防衛大での四年間を振り返ってみると全てがあっという間の出来事だった。
不安を抱えて入校した1学年、初めての集団生活に戸惑いながらも、もう一つの家族ができたようなものだった。
2学年では、カッター訓練を通して同期との絆が深まり、対番として1学年の面倒をみることで上級生としての意識が出てきた。
3学年では、校友会や自分の趣味などに専念し、自主自律の精神を涵養することができた。また断郊競技会では、同期と苦楽を共にして練成に励み、優勝することもできた。
防衛大の集大成の4学年、最上級生として、下級生をまとめる大変さを実感した。そして、最も忘れられないのが棒倒しである。各大隊の威信を賭けて戦うわけであるが、そのために1年間をかけて準備をする。結果は優勝し、有終の美を飾ることができた。
防衛大での4年間は、様々なことを体験でき充実したものだった。特に今後幹部自衛官として勤務する上での基盤を整えることができた。
今後は、上司、部下及び同僚と苦楽を共にして、祖国及び国民を守る重要性を自覚し、国民全員から信頼されるような自衛官になれるように頑張っていきたい。
「くろがねの 秋の風鈴 なりにけり」
突然、夏から吊るされた風鈴が秋風に吹かれてなった。時が経つのは早く、もう秋なのだな。これは大正、昭和期の俳人の飯田蛇笏の句です。
時が経つのは早いもので、私の防大生活も残りわずかです。今から約4年前、全く何もわからないまま一人で着校した時のことは今でも鮮明に覚えています。防大、そして自衛隊のことを何もわからないまま入校した私ですが、様々なことを学ばせて頂きました。私の面倒を見てくれた上対番、部屋の上級生、同期、後輩、そしてラグビー部の人たちには感謝してもしきれません。
防大は不思議な場所です。一見、自由がないように見えますが、何を学ぶかはまったくの本人の自由です。つまり、校友会、勉学、学生舎という3本柱に対してどのようにアプローチするのか、そして何を学ぶのかは一人一人違うということです。もちろんその根底として幹部自衛官となるべき者の素質を涵養するのが目的なのですが、防大には本当に多種多様な人物が存在します。この個性豊かな同期、もしくは先輩、後輩に触れ合えたことも貴重な経験となりました。
幸いにして私は大学に入ってラグビーに出会うことができました。「One For All, All For One」、「RuleではなくLaw」、「ノーサイドの精神」などラグビーには人間形成において重要な資質をたくさん学ぶことができます。そして、何より15人が一つとなって楕円形のボールを追いかけるという一体感は本当に素晴らしいものです。防大ラグビー部は部員数150人と防大で最も大きな組織の一つです。もちろん練習は易しいものではありませんでしたし、休みはほとんどありませんでしたが、4年間続けたということは私の中で大きな自信となりました。ラグビー部で学んだことの一番大きなものとして「勝負事で勝ちに拘る」ということです。私たちは諸外国の士官候補生にあたるため、負けは認められません。しかし、現実として周りの大学と違って初心者が大多数の上に練習時間が限られ、さらに今年に限っては整備工事のためラグビー場も使えなくなりました。勝つためにどうすればよいか?少ない練習時間を一分でも無駄にしないように的確な分析、そして細部にわたる練習計画を練らなければなりません。さらに、ラグビーのチームにおいて選手の15人だけでは試合はできません。試合には仮想敵として練習相手をするもの、負傷者の管理を行うメディカル、そして試合を円滑に行えるようにするサポーターなど試合には出られないが勝つために欠かすことのできない裏方が多く存在します。これらすべてを含めてこそ、言い換えれば150人が一つになってこそ初めて一つのチームと言えます。150人が一つとなって不利な条件のもと勝利を目指して戦う、本当に素晴らしいことだと思います。
私たち57期はもうすぐ卒業です。しかしそれは決してゴールではなく、幹部自衛官、そして新社会人としての新しい一歩を踏み出すスタートです。これからの人生において、この4年間で学んだことをしっかりと活用し、そして「特に勝負事で勝ちに拘る」ことを胸に刻みたいと思います。
最後に一言、One For All, All For One!!
