防大かわら版vol151

2023年09月11日

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◯掲示内容一覧
 ・遠泳訓練参加所感
 ・夏季定期訓練参加所感
 ・前期を振り返って
 ・中期学生隊学生長としての決意・抱負




遠泳訓練参加所感

河瀨 学生

入校してからこの日まで、あっという間であった。
 防大生として初めての一大行事、8km遠泳だ。小学校まで水泳を習っていたこともあり、当初大きな不安はなかった。プールでの時間泳もきちんとこなすことができ、自信があった。しかし、海面訓練が始まった途端、その自信は大きな不安になった。クラゲの存在だ。水温が低いことや体力を消耗する話は聞いており覚悟はしていたが、クラゲは想定外であった。アカクラゲと比べて危険でないミズクラゲでも、刺されると痛い。周りをクラゲに囲まれた時もパニックにならず、泳ぎ続けなければならない。日に日に海面訓練が憂鬱になり、8km本番への自信もなくなってきた。特に4km泳では波も高く、クラゲも多い中で泳がなければならず、心身ともに苦しかった。だがそんな時、同期の存在が支えとなった。クラゲの大群に遭遇したときも、水が冷たいときも、周りで泳ぐ同期たちは、前だけを見て必死に泳いでいる。その姿は私を奮い立たせ、前に進ませた。それでも不安はあったが、隣を泳ぐバディへの信頼がそんな不安を取り除いてくれた。本番前最後の訓練が終わってみると、同期と共に完泳できるという確信が生まれていた。そして迎えた遠泳本番、これまでの訓練を乗り越えてきた私たちに怖いものなどなかった。波が高かろうとクラゲが出ようと、動じることなく泳ぎ続け、無事完泳した。今回の訓練を通して得た、根性や同期との信頼関係・絆を今後の防大での生活に生かしていきたい。

桑村 学生

皆さんは海で8キロ泳いだことはあるだろうか。普通に過ごしていればないであろう。この8キロという距離は、走水海岸から、私の地元千葉県にある富津岬までが直線にして8キロであるため、泳いで千葉県まで行けてしまう距離である。そんな距離を地面に足のつかない海で、波を受けながら泳ぎ切るというのは、初めは想像もつかなかった。
 遠泳訓練はプールでの短い時間泳から始まり、段々と時間を伸ばしていき、海面訓練へと進むのだが、私は元々泳力にあまり自信がなかったため、一番初めの30分間泳ですら力尽きそうになってしまった。しかし、空いている時間に同期とプールへ行き、泳ぎ方を教えてもらったりしていく中で、段々と泳ぎのコツをつかむことができ、無事プールでの訓練を乗り越え、海面訓練でも1度も脱落することなく乗り越えることが出来た。そして迎える本番。天気も良く波も穏やか、前日には普段は厳しい上級生からたくさんの激励を頂き、最高のモチベーションで海に入った。始めは好調に泳ぎ始めたものの、やはり8キロという距離はとても長く、終盤になると疲労に加え、海水の塩辛い味が口いっぱいに広がり、周りには大量のクラゲがいた。しかし、そんな状況でも仲間と声を掛け合い何とか泳ぎ切ることができた。海を上がるとそこにはたくさんの保護者の方々や地元の方々が大きな拍手で迎えてくれた。私はそこで泳ぎ切ったことを改めて実感し、大きな達成感を得た。私はこの遠泳訓練を通し、人間は限界を感じても、努力を重ね同期と団結することでその限界を超えられること、そして、限界を超えた先には大きな達成感があることを学んだ。

