防大かわら版VOL.52

2015年02月03日

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後期学生隊学生長としての抱負

4学年 馬渡 淳司 長崎県立佐世保北高校(長崎県)

こんにちは。後期学生隊学生長を務めさせていただく馬渡淳司と申します。我々は防衛大学校学生としての名誉と責任を自覚し、「真の紳士淑女にして、真の武人」たることを目標に幹部自衛官としての資質を養うべく、この小原台で知識及び能力の向上に励んでいます。また、学生綱領「廉恥・真勇・礼節」を自主自立の指針として、人間性の向上及び社会人としてのあるべき姿を追求しています。
 今年度は我が防衛大学校の名誉と威信を失墜するような事案が生起しました。しかし、この問題がただ悪いものだと捉えるのではなく、防衛大学校がより良く生まれ変わるきっかけとなると捉えています。私は学生隊学生長として勤務するにあたり「誇りを胸に」という目標を掲げ、我々は常に防衛大学校学生であることを自覚し、また防衛大学校学生であることに「誇り」を持って日々邁進していきます。我らが防衛大の目指すところは「世界一の士官学校」であるので、学生一人ひとりが目的意識をしっかりと持ち、どのようにすれば、私たちが目指す学校へと近づくことができるか考えていかなければいけません。
 私はこのような場所で勤務できる感謝の気持ち、学生の最高指揮者としての責任を持つとともに皆に指標を示し、より良い防衛大学校へと近づくために胸を張って勤務を全うしていきたいと思います。

冬季定期訓練所感

4学年 柴田 祥宏 私立米子松陰高校(鳥取県)

防衛大学校、小原台において最後の定期訓練が終わりました。始めは長いと感じていた4年間の小原台生活も、この冬季訓練を終えて振り返るととても短く感じさせられます。2学年時に陸上要員となってから約3年間、苦楽を共にした訓練班の同期皆でここまで成長出来た事を誇りに思います。
 防衛大学校学生としての集大成となるこの冬季定期訓練は、幹部候補生学校の入校にあたっての自覚と覚悟を育成する期間でもありました。訓練内容としては、幹事講話、今までの個別の訓練内容を網羅した総合的な戦闘訓練、89式小銃による射撃等を行いました。
 その中でも最も印象に残った訓練は幹事講話でした。幹部自衛官としての心構えや仕事への姿勢の在り方について多くの感銘を受け、私にとって貴重な経験となりました。その中でも「形から入り、習性化せよ」という言葉が印象に残っております。幹部候補生学校で初めて階級が就き、経験を積むに従って担う責任も大きくなっていきます。始めは右も左も分からない慣れない環境に身を置き、周りの多くの方々に迷惑をお掛けする事もあると思いますが、形から入りまずやってみる、模倣実践を胸にこれからの自衛官生活を懸命に勤務していきたいと思います。

射撃予習

4学年 柳井 優哉 私立東海大学付属高輪台高校(東京都)

我々4学年海上要員は、12月15日から12月21日までの7日間、走水海上訓練場において冬季定期訓練を実施しました。本訓練は防大海上要員として臨む最後の定期訓練でありましたが、訓練実施前に教官から「4年間の総仕上げとして集大成訓練を実施する」、「幹部候補生学校での教育訓練に臨む姿勢を確立する」等の訓練の目的が示され、全般にわたり3ヶ月後に控えた幹部候補生学校入校後の教育訓練を意識した訓練となりました。
 訓練期間中は主に、NAT(航海術科訓練装置)を用いた艦橋当直・副直士官演習、機動艇を用いた走水港外での指定位置到達訓練や横浜までの巡航訓練を通じ、操艦の指揮及び補佐要領について学んだほか、分隊ごとにカッターに分乗しての猿島までの遠漕訓練、随時実施された総短艇訓練を通じて気力・体力の錬成に努めました。
 総短艇とは、事前の予告なしに訓練開始の号令が掛かり、分隊ごとにカッターを所定の距離まで漕いで折り返し、着艇完了の報告をするまでの時間を競う訓練ですが、我々4学年第2大隊海上要員(第42分隊)はこの1年間の春・夏・冬の3期間にわたる定期訓練の総短艇訓練において、当分隊対象の実施回数11回中10回の勝利を収め、総短艇訓練年間優勝を果たすことができました。総短艇訓練では、カッターのとう漕力は勿論ですが、出港から帰投までの一連の運用作業がいかにスムーズに行われるかが問われます。訓練に対する「即応性」と「精強性」が問われる総短艇において、多くの勝利を重ねることができたのは、我々の分隊にとって大きな自信となりました。
 最後の定期訓練を終え、防衛大学校で教育訓練を受ける期間も残りわずかとなりましたが、残された期間、在学中に学んだ術科の知識や技能の更なる充実を図り、3月に行われる海上術科競技会、そして4月からの幹部候補生学校での教育訓練に向けて、万全の準備をしていきたいと思います。

