防大かわら版VOL.88

2017年12月19日

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 掲載内容一覧
・平成29年度開校記念祭演劇祭を終えて(各大隊)
・平成29年度開校記念祭棒倒しを終えて(各大隊)

開校記念祭演劇祭を終えて(第1大隊)

4学年 坂上 智彦 近畿大学附属広島高等学校福山校 (広島県出身)

開校記念祭演劇祭への参加が4回目となった今年、ついに大隊責任者という立場で一から大隊の演劇を作り上げる機会を得た。演劇祭を終え、今までやってきたことを振り返ってみれば、脚本作成、役者選考、演技の練成、大道具製作、照明調整、衣装調達と皆でよくやりきったものだと驚くばかりである。人は何かできなかった際、往々にして「時間がありませんでした」と口にする。ところが、演劇祭という大きなプロジェクトをやり遂げる中で、私は「できなかった」と言えない環境に置かれた時の“時間を作る力”の重要性を強く感じた。中期は各校友会の活動が活発になる時期であるほか、定期試験や棒倒し練習、観閲式訓練等があり、防衛大学校の学生はとにかく忙しい。そのような状況で演劇祭準備を進めていけたのは、スタッフ各人が毎日やらなくてはいけないことを普段よりも短時間で終わらせ、時には無理をしてでも練習時間を作った努力のおかげである。このように普段のスケジュールや生活リズムの中で時間を作って有効に活用し、かつ、それを継続できる能力というのは、将来幹部自衛官となる上で必要であると考える。その能力が入校当初全くなく、1学年の時にはよく「時間がない」と慌てふためいていた。しかし、4学年となって演劇祭をやり遂げるまでに成長できたのだと思うと、防衛大学校における演劇祭は、他の行事と同じく幹部自衛官としての資質を養うための良い機会となっているのだと実感できた。最後に、当日会場に足を運んでくださった観客の皆様方をはじめとし、演劇祭を行うにあたりご協力いただいた学校長、副校長、幹事、訓練部長、指導教官及び教職員の方々に感謝いたします。

 主役を演じた入鹿学生(左)と宮城学生(右)

開校記念祭演劇祭を終えて「30分のステージに懸ける思い」(第2大隊)

4学年 木島 玲 宮城県立仙台第三高等学校 (宮城県出身)

防衛大学校の開校記念祭の目玉行事といえば、間違いなく棒倒しである。開校記念祭の盛り上がりは、棒倒しで最高潮に達する。そんな開校記念祭の4日前、棒倒し一色に染まるかと思われる校内で、近年着々と存在感を増している。それが演劇祭である。今年度から競技会として本格的に始動した演劇祭は、開校祭イベントのトップバッターとして、より大々的に行われるようになった。そもそも、演劇祭の魅力とは何であろうか。各大隊の持ち時間はわずか30分。役者はほとんどが初心者、練習期間も短く、かつその内容はハードなものである。しかし、それらの困難を乗り越え、役者達はステージのライトの中で輝くのである。ステージの上で一身にスポットライトを浴び、熱演する役者、これを魅力以外に何と表現するのであろうか。今年度私は、以前の大道具担当から昇格し裏方全体を統括する立場となり、責任者にもなった。そして、仲間とともに準優勝という結果を大隊に持ち帰ることができた。この結果は前任の渡邉学生、責任者付の三浦学生、スタッフや裏方、そして何より役者の皆の尽力があったからだと考えている。感謝の言葉が尽きない。しかし、準優勝とはいえ苦杯を喫していることには変わりない。是非とも来年度の劇団2大隊には優勝目指して頑張ってもらいたい。

   スタッフ集合写真(前列中央が本人)

開校記念祭演劇祭を終えて(第3大隊)

4学年 清水 なな 大阪府立豊中高等学校 (大阪府出身)

私の防大生活における演劇祭は、開校記念祭での上演をもって最後となった。演劇祭とは、防衛大学校本科学生による各大隊対抗で行う演劇を用いた競技会である。私はこれまでずっと一人の役者として参加してきたが、4学年として参加する今年の演劇祭では、3大隊責任者として初めて演出や裏方に関わった。この経験を通じて、一人では演劇が成り立たないことを実感し、陰で支えてくれている人たちへ改めて感謝することができた。3連覇はかなわなかったが、多くの支援や声援に支えられて最後の演劇祭を迎えられたことを嬉しく思う。また、上演後に「良かったよ。」と言ってくれた方々がいた。純粋に演劇を楽しんでくれた人がいたことは、何よりも嬉しかった。来年度以降の3大隊の演劇は、今年度の悔しい経験を経て大きく飛躍してくれると思う。私が関わることができないのはとても寂しいが、後輩たちが作る舞台は必ず観客を楽しませてくれることと思う。これから新しく出発する3大隊の演劇の発展を祈念する。