ありがとうございました。
「梅」
防大の4年間における思い出は数え切れないほどありますが、その中でも校友会活動が私にとっての一番の思い出です。私は硬式テニス部に所属し、4年間テニスボールを追いかける日々を送っていました。3年連続で関東理工科リーグ4部残留という結果で迎えた自分たちの政権では、副将として「昇部」の2文字の目標に向かって政権運営やコート上のプレーにおいて引っ張っていきました。その結果、4部リーグ優勝。そして3部昇部への切符を勝ち得ることができました。その時の達成感と感動は今でも忘れることができません。4年間校友会でお世話になった先輩、後輩、顧問の方々、そして苦楽を共にした57期政権には本当に感謝しています。
この経験から私は1つの目標に向かって諦めず、全力で取り組むことの重要性を学びました。防大生活はあっという間です。先に述べたように、私の場合は校友会において「昇部」という目標に向かって全力で取り組みました。その結果「昇部」を掴むことができました。後輩の皆さんにも何でも良いので1つの目標を決めてそれに全力で取り組み、防大生活を過ごして欲しいと思います。その先には必ず得るものが待っています。
最後に防大を卒業して幹部候補生学校に行き、自衛官の道を歩むことに対して不安はたくさんあります。しかしながら、この防大4年間で得た経験を活かし、幹部自衛官としての名に恥じないよう精進しいていきたいと思います。
私の4年間を表すと「起承転結」。まさにこの言葉に尽きます。それぞれの言葉を各学年に沿って振り返ります。
「起」
1学年としてこの防大に入ってきたこと、それが全てのはじまりでした。普通の高校生が防大生となり、大きな一歩を踏み出したのです。最初の1年間は本当に目の前の出来事一つ一つが新鮮で、周囲を気にする余裕もなくただ全力で突っ走っていきました。
「承」
2学年になり、小原台での生活に慣れてきました。学科・要員が決まり、カッター訓練・要員別訓練など、初めて経験することばかりでした。1年生と異なったのは下の学年ができ、生活に慣れたことから周囲を見る余裕も生まれ、同期と互いの肩を貸し借りしながら過ごした1年でした。
「転」
3学年から、防大での生活は大きく変わりました。上級生という立場になり、できることが増えました。同期との協力だけでなく、下級生の面倒を見てやる、そんな少し大人になった1年でした。
「結」
4学年。すべての行事が一つずつ終わります。最後の競技会・訓練・飲み会etc.…。今卒業を目の前にして実感することは、ここで過ごした4年間は同世代よりとても濃く、大きく成長できた4年間でした。
ここでの4年間の経験、一生の宝物「同期」と苦楽を共にした生活、これら全てが今の私を作っています。
ここで得たものを糧に、今後も努力していきます。
防大かわら版バックナンバー
4年間におよぶ小原台での生活を終え、幹部候補生学校に入校し、自衛官としての道を歩み始めるにあたり、防衛大学校の4年間を振り返ってみたいと思う。
よく“長いようで短い”という表現を聞くが、小原台での4年間はまさにその通りだと思う。本当に短い4年間だったというのが率直な感想である。また、その反面、非常に中身の濃い充実した4年間であった。近年、不安定な国際情勢や多発する自然災害の中で自衛隊の担う使命と責任は非常に重いものになってきている。その自衛隊という組織の中で幹部自衛官の役割が非常に重要であることは自明の理である。そのような幹部自衛官となるべき者を育てる学校での生活において、学生に求められる素養、必要とされる資質が高く厳しいこともまた当たり前のことなのだと思う。3本柱である学生舎・勉学・校友会を全て追求することは正直安易なものではなかったが、その道のりの中で発見すること、学ぶことは多く、確実に自分の糧になったと胸を張って言うことができる。4年間で達成できたこともあれば、思い通りにならなかったこともたくさんある。その全てが自分の血となり肉となり今の自分を作っているのだろう。この小原台での4年間を宝に、防衛大学校を卒業し幹部候補生学校へ入校し、幹部自衛官としての次の一歩を踏み出そうと思う。
卒業を前にして、今の私の胸の中に不安や迷いは一切なく、期待と希望であふれている。
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この4年間を振り返って見ると、実に様々なことが思い出されます。普段の学生舎生活や校友会、カッター競技会をはじめとする各種競技会、カタールへの海外派遣、夏季を代表とする定期訓練など、とてもすべては話しきれません。4年間で実に様々な出来事がありました。多くの機会を頂き、成功や失敗を繰り返し、時には後悔を感じることもありました。中には、自分一人の力ではどうにもならないようなこともあったと思います。バスケットボール部で共に研鑚した田端学生や、カタールで共に異文化体験をした馬場学生、同じ教官のもと卒業研究に励んだ大沢学生。このような多くの同期や、訓練・学生舎でお世話になった指導教官、様々な知識を授けてくれた学科教官など、多くの方の支えがあったからこそここまで来ることができたと感じます。
自衛隊はよく、人を、そしてその繋がりを大事にする組織であると言われます。私の4年間はそのことがよく実感できる4年間でした。卒業後もこの防衛大学校で培った絆を大事にし、新しい生活の中でも日々の出会いを大切にしていきたいと思います。後輩の皆さんも是非ここ防衛大学校でいろいろなことに挑戦し、さまざまな経験をして、多くの絆を築いていってください。
大学受験に失敗し、図らずも六,三,三,四制の一般的な大学生のルートから外れた私は、規則のない、一年間の自由な浪人生活を経験し、厳正な規律で生活している防衛大学校に入校しました。そして、四年の月日が流れ、今、卒業を目前にしています。
元々自衛官を志していなかった私にとって、防衛大学校の生活は不安そのものでありましたが、今、四年間の生活を終えて、大きな充実感・達成感を得ています。これもひとえに同期、先輩、指導官の方々の支えがあったからであると感じています。
本校では、一般大学と同様の教務の他に、各種競技会(遠泳、カッター、棒倒し、断郊等)、校内外での訓練、ICC(国際士官候補生会議)など、他では決して味わうことの出来ない経験をすることが出来ました。
その他にも書ききれないほどの貴重な経験が出来た防衛大学校の生活も今、終わりを迎えようとしています。共に汗を流し、喜びや悲しみを共有した友人や後輩たちと別れることは正直、非常に名残惜しく思いますが、自衛官生活のスタートラインにたつ今、ここ防衛大学校で培った廉恥、真勇、礼節の精神のもとに、新たな生活においても、さらなる高みを目指して日々邁進していく所存です。
これから、私は航空自衛官として任官します。任官後は防大生活や校友会で磨いた人間性と感謝の心、諦めない気持ちを持って上司から、部下から、そして同期みんなから信頼してもらえるような人間関係を作り、日々成長していきたいと思います。