横浜巡航訓練時の当直士官演習にて

4学年 鈴木 滉平 私立駿台甲府高校(山梨県)

4学年航空要員冬季定期訓練では、基地警備訓練を主とした指揮幕僚活動演練が行なわれた。航空自衛隊における航空戦力発揮の基盤は基地機能に大きく依存している。したがって、有事に限らず平時も基地警備は非常に重要である。今回我々は、3学年航空要員を分隊員とし、4学年が小隊長及び各分隊長として指揮を取るとともに幕僚活動を行い、基地に対する様々な状況への対処を通して指揮幕僚活動を学んだ。
 当初、私は基地警備小隊本部において運用幕僚として勤務した。小隊本部の任務は、各部署から上がってくる情報を収集分析、現状を把握し事態に対処するための適切な命令を下すことである。指揮官を補佐する幕僚は、この一連の活動を分担し、指揮官が命令を下しえる判断材料を提供する。しかし、情報の収集分析ひとつ取っても実際に行なってみると各部署から上がってくる膨大な量の情報やその分析のため判断に時間がかかり、現場を振り回してしまうなど多くの失敗があった。
 その後、実際に分隊員を指揮して率いる分隊長の補佐である副分隊長として勤務した。そこでは直接指揮することの難しさに加え、指揮所との意思疎通の難しさを肌で感じた。
 これらから学んだことは、「両方の目線で考えること」「自分の持っている知識や経験を応用すること」である。現場的な視点を疎かにしてしまうと、現場との齟齬が生じ、適切な状況の分析ができなくなる。また、一見直面したことのない事態が発生しても今までの訓練や教育を基礎として、その応用であると考えれば、適切な対処が可能であると感じた。
 今回の4学年航空要員の冬季訓練は、いままで航空要員として学んできた知識、積んできた経験の集大成であることに加え、来年からの幹部自衛官としての第一歩であると感じた。今回の経験を生かし残りの防大生活を有意義なものとし、良き幹部自衛官になりたいと思う。

基地警備訓練時の指揮官訓練にて

3学年 浜野 広大 県立東稜高校(熊本県)

今回の硫黄島研修を私は楽しみにしていました。理由は2点あり、私が1学年の時の3学年の方が「心が洗われた」とおっしゃっていた言葉が3年間ずっと心に残っていたことと、太平洋に位置する南の島という地理的な面で楽しみでした。
 行く前は、事前教育や映画などから得た知識で当時の硫黄島では大変な戦いがあり、平和は尊いという感情がありました。しかし現在の硫黄島は心がほっとするのどかな風が心地よく吹き、水平線まで見える壮大な海が360度広がる、とても激戦が繰り広げられたとは思えない穏やかな島でした。その後の研修を通して、当時の日本軍の方々はこのような余裕が持てた状況ではなかったのだろうなと感じました。
 研修で最初に行った場所は摺り鉢山でした。そこで大変な衝撃を受けました。とても小さいとは言えない山の1/4が、威力強大な攻撃によりえぐられていました。地形を変えるほどの攻撃に旧日本軍は恐怖に耐え、立ち向かっていたのだろうなと想像できました。その後いくつかの壕を回りました。壕の中はとても狭く、先が見ないほど長く、暗く、そしてとても暑かったです。食料、飲み物及び十分な安息もなく、汗と汚れにまみれても風呂にも入れず劣悪な環境の中、日々本国の平和のために戦い、そして亡くなられた先人の方々を私はとても尊敬しました。
 私が硫黄島研修を通して感じたのは、平和の尊さだけでなく、どんなに辛く苦しくても、有事の際、家族、隣人、国を守るため、自分の職務を完遂しなければならないという強い気持ちを持つ、強い幹部自衛官でなければならないということでした。今でもふとした瞬間に硫黄島の事を思い出す、とても心に刻まれた経験となりました。

同期の仲間と

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