防大かわら版VOL.84

2017年09月14日

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・学制隊学生長としての豊富(中期学生隊学生長)
・遠泳訓練参加の所感(第1~4大隊)
・夏季定期訓練(陸・海・空各要員)

学生隊学生長としての抱負

4学年 奥 篤史 京都市立西京高校(京都府出身)

中期学生隊学生長の奥篤史学生です。今年度学生隊は、先輩方が築き上げてこられた「自主自律」の伝統を如何に継承し、自らの生活に取り込むことができるかという課題に挑戦しています。将来幹部自衛官となる我々には、部下を牽引するに足る知力、徳、そして体力が求められますが、これら素養を身に着けるための基礎として「自主自律」の精神を、防衛大学校4年間で体得せねばなりません。このような観点から、任官後を見据えて行動するという意味で、今年度の学生隊方針を「プロとしての誇り」と定め、この標語を意識しつつ我々は前期学生隊学生長 西村学生のもと理想を追求してきました。翻って中期は、「自主自律」をより高いレベルで実践し、今後の資とするとともに、後輩につないでいくということを考える時期に差し掛かっていると私は考えます。そこで私は強い信念を以て施策を推進し、自らの職責を果たし、泰然と構えるリーダー像を想定して、論語から「不憂不懼」という言葉を引き、勤務方針としました。学生隊学生長として「自主自律」を洗練するのはもちろん、日ごろの学業に全力で取り組み、国民の皆様の負託に応える幹部自衛官となるよう、精進して参ります。

    学生隊本部の学生と(中央着席が本人)

遠泳訓練参加の所感(1大隊)

1学年 伊崎 太一 福岡県立小倉西高校(福岡県出身)

防大入校後、初めての夏季定期訓練の試練は遠泳。私の泳力は入校当初の測定において何とか100mを泳げる程度のレベルであった。泳力測定の結果は5、6月に行われる補備訓練への参加義務が課せられない。ギリギリの合格であった。しかし、7月に始まった初日のプール訓練で30分間泳いだ際、体力的にとてもきつくて何回も足をついてしまった。訓練終了後に補備訓練を実施してもらい、泳力の低い私には個人指導も実施してもらった。次の日の訓練では、足をつくことなく30分間泳ぐことができたが、列から遅れたりして練習がまだまだ必要だと感じた。練習を重ねついに海面訓練が始まった。初日は海面訓練1kmであり波が高く海水をたくさん飲み溺れそうになったが、バディーからの励ましでなんとか1kmを泳ぎきることができた。しかし、隊列の整頓等改善しなければならないことが多々あった。その後、約1週間の海面訓練は2、3、4kmと距離を長くして体を慣れさせていった。距離が長くなるにつれてクラゲの心配も増していった。刺される者が多くなってボートにあげられる者もいたが、自分はクラゲを気にしている暇もなく前を泳ぐ学生についていくのが精一杯であった。しかし、周りのアドバイスや自身の工夫により、前の学生についていけるようになり、列を乱すことが無くなった。遠泳当日、これまでにない波の高さであった。自分が属する12組は先頭を泳ぐことになり、後方を泳ぐ組の見本となるべく気を抜かずに泳いだ。経験したことのない波の高さに自分たちはなかなか前に進めず苦しい時間が続いたが、皆の励ましで自分も頑張って約3kmを泳いだ。しかし、更に波がひどくなったこともありその時点で終了となり8kmを泳ぎ切ることができなかった。そんな中でも隊列を崩さないように進むことが出来て良かったと思う。今回の遠泳で自分は、「皆で協力、団結すればどんな過酷な状況も乗り越えられる」と改めて実感することが出来た。このような経験が出来たのは指導教官をはじめ、12組の仲間や同期、応援してくださった方々のお陰だと思う。

          訓練の様子

遠泳訓練参加の所感(2大隊)

1学年 坂口 有輝 兵庫県立姫路西高等学校(兵庫県出身)