   演劇祭メンバーとの集合写真(中央が本人)

開校記念祭演劇祭を終えて(第4大隊)

4学年 関口 直也 長野県立長野吉田高等学校 (長野県出身)

演劇祭は、開校祭に合わせて行われ、各大隊でその優劣を競う。今年度は、第4大隊全員で盛り上げたいという想いから、総勢80名という大人数で演劇祭を創り上げた。この大人数で演劇を創り上げることができたのは、役者、演出、衣装、照明等の各担当の長が綿密に練成計画を立てて遂行し、リーダーシップを十分に発揮したからであり、メンバー一人一人がそれに応えるフォロワーシップを発揮できたからだと考える。昨年度に比べ練成時間が1/3に減ったものの、演劇祭当日に、学生隊に「第4大隊はここまで創り上げたんだぞ!」と胸を張って誇れるものを提示できた。そして、何より観ていた学生から「すごく良かったよ!」と感想をもらえたのは、毎日夜遅くまで頑張ってくれた演劇祭関係者の努力が報われ、責任者冥利に尽きる思いであった。結果は4位と残念であったが、先輩方の想いを引き継ぎ、よりよい演劇を創ることができたと感じている。今回の反省点を踏まえ、第4大隊の勢いと熱意を来年、再来年と受け継いでいけば、さらに良い演劇を創ることができると考える。そして、いつかきっと人々が口を揃えて「演劇は4大隊だよね」と言う日が来ると、確信している。最後に、遅い時間まで我々を監督し、アドバイスを頂いた演劇祭担当幹部、実際に役者として参加し、学生と共に演劇祭を創り、盛り上げて頂いた指導教官並びに職員の方をはじめ、多くの方々の御支援の下、練成することができた。また、演劇祭に携わってくれた学生一人一人の熱意がなければここまで来ることはできなかった。この場をお借りして感謝の意を表したい。

  4大隊スタッフ集合写真(前段、中央が本人)

開校記念祭棒倒し競技会を終えて(第1大隊)

4学年 比嘉 諒 沖縄県立開邦高校 (沖縄県出身)

平成29年11月12日に棒倒し競技会を終えて、改めて自分が恵まれた環境で生活できていることを実感することができた。私が62期第1大隊棒倒し競技会責任者になった当初は、不安なことだらけであった。この1年間、訓練していく中で、上手くいかないことやたくさんの失敗を経験し、それを少しずつ修正することで、自分なりのやり方を見つけることができた。また、スタッフにも恵まれ、本当に尊敬できる同期の4年生が私をサポートしてくれたので、信頼して仕事を任せることができた。充実した訓練ができ、自信を持って臨んだ本番であったが、結果は初戦敗退と不甲斐ないものになってしまった。棒倒し競技会責任者として約300人の学生をまとめるような経験はめったにできないため、今後に活かしたい。あわせて、協力してくれた同期や一生懸命練習に取り組んだ後輩との出会いに本当に感謝している。最後に第1大隊を応援してくださった方々、本当にありがとうございました。来年は63期以下の後輩達が必ず優勝の看板を取ってくれると期待しているので、引き続き応援をよろしくお願いしたい。63期は今年の反省を活かして絶対に看板を取り返してくれ!

   1大隊棒倒しスタッフ(上段中央が本人)

開校記念祭棒倒し競技会を終えて(第2大隊)

4学年 黒栁 朋宏 福岡県立香住丘高等学校 (福岡県出身)

今年の第2大隊は「統合戦」というスローガンのもと、出場する学生だけでなく、競技に出ない学生や指導教官も含めた第2大隊全員で2連覇を果たすことができた。今年の第2大隊棒倒し競技会では、訓練時から何ひとつ他大隊に劣っていないと確信しており、どの大隊よりも練習し、緻密な作戦を練り、安全に留意し、なんといっても組織として動いていた。その中で第2大隊の「棒倒し責任者」としてリーダーシップを発揮するためにいつも私は客観視することを大切にしていた。積極的に主体的に行動することも必要だが、そうなると視野が狭くなり、全体を把握できず、独りよがりの組織になってしまうからだ。今年の第2大隊の棒倒しスタッフは、私がいなくても自分たちで考え、行動し、訓練計画を立て、自分たちに必要なことをすぐさま判断し、連覇へと導いてくれたことだろう。このような組織を作り上げるために、指揮系統を明確にすることや、信頼関係を築くために、全員が真摯に全力で向き合い、問題を解決していくことなど、試行錯誤しながらも素晴らしい経験をさせて頂いた。また、今回の第2大隊が優勝した要因の一つに洗練された戦略がある。戦術を駆使した作戦を考え、その作戦を踏まえた戦略を決定するといった防衛大学校の授業で学んだことを十二分に発揮できた結果が歴代最速であろう決勝戦“33秒”という結果を出せたのだと思う。棒倒し競技会で優勝したことは一生涯胸を張って誇れるくらい名誉なことで私の人生における宝物だ。ただこれは私一人では決して達成することができなかった。第2大隊の総員で掴んだ連覇である。ありがとう。これから将来の自衛官生活でも一人ではなく、仲間ともに切磋琢磨して精進していきたいと思う。