小林 学生

1学年の夏季定期訓練におけるひとつの山場が8km遠泳である。プールであろうと海であろうと8kmを泳ぐことは決して簡単なことではない。しかし、私には水泳の経験があり、遠泳の経験もあったため、当初この遠泳を楽観的に見ていた。
 実際にプールでの遠泳訓練が始まっても私にとって苦ではなかった。その後回数を重ね、何度目かの訓練の際、私は区隊の先導者に任命された。先導者が区隊を決められたタイム内で泳げるようすることを考えていた私は、持前の泳力を活かし時間通りに泳ぐことだけに集中した。そして迎えた海面訓練では距離が短かったこともあり、無事に完泳することができた。このままいけば自分の区隊は大丈夫だろうと思い、次回の1km訓練も上手くいくだろうと考えていた。しかし、実際はそうではなかった。悪天候に見舞われ、波は高く水温も低かった。それにより、途中でパニックを起こす学生が多発し、区隊はバラバラになってしまった。何も対策を考えていなかった私は声を掛けることが精一杯で、なんとか泳ぎ切った後には、自らの事前準備が不足していたことを痛感した。それとともに、先導者の役割は、時間通りに泳ぐことだけでなく、区隊全員を完泳させることだと自覚した。区隊の中には泳ぎが不得意な学生もおり、泳げる者として、そういった学生に寄り添っていくことが大切であると考えるようになった。それ以降、教官との話し合いや訓練中の学生及び区隊の現状把握に努め、2km、3km及び4kmの海面訓練でも区隊全員が完泳することを考えて先導した。
 そして迎えた8km遠泳。天候に恵まれ、絶好の遠泳日和であった。途中、大量のクラゲに翻弄されることもあったが、仲間を励まし共に頑張れた結果、無事に完泳できた。
今回の遠泳を通して、同期との協力そしてリーダーとして相手を思いやること の大切さを学んだ。今回の経験を活かし、今後さらに努力する。

世良 学生

防衛大学校1学年の中で1番のメインである訓練は8キロ遠泳だと思う。私は幼い頃から水泳を習っており泳ぎには自信がある。中学校の頃は水泳部で1日に10キロ近く泳いだ経験もあるため8キロ遠泳は余裕であると考えていた。しかし遠泳訓練はそこまで甘くはなかった。
 遠泳訓練の最初はプールを泳ぐことから始まった。最初は30分。最初はゆっくりなペースで平泳ぎでプールを周っていく。泳ぐことが好きな私からするととても気持ちの良い時間であった。しかし日に日に泳ぐ時間が伸びていくにつれ私の余裕も無くなっていった。変わらない景色の中で泳ぎ続けることや区隊学生の長を任されていたため一定のペースで班のみんなの様子を伺いながら泳ぐ必要があるなどして少しずつ余裕がなくなってきたのだ。 しかし、元々水泳が苦手であった同期達が必死に喰らいついて泳ぎ、成長している姿を見ていると私も力が湧き、頑張ることができた。
 そしてついにプールでの訓練が終わり、海面での訓練が始まった。海面での訓練はプールでの訓練とは違うことがたくさんある。波があることや、足が地面につかないこと、そして一番私たちを悩ますことになるクラゲがたくさんいること。このような環境にパニックになる学生も出てきて、少しずつ遠泳訓練のキツさを知ることとなった。しかし、バディー同士、同じ列員同士などみんなで励まし合いなんとか本番にたどり着くことができた。
 そして迎えた本番、天候も海水状態もすごく良い中で8キロを泳いだ。すごく長く途中で心が折れかけたけれど、みんなで声を掛け合いなんとか泳ぎ切ることができた。
 この訓練全体を通して、どんな困難でも仲間と共に助け合い立ち向かえばなんとかなるということを知った。この経験を活かしてこれからも仲間との絆を大切にして生活していきたい。

夏季定期訓練参加所感【陸上】

大村 学生

第2学年陸上要員は防衛大学校内及び関山演習場において、陸上戦闘における基礎的技能を向上すべく訓練を実施した。特に、関山演習場では充実した訓練環境の下、陸上要員に必要な能力を高めることができたと考える。様々な訓練の中で特に印象に残ったのは、32km行軍(徒歩行進訓練)と小銃用掩体構築の訓練である。
 32km行軍は、当初校内で行進要領の確認を実施した後、関山演習場において実施された。校内で実施した際は、物品の入れ組み方や背嚢のベルトの調整を疎かにした結果、負荷が身体の一部分に集中し、とても苦しい訓練となった。その反省を活かし、本番(32km行軍)では背嚢の調整を細部にわたり実施し、物品を入れ組む際の順番にも気を配ることで、校内で実施した時よりも負荷を感じずに訓練を実施する事ができた。
 小銃用掩体構築の訓練では、想像をはるかに超える体力を損耗した。私は当初、掘削の方法を意識せず、闇雲に掘り進めていた。その結果、不要な力が常に入り、必要以上に体力を消耗した。最終的に独力で構築することができたものの、多くの時間を浪費してしまった。まずは基本に忠実に、示された方法を実施する事の大切さを学んだ。
 本定期訓練期間中、疲労が溜まり辛い時もあった。それでも隣を見れば共に泥にまみれ、共に大量の汗をかき、共に乗り越える仲間がいた。陸上要員で良かったと何度も心から思った。同時に、自身には心身両面において、まだまだ未熟な部分が多々ある。これからの学生生活で、仲間と切磋琢磨し、精悍な陸上自衛官と成れるよう、日々努力していく所存である。