7月から夏季定期訓練が始まり、その中でも1学年の登竜門とも言える訓練が遠泳訓練である。夏季定期訓練中、ほぼ毎日遠泳訓練に向けての訓練が実施され、中旬からは実際に海で泳いで、8kmを泳ぎ切る能力を身に付ける。私は水泳経験者であったため、遠泳訓練は苦ではなく、「21組最前列の一員として隊列を整え、後ろをリードする」という意気込みで臨んだ。海面訓練初日こそ、慣れない海での訓練に脱落する者もいたが、2日目からは脱落する者もほとんどおらず、遠泳訓練前日までに誰もが8㎞泳ぎ切る能力を身につけていた。しかし、そんな私たちを嘲笑うかのように海は牙を剥いた。今まで経験したことのない高い波に私たちは何度も呑まれ、隊列を整えることも困難な状況だった。3kmを超えたころには「自分たちはゴールできるのだろうか」という不安に駆られ、いくら泳いでも前に進んでいる気がしなかった。それでも隊列を維持しながら前に進むことができたのは、訓練中に何度も厳しく隊列の大切さを指導し、当日も的確な指示を出してくれた指導教官、そして1か月間共に訓練してきた同期やバディーとの絆のおかげである。今回は波高のため訓練が途中で終了となり、全員で8㎞を完泳するという目標は達成出来ず、悔しさで胸がいっぱいになった。しかし、本当に大切なのは、この1か月間、1学年全員が「全員で8km遠泳訓練を完遂する」という共通の目標を抱いて努力し続けたということであると考える。どんなに苦しい状況でも仲間とともに協力すれば乗り越えられることを学べたからだ。今回の経験を活かし、この先どんなに辛く苦しいことがあっても仲間と協力して乗り越えていこうと思う。

  訓練開始前の様子(中央やや右カメラ目線が本人)

遠泳訓練に参加して(3大隊)

1学年 郷原 将哉 私立追手門学院高等学校(大阪府出身)

防大に入校して3か月が経過した7月、初めての夏季定期訓練に参加した。定期訓練では様々な訓練が行われるが、水泳の苦手な私が最も心配していたのは「8km遠泳訓練」であった。入校直後に実施された学生の泳力を確認する「泳力判定」では、何とかなるだろうという甘い気持ちで臨んだ結果、100mすら泳げなかった。そのため、当初の懸念のとおり最も泳力の低いグループに分類された。そのグループは、赤い水泳帽を着用することから、通称「赤帽」と言われており、非常に悔しい思いをしたことを覚えている。赤帽の学生は、7月26日の遠泳訓練本番に向けて5月から水泳の事前訓練に参加した。事前訓練では私以外にも多くの学生が参加しており、初対面ながら一緒に訓練をやり遂げて赤帽を脱出しようという連帯感があった。いざ訓練が始まると、指導教官から泳法の指導を受け、仲間の学生と切磋琢磨することで泳力と自信が身に付いった。泳力判定日、私は合格基準に達し赤帽を脱出することができた。そして迎えた遠泳訓練の本番、途中で訓練が終了となるほど海は荒れていたが、悪天候に負けまいと同期と支えあいながらベストを尽くして泳ぐことができた。遠泳訓練はとても厳しいものであったが、私はこの訓練を通じて様々なものを得ることができた。赤帽になったことで不得意であった水泳が得意なものへと変わったことや、一緒に完泳を目指した同期との絆を強固なものにできたことは、私にとってかけがえのない貴重な経験となった。

     プールにおける訓練(右が本人)

遠泳訓練参加の所感(4大隊)

1学年 今井 崚太 国立大阪教育大学付属高等学校天王寺校舎(大阪府出身)

私は遠泳訓練に組長という立場で参加した。遠泳訓練における組長の役割及び責任は非常に大きい。60名弱の組員の先頭で泳ぐだけでなく、組内での列の編成を列長との意見交換に基づき常に最適化する必要がある。組員の泳力が訓練を経るにつれ上昇するからである。また、組長が指導教官から指示された進路を正確に掌握し、その進路を常に保持しなければ自分の指揮下にいる60名弱の組員が東京湾で迷子になる。入校してまだ3か月強の私には、組長の役割は少し過分であると感じていた。それ故に私は同期とのチームワークを重視した。そして “互いに助け合うこと”の重要性に気付いた。組長という立場に就いたがゆえに、肩に力が入り自分一人でこなそうとすれば失敗することも多い。それは過酷な状況になった時にこそ顕著に表れる。今回の過酷な状況下での遠泳訓練で、もし私が一人で組をまとめようとしていれば、自分の能力だけでは対処できず東京湾の大波に組員がさらわれていたかもしれない。今回の遠泳訓練を無事に終えることができたのは、指導教官、私に協力してくれた列長及び組員のおかげであり、リーダーとして大切なことを教えてくれたのも彼らである。私は彼らに感謝するとともに彼らが教えてくれたことを胸に、善きリーダーを目指し今後も精進していきたいと思う。

   訓練開始前の様子(最後列最右翼が本人) 

夏季定期訓練所感

2学年 陸上要員 南 駿 私立桐光学園高校(神奈川県出身)

