鈍い光を放っていました。

 



 最後に、寺に隣接した「茂林寺沼及び低地湿原」を散策しました。南に利根川、北に渡良瀬川が流れる邑楽・館林地域には、かつて池や沼、湿原がたくさんあったそうですが、ここは平野に残る数少ない湿原として県の天然記念物に指定されているそうです。茂林寺公園として整備されており、木道上をのんびりと気持ち良く歩くことができます。(参考図書等:茂林寺HP、「群馬県の歴史散歩」(山川出版社)、現地の説明板等)