上松 学生

東に名峰大山を臨み、北に日本海を臨む風光明媚な鳥取県米子の地に、山陰地方の防衛、警備を担う第8普通科連隊は駐屯している。周囲を田園に囲まれた長閑なこの駐屯地で、私たち7名の学生の部隊実習訓練は実施された。
 実際に駐屯地で生活を送りながら、部隊の方々と一緒になって訓練に参加する、この入校後初めての経験に触れたとき、私の頭には「井の中の蛙大海を知らず」の故事がよぎった。そこには、何も知らない、何もできない自分がいた。加えて、私には連隊学生長として、連隊の同期をまとめる役割も与えられていたが、学生長としての統率という面でも至らぬところばかりであった。
 自らの無知や無力を痛感した3週間、それでもなんとか全訓練を無事に修了できたのは、常に部隊や部下への愛情をもって指揮活動を行っておられた幹部の方々や高い志をもって訓練に精進されていた陸曹陸士の方々、あるいは共に汗を流した同期の存在があったからだ。このような、数多くの尊敬すべき部隊の方々や同期と出会えたこと、そして絆を深められたことは、今回の部隊実習訓練で得たありがたい財産であったとしみじみ感じている。
 第8普通科連隊の隊員の方々は皆、国防への使命感に燃え、部隊や地域を愛し、誇りと責任感を持って職務に励んでおられた。愚直なまでに自己を磨き続けるその強くて優しい背中は、私に「自衛官としてどう生きるか」を問いかけていたように感じた。
 残された学生生活、その答えを追求すべく、修練に励んでいく所存である。

萩野 学生

防大生活最後の夏季定期訓練。4学年として、陸上要員の締めくくりとなる総合訓練となった。訓練隊長の要望事項「妥協を排し、状況に入れ」を念頭に、幹部自衛官になるべき者として覚悟と信念をもってこの夏季定期訓練に臨んだ。
 大まかな訓練内容としては大きく2つ。他大隊を敵と想定した攻撃総合及び防御総合訓練である。攻撃総合訓練に関しては、40キロの徒歩行進に引き続く昼夜間偵察からの陣地攻撃であり、体力的そして精神的にも厳しい訓練となった。特に昼夜間における偵察においては、敵地に潜入し敵情を入手して小隊長へ報告しなければならず、常に緊張感のある状況であった。防御総合訓練に関しては、敵の攻撃要領や攻撃方向等を見積り、それに応じて陣地構築や障害構成を実施し、敵を待ち受け、攻撃を破砕する訓練であった。
 この夏季定期訓練を通して私は今後の自衛官生活を歩むうえで、2つのことが大事であると感じた。1つ目は「言葉の重み(責任感)」である。私は、防御総合訓練において分隊長を実施した。分隊長は、小隊長から下達される命令を分隊員にわかりやすくどのように命令を下達するか考え、また分隊員の意見をくみ取って小隊長へ報告するという責任があった。このような責任感はこれから先、幹部になると必ず必要となる。2つ目は「フォロワーシップ」である。訓練中何が起こるかわからない状況下で、同期又は同じ分隊員と協力し訓練(任務)を遂行すればミスを最小限に抑えることができ、円滑に訓練(任務)を達成出来るからである。
 この夏季定期訓練で得たものを個人だけでなく、周りの同期・後輩などに共有し、そして『防大卒業後には幹部候補生となる』という自覚を持ち、今後の生活を励んでいきたい。

