防大かわら版VOL.67

2016年02月09日

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冬季定期訓練参加所感(陸上)

4学年 河上 勇輔   島根県立浜田高校  (島根県出身)

私は、12月14日(月)~20日(日)まで、防衛大学校及び武山駐屯地で実施された防衛大学校4年間で最後の定期訓練である冬季定期訓練に参加しました。訓練内容として、講話、分隊攻撃、89式小銃による射撃及び体力測定等がありましたが、その中で、2点のことが印象に残っています。
 1点目は、軍事科学技術の進歩についてです。今回の定期訓練の特徴の1つに講話が多かったことがあげられます。中でも印象的だったのは防衛装備庁講師による講話でした。防大生が、普段なかなか関わることができない研究開発分野に関する講話はとても新鮮であり、自分たちが使用する装備品がどのような過程を経て開発されるのかを知ることができ、大変貴重な内容でした。
 2点目は、我々に対する期待の大きさです。幹事講話において、陸上自衛隊そして何よりも防衛大学校の大先輩にあたる幹事の体験談は、将来幹部自衛官となる私にとって、大変参考になりました。失敗をしてもめげずに、まずは幹部に必要な最も基本的な要素である人間性を磨いていきたいと思いました。
 卒業まで残り僅かとなりました。桜咲く学生舎前を不安そうな顔をしながら歩いた着校日から、まもなく4年が経とうとしています。この防衛大学校で培ったことを胸に、今度は堂々と幹部候補生学校の門をくぐりたいと思います。

体力測定

冬季定期訓練参加所感(海上)

4学年 三国 誉士人 神奈川県立横浜緑ヶ丘高校 (神奈川県出身)

4学年の冬季定期訓練は、幹部候補生学校に向けた最後の総仕上げとなる訓練でした。来春からは“防衛大学校卒”の幹部候補生として各人がより一層のリーダーシップをもって候補生全体をまとめ、あらゆる訓練を乗り越える大黒柱とならなくてはいけません。そのためには知識や技術をより確実なものとして、身に付ける必要があります。しかし、それだけではなく海上自衛官としていかに人と向き合うかという視点が欠かせません。
 この定期訓練を通して、初級幹部として欠くことが出来ない副直士官としての業務、太陽の隔時観測から自らの艦位を割り出す天測艦位、そして機動艇を一から実際に運用する機動艇巡航訓練などあらゆる技術や知識を実践することが出来ました。
また、同期と切磋琢磨することで、各訓練を乗り切ることができ改めて同期の大切さを実感することができました。特に、天測が苦手な私に対して、1から10まで付き切りで手助けをしてくれた同期には本当に感謝しています。
 正直、来春からの幹部候補生学校に対して期待半分不安半分ですが、入校後は“防衛大学校卒”の幹部候補生として恥じない振る舞いをして、いつか防衛大学校に恩返しができるように頑張りたいと思います。

天測計算及び運動盤解法中の本人

冬季定期訓練参加所感(航空)

4学年 石塚 大祐  私立水城高等学校 (茨城県出身)
 4学年航空要員の冬季定期訓練では、基地警備訓練が主に実施された。航空自衛隊においては、航空戦力発揮の基盤が基地に大きく依存しているため、基地警備は非常に重要である。本訓練では、4学年航空要員が基地警備の任務を付与された小隊の指揮官、幕僚及び分隊長等の任務に就き、3学年を分隊員として指揮して、様々な基地への脅威に対処する要領について訓練した。
 当初、私は指揮官として基地の築城及び実際の警備を実施した。その際、自分の小隊の組織体系を理解して臨んだはずであったが、幕僚を通じて各部署から挙がってくる膨大な量の情報や、それぞれの築城場所においての連携などが不十分であり、小隊長としてどのように部隊を運用すればいいのか困惑することが多く、知識として「知っている」ことを実践的に「できる」ことにする難しさを学んだ。
 その後、本部ではなく現場にて部下を率いて実際に活動する分隊長などの任務に就いた。ここでは、実際に部下である3学年を指揮することで、現場での指揮の難しさと指揮される者の状況を知った。
 この両方を経験したことで、動かす側と動かされる側の間に生じる摩擦を肌で感じた。このような事例は、恐らくこれからの自衛隊生活でも起こり得ると思うが、今回の経験を活かし、双方の立場を考え指揮できる幹部自衛官になりたいと感じた。

写真右端が本人

冬季定期訓練参加所感(硫黄島研修)

3学年 山内 拓弥  沖縄県立球陽高等学校 (沖縄県出身)

防衛大学校における3学年の冬季定期訓練では1年間の集大成として戦闘訓練や組動作の訓練、そして硫黄島研修が実施されました。
 その中でも硫黄島研修は特に意義深いものでした。研修では先の大戦において旧日本軍がいかに戦ったのかを戦略・戦術的な面から学び、実際に戦闘が行われた壕やトーチカの研修を行いました。実際の硫黄島は私が想像していたよりも遥かに過酷な環境にあり、食料や水といった物資の不足、地熱による暑さ、そして圧倒的な米軍の軍事力を前にした絶望や恐怖という想像を絶するような状況下で、約1か月間もの間硫黄島を死守した先人たちに尊敬の念を禁じえませんでした。生きては帰れないと分かっている戦場に於いて、彼らは何を考え誰を想ってあの地獄を耐えたのか。そこには私に想像もつかないような苦しみや葛藤があったはずです。その当時に思いを馳せることで私自身も平和というものについて深く考えるよい機会となり、また約2万人の将兵を率いた栗林中将の統率という面でも非常に勉強させられるものとなりました。
 冬季定期訓練は自衛隊員としての技術的な要素だけではなく、その心持や目的について深く考えさせられる訓練となり、今一度自衛隊の存在意義や責任を自覚するともに、将来は幹部自衛官となり日本の平和に貢献すべく日々の勉学・訓練・校友会活動に精進していこうと決意を新たにしました。

硫黄島研修にて左が本人

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