防大タイムズNo.234

2022年07月14日

掲載内容一覧
・防衛学教育学群 五十嵐准教授、大平正芳記念賞を受賞
・第37回 防大フォーラムを開催

防衛学教育学群 五十嵐准教授、大平正芳記念賞を受賞

 

令和4年6月10日(金)、グランドヒル市ヶ谷にて防衛大学校防衛学教育学群准教授 五十嵐隆幸3等陸佐に対し、公益財団法人大平正芳記念財団より大平正芳記念賞が贈られました。
 大平正芳記念賞は日本外交の重要な一環を形成する環太平洋連帯構想の発展に貢献する政治・経済・文化・科学技術または、環太平洋地域における地域研究に関する優れた著書に対し贈呈されるものであり、第38回となる今回の受賞者は五十嵐准教授を含め6名。防衛大学校においては武田康裕氏(元国際関係学科教授)以来20年ぶり2人目、自衛官としては初の受賞となりました。

作品のタイトルは「大陸反攻と台湾-中華民国による統一の構想と挫折」。

今回の受賞に際して、本人からのコメントは以下のとおり。

これまでの研究において、台湾の「大陸反攻」は1970年ごろに自然消滅したと評されていた。しかし、「大陸反攻」は、中国大陸を奪還するため、政府が軍隊に与えた任務である。軍隊の任務を解除するためには、命令が必要であるという、いわば自衛官としての常識で歴史を再検証したところ、「大陸反攻」任務は1991年に解除されたことを明らかにした。防衛省・自衛隊での勤務経験が無ければ、世に送り出すことができなかった研究成果であると考えている。これまで指導をして頂いた上司、常に刺激を与えてくれる同僚や学生を代表して受賞させてもらったと思っている。


第37回 防大フォーラムを開催

令和4年6月30日(木)、防衛大学校における教育の質を向上させることを目的とした課外講演の一つである防大フォーラムを実施しました。講師として、現在筑波大学教授として教鞭をとられているソウルオリンピック女子柔道銅メダリストの山口 香氏をお招きし、「嘉納治五郎の目指した人間教育―精力善用と自他共栄―」と題してご講演いただきました。
 講演の中で山口氏は、柔道の創始者である嘉納治五郎氏が遺した柔道は、単に勝ち負けや技術向上のみを目的とするのではなく、自己を完成し、世を補益する人間教育を目指すものであるとし、実技の他に、学問として柔道を学ぶ講義や指導者との問答を大切にするものであると述べられました。さらに、学生が将来の幹部自衛官を目標として教育訓練に励む様子を、「道」の文化における成長過程のプロセスである【守(基本の徹底)・破(応用)・離(道を離れても学びを活かす)】と重ねるなど、学生自身の今後の成長に大きな糧(経験)となる、そして教職員にとっても学生個々に対して伸展性のある資質の育成を目指す上で大変貴重な機会となりました。
 また、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、換気や手指消毒、マスクの着用に併せ、校内におけるリモート中継などの対策を講じた形での実施となりました。

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