今回の夏季定期訓練は、防衛大学校で自衛官に必要な基礎的な訓練と群馬県にある相馬原演習場での陸上自衛隊の野外行動時の訓練を実施した。防衛大学校での訓練では、小銃を使用し、敵方に攻撃する戦闘訓練や89式小銃での200m射撃訓練等を実施した。その中でも最も印象に残ったのは、40km行進である。40km行進は、小銃や25kgもある背嚢(リュック)を背負い、夜間を10時間以上かけて歩く厳しい訓練だった。1学年時に25km行進を体験したことがあったが、25kmですら非常にきつく感じ、今回の40km行進を完歩できるか不安に感じていた。訓練が始まると、やはり辛く足も痛くなり何度も心が折れそうになったが、行進間、周りの同期が声をかけ、そして励ましあい、全員で歩き切るという目標を持つことで、無事完歩することができた。訓練によって普段の生活では得られない同期と絆を深めることができた。40kmを歩き切った達成感は一生忘れることはないだろう。相馬原演習場での訓練で最も印象に残ったのは、斥候訓練である。斥候とは、偵察により敵情を把握する非常に重要な役割である。本訓練は、斥候を捕獲する学生が配置され、今までの訓練では味わったことのない緊張感があった。夜間の暗闇の中、草木の茂みを利用し、音を立てず低い姿勢で前進し、警戒する学生に発見されることなく無事偵察を実施することができ、敵情を解明する斥候の任務を達成することができた。1か月間の長い訓練期間を通して、辛く厳しい訓練であったが、共に困難を乗り越える貴重な仲間を得ることができた。自分自身も将来の陸上自衛官として大きく成長することができ、充実した訓練期間を過ごすことが出来た。最後に、全ての訓練に携わってくださった訓練教官である一瀬2尉をはじめとする教官、助教、学校職員、部隊の方々、そして一緒に辛い訓練を乗り越えた同期の仲間達に心から感謝する。

   相馬原演習場廠舎にて(前列一番左が本人)

夏季定期訓練参加所感

3学年 陸上要員 関 晃紀 私立明治大学付属中野高等学校(東京都出身)

夏季定期訓練間、第32普通科連隊(大宮駐屯地)にて部隊実習に参加した。約3週間の訓練期間中、部隊の方々と訓練及び寝食を共にすることにより数多くのことを学ぶことができたと感じている。夜間の行進訓練に始まり、その後攻撃戦闘を行ったが、部隊の方々の士気及び練度の高さに驚かされると同時に、自らの実力不足を痛感し、将来は幹部として部隊を率いることができるのかと不安に感じたというのが率直な感想であった。しかし、この様に自らの現状を理解することが出来たという事も、また訓練の大きな成果であったと感じている。そして、部隊の方々が自らの時間を割いて時に厳しく、時に優しく、数多くのことを教えていただいた事、そして私たちが幹部自衛官として任官するのを心待ちにして下さっているということも、この訓練期間を通じ強く実感することが出来た。その上で今回の夏季定期訓練における経験を踏まえて、日々謙虚な姿勢を忘れることなく、貪欲に多くの事を学び、卒業までの期間において精進しなければならないと感じた。

    市街地戦闘訓練の様子(中央部が本人)

夏季定期訓練に参加して

4学年 陸上要員 神木 康生 兵庫県立伊川谷北高校(兵庫県出身)

「陸上要員訓練の総仕上げ」、そう呼ぶにふさわしい充実した訓練期間だったと思う。私たち4学年陸上要員は北海道で、約3週間の訓練を行った。訓練隊長の要望事項である「自信の獲得」「不撓不屈」「同期の団結、絆の強化」の達成に向け、各学生が主体性を持ち、時に厳しく時に支え合いながら本訓練に取り組めたと感じている。私は今回の訓練において非常に多くのことを学んだ。特に分隊長として勤務した4夜5日の総合訓練では、小隊における自分の分隊の役割は何か、その役割を果たすにはどのように分隊を動かさなければならないのか、分隊を動かすときにも常に分隊員の様子を見つつ、現状で最適な指揮とは何かを考える中で、指揮官としての責任をひしひしと感じた。また、その他の訓練においても、これまで陸上要員として学んできたことを発揮する場面が多々あり、陸上戦闘の基礎を固めることができたと思う。今回の訓練では、心が折れそうになる局面が多々あった。そのような状況で私を支えてくれたのは、なによりも同期であった。団結し、ともに困難を乗り越えた経験は、これからの自衛官人生において大きな糧となると確信している。最後に、4学年陸上要員のために本定期訓練の計画及び実施に尽力して下さったすべての方々への感謝を胸に今後の防大生活、そして陸上自衛隊での勤務に励む所存である。

