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 今回の硫黄島研修では、兵団司令部壕や海軍司令部壕をはじめとする様々な壕や陸軍及び海軍のトーチカ、砲台など当時使用されていたものを見学した。

硫黄島の戦いにおいて約22610tの砲撃を受けたにも関わらず、海軍が作った鉄筋コンクリートの掩蓋は崩壊しなかった。また、海軍の壕にあった多くのドラム缶やベッドからも海軍は豊富な資源を持っていたことが分かった。それに対し、陸軍は物資が不足している中、機材に頼らずにエンピとつるはしを使った手作業のみで長く広い壕を数多く作り上げていたことに驚いた。戦闘作戦としては、陸軍の米兵を上陸させた後を狙う斜射、海軍の上陸する時を攻撃する水際撃滅という考え方の違いが陣地の造りからよく分かった。硫黄島環境の特徴として、地熱が高温であることを肌で感じ、この環境下で陣地の構築と訓練を同時に実施するのは非常に過酷なものであると感じた。どの研修場所においても実際に敵が攻めてきている状況を想像すると、恐怖を感じずにはいられなかった。当時の人たちも同じ気持ちだったと思うが、最後まで自分の任務を遂行し戦うことができたのは、そのような絶望的な状況下であっても部下の士気を高揚させた指揮官の統率によるものであると感じた。

研修を通して栗林中将をはじめとする先人たちの残した戦果に感銘を受けるとともに、身の引き締まる思いがした。改めて自分に課せられた責任の重大さを自覚し、今後の生活や訓練に励んでいきたい。

射撃前の様子)
4学年 片根 大輔  私立東邦大学付属東邦高校 (千葉県) 
3学年 猿渡 幸二  熊本市立必由館高校 (熊本県)  

〜後期学生隊学生長としての決意〜

4学年 長谷部 優  県立岡崎北高校 (愛知県)  
4学年 小林 勇太  県立西高校 (広島県)  
(分隊攻撃前の様子)

今回の冬季定期訓練は、防衛大学校学生として最後の定期訓練でした。4学年陸上要員の訓練の内容は、小銃による実弾射撃、分隊攻撃、障害走及び防衛大学校幹事と技術研究本部職員の講話でした。

訓練科目の内容はいずれも、1〜3学年時の訓練においても行われたものですが、私が特に印象に残ったのが分隊攻撃です。今回の分隊攻撃は横須賀市内の武山駐屯地にて行われました。私は分隊長役で、9名の分隊員の指揮を行いました。訓練中、限られた時間の中で分隊員を指揮し目的を達成することの難しさをあらためて認識しました。また、反省点もありましたが、4年間にわたる防衛大学校の訓練において学んだ成果を活かすことができたと思います。また今まで共に訓練を行ってきた同期とさらなる団結を深めることができました。

今回の冬季定期訓練において、現時点での自分自身の射撃能力や体力及び、課題を再度認識することができました。来年度4月に陸上自衛隊幹部候補生学校に入校する上で、残り少ない防衛大学校生活ではありますが、今回の定期訓練で学んだことを活かし、万全の準備を行っていきたいと思います。

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冬期定期訓練参加の所感

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(前左が本人)

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VOL.43 2014.1.31


  4学年航空要員冬季定期訓練では、基地警備訓練が主に実施された。

航空自衛隊においては、航空戦力発揮の基盤が基地に大きく依存しているため、基地警備は非常に重要である。本訓練では、4学年航空要員が、基地警備の任務を付与された小隊の指揮官、幕僚及び分隊長等の任務に就き、3学年を分隊員として指揮して、様々な基地への脅威に対処する要領について訓練した。

 当初、私は幕僚として指揮官の補佐を実施した。その際、自分の所属する部隊の組織体系を理解して臨んだはずであったが、各部署から挙がってくる膨大な量の情報や、同時多発的に起こる複雑な状況に、どのように部隊を運用すればいいか困惑することが多く、知識として「知っている」ことを実践的に「できる」ことにする難しさを学んだ。

 その後、部下を率いて実際に活動する分隊長や組長の任務に就いた。ここでは、実際に部下である3学年を指揮することで、現場での指揮の難しさと指揮される者の状況を知った。

 この両方を経験したことで、動かす側と動かされる側の間に生じる摩擦を肌で感じた。このような事例は、恐らくこれからの自衛隊生活でも起こり得ると思うが、今回の経験を活かし、双方の立場を考え理解できる幹部自衛官になりたいと感じた。

  こんにちは。H25年度後期学生隊学生長を務めさせていただく河野健学生です。今年度防衛大学校は61周年目という新たな年を迎えることから学生隊年間方針を「原点回帰」として前期、中期と動いてきました。その中で私が学生隊について最も強く感じたことは、3本柱のバランスが崩れているということでした。勉学、校友会、学生舎の3本柱を知・徳・体に置き換えると徳の面が今の学生隊ではしっかり考えられていないということを実感したため、後期学生隊はこの3本柱をもう1度見直そうと考えています。また後期は青色期間などもあり時間的にもしっかり考えることができると思います。このことから後期の学生隊の目標を「3本柱の再熟考」として年度末まで全力で邁進して行こうと考えています。

 自衛隊の存在が重要視されている現在、将来幹部自衛官となる我々が最も身につけておかなければならないのは基本的事項の理解とその実行だと考えています。だからこそ後期は学生隊が原点回帰して3本柱をもう1度熟考し、挨拶やマナーなど基本的なところから考えを改めて生活して行こうと考えています。

 学生隊学生長としては全学生の見本となることはもちろんのこと学生隊に何か考えるきっかけを与えたり、情報を発信したりして全力で学生隊を引っ張って行きたいと思います。

4学年 河野 健  県立臼杵高校大分県)  
米軍上陸記念壁画にて(中央が本人))

(天山慰霊碑にて

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この度の定期訓練は、防衛大学校海上要員の4年間の集大成と言える訓練であった。集大成と言えるほど成長できたかは自分自身も疑わしいが、それぞれの訓練に対し、一生懸命取り組むことができた。

私の好きな言葉に「海上武人」という言葉がある。言わずとも分かるが、海上を守る武人、すなわち海上自衛官を指す。先祖代々受け継ぐ土地を武士(もののふ)の伝統を受け継ぐ我々が、海から守ることは大変崇高なことであると感じる。しかし、伝統や志だけでは国を守ることはできない。海上武人として必要なのは、鍛え上げた術科力と海で生きる者としてのシーマンシップである。実際に舵を握り、波のある船上で海図を引くなど、船上でしか出来ないことを積極的に取り組めば、おのずと実用的な術科力は身につく。そして、術科を駆使し、良質なリーダーシップとフォロアーシップにより、チームである船を運航できる船こそが海上武人として理想の船であると言えよう。

板子一枚下は地獄というように、海は危険である。他人に命を預けることになる船はまさに運命共同体であり、お互いに支え合わなければならない。しかし、士官たるものいい訳をせず、正しいリーダーシップが求められる。そのためにも、多くの経験とスキルを積み、裏付された術科力を身につけるべきである。本訓練を通じ、海上武人として大きな志と小さな一歩を踏み出すことができた。