夏季定期訓練参加所感【海上】

建石 学生

私たち2学年海上要員は、夏季定期訓練を通して、海上自衛官として必要な専門知識・技能、そして海上自衛隊についての知識と理解を深めた。訓練は、座学・カッターとう漕・江田島研修及び護衛艦実習に大別される。座学では、「運動盤」と呼ばれる図面を用いた計算や、モールス信号、手旗信号、旗りゅう(船舶のマストなどに掲げる旗)などの通信手段、海事法規などを学んだ。これらは海上自衛官としての基盤となるが、暗記が必要な事項が多い。信号査定に向けた勉強ではこれらを覚えるために苦労した。それ以上に私が最も苦戦を強いられたのは、「運動盤」である。これらは護衛艦の運用に必須な技能であるが、物理を苦手とする私には、「相対速度」や「外力」等といった物理的な計算、考え方を理解するのが非常に困難であった。
 護衛艦実習においては、「運動盤」を実際に用いている様子や、信号通信を行っている様子を見ることができ、非常に興味深かった。
 広島県江田島市にある幹部候補生学校では、昨年度4学年としてお世話になった先輩方が、厳格な規律のもとで生活する姿を目の当たりにし、気が引き締まる思いがした。また、建物は海軍兵学校より引き継ぐ赤レンガ造りのもので、その立派さに圧倒された。 今回の定期訓練で最も印象に残っているのが、江田島や護衛艦での研修である。我々2学年海上要員が2年後、3年後そして数十年後どのような環境で働くのかを、最も具体的かつ明確に理解することができたからである。この経験は将来の理想像を描くにあたって重要な経験となり、また幹部海上自衛官の卵たる海上要員としての自覚を強めた。

安居 学生

防衛大学校の学生としての3回目の夏季定期訓練が終わった。すなわち、夏季定期訓練は残すところ1回となった。今年は総じて充実した訓練期間だったと思う。
今年は航空部隊実習をはじめ、乗艦実習、クルーザ-ヨット実習等を通し、海上自衛官としての多角的な素養を身につけるとともに、2学年時には体験できない実習を多く体験した。今年の実習では、全般を通して大隊混合で行い、普段関わらない他大隊の海上要員の同期とも交流を深めることができた。航空部隊と艦艇部隊の文化の違いや雰囲気の違いを実習を通して肌で感じることができた。
 私は3学年の定期訓練の位置づけは「俯瞰」だと考える。今年の訓練期間は多くの部隊に研修に行き、多くの職種の方の話を聞き、海上要員の職種選択の視野が広がった訓練期間でもあり、物事を俯瞰してみることができた。4学年時の訓練では任官を目前に心に余裕を持つことができないと予想される。そのため、今年3学年である私は任官まで時間があり、余裕がある中で、多くの職種を直接見て感じ、様々な体験をさせていただき、とても有意義な訓練期間となった。

山田 学生

今年度の夏季定期訓練では護衛艦「はぐろ」に乗艦し、10日間をかけ日本海沿岸を航行、操艦訓練や部署訓練など様々な訓練を実施した。今回の夏季定期訓練は、海上自衛隊が担う任務の重要性を改めて理解し、将来、自分自身が国家防衛の一翼を担う存在であることを深く認識する貴重な機会となった。
 乗艦した「はぐろ」は日本で最新鋭のイージスシステムを搭載した護衛艦であり、実任務に日々従事している艦であることから、乗員の方々の士気が非常に高く保たれており、どの配置においても溌剌と勤務されている様子が印象的であった。加えて、実習中や実習の合間には乗員の方々と交流し、経験豊富な海曹や幹部の方と様々な話をする機会を多く得た。乗員の方と交流する中で、艦艇勤務の魅力ややりがいを知ることができた一方、艦艇勤務での苦労や大変さなど、乗員の方が実際の任務を通じて何を感じ、考えているのかを伺うことができた。こうした生の声を通じて自分自身の将来像をイメージし、部隊勤務における参考とすることができたのは今回の夏季定期訓練における1番の収穫であったと考えている。
 早いもので、半年後には幹部候補生学校への入校が控えている。防衛大学校での訓練も残りわずかであることを改めて認識し、一日一日無駄にせぬよう海上自衛隊幹部自衛官となる自覚を持ち、日々精進していく所存である。
 最後に、今回の実習を全面的に支援していただいた護衛艦「はぐろ」乗員の方々に深くお礼申し上げます。ありがとうございました。