   訓練班の集合写真(前列左から2番目が本人)

夏季定期訓練を通して私が得たもの

2学年 海上要員 末永 歩 千葉県立千葉東高等学校(千葉県出身)

今回の定期訓練は、走水海上訓練場に泊まり込みでの訓練に始まり、海上自衛隊幹部候補生学校研修を含む呉・江田島地区研修を経て、乗艦実習に終わるというものであった。毎日新しいことを学ぶことができ、全体的に非常に内容の濃い訓練であったと思う。実習部隊においては、現場の幹部自衛官及び乗員と会話する機会を得ることができ、自分が今後どのような進路をたどるのか理解を深めることもできた。また、これらの訓練の中で最も印象に残っているのは、乗艦実習での艦長講話の一節で、「この艦は乗員も含めて、ただ君たちの実習のためだけに動いている。」である。この言葉を聞いたとき、我々が臨んでいる訓練は多大な投資の上に成り立っているのだと思い出した。投資されているものは乗員の協力であったり、資金面であったり、あるいは時間であったりと様々あるが、ここから価値あるものを生み出せるかは私の努力次第であると気付くことができた。私は本訓練期間中、訓練に対する心構えを学んだ。これは学科や任官後の勤務にも通じるものがある。様々な投資や期待に応えられるよう今後も精進していきたい。

      史跡研修中(左が本人)

夏季定期訓練を終えての所感

3学年 海上要員 原 郁哉 山梨県立甲府南高校(山梨県出身)

今年の夏季定期訓練は主として乗艦実習と、航空部隊研修を実施した。乗艦実習では、護衛艦「さわぎり」に約1週間乗艦し、艦内防火訓練での「防火部署」の発動・復旧、溺者救助及び夜間蛇行運動等の訓練を見学・実習し、艦艇における具体的な勤務要領を理解することができた。また、訓練の中には英語による課題作成もあり、海外における活動が多く、他国の海軍との訓練機会の多い海上自衛隊の特性を感じるとともに英語能力の重要性を再認識した。乗艦実習全般を通じて、分単位の訓練計画や天候が悪い中でも訓練を実施するという厳しさとともに日本の領海やシーレーンを守っている護衛艦での勤務における責任及び重要性を改めて認識することができた。航空部隊研修は、鹿児島県にある鹿屋航空基地を約1週間研修した。司令部、警戒監視等を任務とするP-3C部隊、ヘリコプターの搭乗員を養成する教育航空隊、離島の急患輸送や海難対処等を任務とする救難ヘリ部隊及びそれらの航空機を整備し、部品や物品を補給する整備補給隊等の様々な部隊があり、それらを研修することで、航空部隊の勤務要領等を理解することができた。特に、P-3Cの体験搭乗を通じて、航空部隊への憧れを抱くとともに、「空から海を守る」という航空部隊の任務の重要性を理解することができ、海上要員としての視野を大きく広げることができた。今回の訓練では、2学年時の反省を活かし、各実習に周到な準備をして臨んだため、より多くのことを学ぶことができた。来年はいよいよ4学年となり、卒業後は広島県江田島市にある幹部候補生学校に入校するため、将来を見据え、立派な幹部自衛官となれるように今後も努力していく所存である。

      訓練中の風景(右側が本人)

夏季定期訓練参加の所感

4学年 海上要員 外薗 孝史 長崎県立佐世保南高等学校(長崎県出身)

夏季定期訓練において、護衛艦「いなづま」で乗艦実習を行い、多くの経験を得ることが出来た。「いなづま」はこの名を受け継ぐ日本の艦艇としては旧海軍の雷型駆逐艦「電」、吹雪型駆逐艦「電」、むらさめ型護衛艦「いなづま」に続き4代目である。実習中は増田艦長を始めとする多くの乗員の方々が、我々防大生の為に様々な訓練を計画し、寝る間も惜しんで教育や指導をして下さった。また、私が1学年時の4学年が「いなづま」に乗艦しており、その姿を見て3年後の自分の将来像をイメージすることができた。我々防大生は将来幹部自衛官に任官し、様々な配置で勤務に就く。そこでは今回の定期訓練で見てきた幹部の方々と同等の仕事が要求される。勤務に就く際にスムーズに仕事がこなせるよう今のうちから勉強し、積極的に訓練に取り組み、知識や技術の習得に励む必要があると感じた。

