客員教授による特別講義
〜アラン・イングリッシュ博士を迎えて〜


講義するイングリッシュ博士(AVホールにて)

 10月23日(月)から30日(月)の間、アメリカ合衆国デュポン中央研究所の上級技術研究責任者アラン・イングリッシュ博士を客員教授として迎え、応用化学科専攻第4学年及び研究科学生を対象に「NMRの基礎と材料解析への固体NMR法の応用」に関する特別講義が行われた。

 講義では固体NMR法を用いて、ポリマー材料の構造を解析する手法について基礎から応用まで詳細に説明がなされ、また、その解析した結果を、いかに実際の商品へフィードバックして材料の物性改良ならびに製作方法の改良へと繋げるのかまで、丁寧にかつ大量の図表を用いて説明がなされた。最後に、実際に製品となったデュポン社の商品とその特性などについて紹介された。

 博士の講義は、パワーポイントを使用するだけにとどまらず、ホワイトボードに実際に板書しながら、また指し棒をポリマーの主鎖に例えながら、さらにはタオルを用いて柔軟なポリマーと剛直なポリマーの形態の違いについてジェスチャーを交えながら行われた。このように様々な工夫を凝らしながら講義が進められ、学生の理解を助けようとする博士の努力と熱意が感じられた。

 学生は当初、英語に苦労していたが、数名が講義中に質問するなどし、コミュニケーションをとりながら講義を理解しようという努力が感じられた。そして全講義の終了時に、学生全員が寄せ書きした色紙を、代表学生が英語での感謝のスピーチを交えて博士に手渡した。

 資料館や学生舎を訪問されたり、また、学生の行進を見学されたりした際に、博士は防大生の規律正しい生活と訓練に励んでいる姿に感心しておられた。


ジェスチャーを交えて説明する博士(理工学1号館にて)


ホワイトボードに板書して説明する博士(理工学1号館にて)

 博士は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校及びサンタバーバラ校を経て博士号を取得後、デュポン中央研究所の研究職に就かれ、今日に至るまで同研究所で活躍されている。現在は、上級技術研究責任者として研究所のグループを率いて統括する傍ら、デラウエア大学で教授として教鞭にたち、アメリカ化学会誌MacromoleculesのAssociated Editorも務められている。また、博士は、アメリカ化学会、アメリカ物理学会などで活躍され、数々の賞を受賞されている。1989年にアメリカ物理学会からFellowの称号を授与され、最近では、今年(2006年)の5月に社団法人 高分子学会より高分子学会国際賞を授与されている。