    記念撮影時(左から2番目が本人)

開校記念祭棒倒し競技会を終えて(第3大隊)

第4学年 佐々木 崚 愛媛県立今治北高等学校 (愛媛県出身)

2016年11月、61期の先輩方の棒倒しが初戦敗退で終わり、私たち62期の棒倒しが始動した。その時に来年度こそは3年ぶりの“王座奪還”を果たすため、いかなる困難に面しても仲間とともに乗り越えていこうと棒倒しスタッフ一同覚悟を決めた。それから早一年の月日が経ったが、今年度も初戦で不倶戴天の敵である第2大隊に敗北を喫するという結果に終わってしまった。しかしながら、私たちが積み重ねたこの1年間は決して無駄な1年間ではなかったと思う。私たち62期の棒倒しスタッフは2つの変化を3大隊にもたらした。1つ目は組織編成の面で、後方支援(物品・会計・広報等裏方的役割を担う部署)のための組織を整備し直した。昨年度までは後方支援が参謀(作戦計画の立案等、勝つための戦略・戦術を担当する部署)の管轄となっており、参謀が作戦や分析に集中できていない状況であった。また、後方支援に関しても列員にそのしわ寄せが及んでいた。そこで今年度は組織の改編を行い、後方支援業務の円滑化を図ったことで皆が棒倒しに集中できる環境を提供することができた。2つ目は“お祭り3大隊”に所属する学生が、皆一丸となって競技会に挑み、全力で楽しむことができたということだ。今年度の棒倒し競技会は私が今まで見てきた棒倒し競技会の中で一番学生が必死になって勝利を追求していたように思う。つまり、棒倒しに参加している学生のみならず、直接参加していない学生も熱くなれる最高の“お祭り”に仕上げることができたと考える。しかし、至らなかった点、反省すべき点も多々あったのも事実だ。士気を上げるための活動の動き出しが遅れたり、各パート長の意見を反映しきれなかったり、第3大隊を勝利に導けなかったり…と考えればきりがない。しかし、今下を向いていても仕方ない。優勝できなかった私たち62期が63期以下の後輩たちにできること、それは私たちがこの1年で経験したことや学んだことを全て申し送ることしかない。来年後輩たちが率いる“お祭り3大隊”が4年ぶりの優勝を果たせるように次に引き継ぐ、これが私たち62期の棒倒しスタッフに残された最後の仕事だと思い全うしたい。私たちが愛する3大隊が、来年こそは王座に舞い戻れるように…

     第3大隊棒倒し本部(中央が本人)

開校記念祭棒倒し競技会を終えて(第4大隊)

4学年 長沢 行真 静岡県立韮山高等学校 (静岡県出身)

棒倒し競技会は防衛大学校における教育訓練の集大成とも言うべき競技会であり、失敗と成功とともに多くのことを学ぶことが出来た。私は、4つの大隊の中で唯一12年間優勝なし、予選もここ数年間勝ったことのないオレンジ色を大隊のカラーとする第4大隊の責任者を務めた。昨年度の責任者は学生をよく指導して、例年にない勢いのあるチームを作り上げたが、勝利を掴むことはできなかった。そのため、我々の代では訓練で学んだ理論を元に全面的な固定概念の打破と改革を理念に掲げ、日々訓練に取り組んだ。当初、各責任者、メンバー共に今までの慣習を変えるということに理解を示しつつも実際には一抹の不安を抱えているように感じた。その上、今年度は航空観閲式や天候不順の影響でなかなか訓練が予定通りに進まず、運営は難航を極めた。そんな中でも、現状を打破しようという全員の熱意と行動が我が大隊を確かに変えていったのだと感じた。初戦はここ3年負け続けている第1大隊であったが、防御(棒を守る学生)がこれをよく抑え、危なげなく勝つことが出来た。決勝では第2大隊と対戦し、攻撃が今までにない苛烈さを発揮したが、残念ながら負けてしまった。結果は惜しくも準優勝となり、目標としていた優勝は逃してしまったが、今までの悪い流れを断ち切り、確かに我々の爪痕を残すことが出来たと感じた。最後まで折れずに続けられたのはひとえにメンバー全員の第4大隊に対する帰属心と誇りによるものだと感じた。

    棒倒しに挑む4大隊(白の上衣が本人)

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