         護衛艦実習の様子

2学年航空要員 夏季定期訓練に参加して

2学年 航空要員 大場 淳輝 神奈川県立横浜修悠館高等学校(栃木県出身)

夏季定期訓練では、大きく分けて航空機運用実習、航空基地の研修、校内訓練及び低圧訓練の4つの訓練を行なった。航空機運用実習では、グライダーに搭乗するだけでなく、航空機の運用について多くのことを学ぶことができた。2学年である私は新隊員の立場で訓練に参加し、4学年に指導を受けながら行動した。航空要員となり、初めての部隊を想定した実践的な訓練であったので、わからないことばかりだったが、4学年に教えられながら自分の役割を果たすことができた。また、短い時間であったが、グライダーに搭乗することができ、パイロットへの憧れが更に強くなった。私たちの訓練班は航空機運用実習の後に、入間基地の研修や低圧訓練を行った。入間基地研修ではC-1輸送機に搭乗することができた。C-1輸送機の搭乗訓練では2倍の重力加速度(2G)を体験した。その環境下で腕立て伏せに挑戦したが、負荷の大きさに驚いた。また、低圧訓練では35000ftの低酸素環境下で簡単な計算を行った。地上にいる時よりも遥かに思考能力が低下することがわかり、貴重な体験をすることができた。今回の訓練で学んだ多くのことをこれからの自衛隊勤務に活かしていきたい。

<用語の解説>
○ 航空機運用実習:滑空機による飛行訓練・運航要領などの訓練
○ 低圧訓練:高高度の低圧環境を経験するもの。
○ 新隊員:自衛隊に入隊して間もない隊員のこと
○ 35000ft:地上から約1万mの上空

   C-1搭乗訓練(手前から5番目が本人)

夏季定期訓練を通して学んだこと

3学年 航空要員 鬼頭 蘭丸 岐阜県立岐山高等学校(岐阜県出身)

夏季定期訓練において3学年航空要員は、主に航空団での部隊実習を行った。各部隊において隊員と生活を共にしながら、航空団の仕事の研修や簡単な作業等を行った。隊員と身近な環境下にあって、将来幹部になったときのイメージアップを図るとともに、航空自衛隊の組織編成・運用を学ぶことができた。また、今回の実習では、戦闘機や練習機の体験搭乗があり、航空機の特性を肌で感じることができた。私は整備補給群の検査隊という、主に航空機の整備・検査を行う部隊の研修を行った。私が一番印象に残ったことは、検査隊長が言っていた「整備はパイロットを飛ばすまでが仕事ではない。パイロットが無事に帰ってきてくれるところまでが俺たちの仕事だ。」という言葉である。私は将来パイロットになりたいと考えているが、パイロットになったときには、自分が空を飛べるのは当たり前のことだと思わず、それを支えてくれる人たちが多くいることを肝に銘じたい。今回の研修では、多くの人員や費用をかけていただいたことで、貴重で意味のある研修を行うことができた。隊員の方々は、「周りのことを見て、客観的な視点で物事を捉えられる幹部になって欲しい。」と仰っていた。その事を忘れず、将来を見据えてこれからの防大生活に励んでいきたい。

      北部航空施設隊研修(本人)

夏季定期訓練の所感

4学年 航空要員 鈴木 修登 横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校(神奈川県出身)

今年の4学年航空要員の夏季定期訓練は、航空警戒管制部隊実習及びグライダーを用いた航空機運用総合訓練がメインであり、航空要員として4年間の集大成訓練という位置づけであった。警戒管制部隊実習では、ミサイルや航空機の発見や識別といった警戒管制の概要を理解するとともに、対領空侵犯措置や防空戦闘のシミュレーション訓練を見学した。航空機運用総合訓練は、4学年航空要員が上級部隊の指揮官・幕僚となり、2学年航空要員が第一線部隊の隊員として航空団を模擬した組織を編成し、任務を達成できるよう組織運用をする訓練であった。これらの訓練を通じて、日本の空がどのように守られているかを知ることができ、将来我々が担うことになる任務に関して理解を深めることができた。さらに、組織運用の重要性や難しさを、司令部から各部隊の活動を経験することで実感でき、航空自衛隊が掛け算の組織といわれるように、どの機能が喪失しても任務達成や最大の戦力発揮に大きな影響を与えてしまうことを痛感した。以上のように夏季定期訓練から学んだことを活かし、防衛大学校の生活はもとより、今後の自衛隊生活に活かしていけるよう精進していく所存である。

      グライダー訓練の様子


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