夏季定期訓練参加所感【航空】

大嶋 学生

2学年航空要員の夏季定期訓練では、「航空機運用実習(グライダー訓練)」「輸送航空隊実習」「校内訓練」を行った。私は、航空自衛官魂の理解と深化を目標とし訓練に臨んだ。
 最初に行われた航空機運用実習では、グライダーへの搭乗を通じ、航空自衛隊の最たる特徴である空中勤務特性を学んだ。特に「積極進取」と「協力強調」を意識したことで、エアマンシップを発揮できたのではないかと考える。
 次に輸送航空隊実習として、小牧基地に所在する第1輸送航空隊での研修に参加した。司令部をはじめ、航空機を運用する飛行群、基地機能の維持や警備を行う基地業務群などを見学した。特に印象に残っているのはKC-767空中給油機の見学だ。将来搭乗したい機体であり、航空輸送と空中給油の2つの機能を持つ日本で数少ない航空機だからだ。
 校内訓練では、航空自衛隊式の基本教練の他に航空法や保命法について学んだ。基本教練では目的にある「精神を鍛錬し各種の任務を遂行させるための基礎を作ることにある」を意識し、軽快活発に動くことができた。
 定期訓練を通して、航空自衛官魂について理解することができ、航空自衛官がスマートと言われる理由が分かった。更にスマートな航空自衛官(航空要員)になるべく、これからの訓練や学業に励んでいきたい。

山﨑 学生

3学年航空要員は戦闘航空団が所属する千歳基地、小松基地、百里基地、那覇基地の4か所に分かれて7月1日から7月21日の3週間に及ぶ部隊実習が実施された。私の研修先は北海道に所在する航空自衛隊千歳基地であった。千歳基地では所在する各部隊の見学をはじめ、F-15(戦闘機)やUH-60J(救難ヘリ)の体験搭乗といった滅多にできない貴重な経験をさせていただいた。各部隊をまわってあらゆる施設の見学ができたことや実際に幹部自衛官の方のお話を伺うことができたことは、任官するにあたっての職種選択の参考となった。これを踏まえて自分の希望する職種になれるよう日々の訓練に真摯に取り組まなければならないと改めて感じた。また各群司令等の講話を聴くことにより防衛大学校の学生に求められているものや様々なリーダーシップの形態を知ることができ、私には新しい発見が多く実りのある部隊実習となった。
 また今回内務班(曹・士の方の居住場所)生活で多くの方とコミュニケーションをとったわけであるが、私たちが思っている以上に曹士の方は「防大生に期待している」と感じた。しかし私たちにその期待に応えられる能力があるかというと私はまだないと思う。今後の防大での生活を見直し、期待に応えられる・もしくは期待以上の幹部自衛官となり、出来ればこの千歳基地で勤務したいと強く思った。

伊藤 学生

防衛大学校の航空要員の夏季定期訓練において最も大きな訓練は航空機運用総合訓練である。本訓練に向けた準備は2学年時から継続的に実施しており防大の航空要員における訓練の集大成とも言える。静岡県、富士川滑空場において富士川航空団と呼ばれる仮想の航空団を編成し4学年が基幹隊員、2学年が新隊員とし、グライダーを用いて模擬的な航空団の運用を実施する。各学生には実際の航空団と同様、各郡に振り分けられ役割を付与される。期間は1週間。前段と後段に区分されそれぞれ別の役割を付与されることとなる。
 私は本訓練において団司令の幕僚である「監理部長」として勤務を行った。全般日程の作成、各会議の計画及び執行、VIPによる視察等への対応が任務であった。私が司令部における勤務で1番に感じたことは現場の情報の入手の難しさである。例としてはVIPの視察計画の急な変更等への対処時が挙げられる。基本的に司令部の幕僚が現場に赴くことは部隊でも想定されにくい為、本訓練においても意識的に現場に直接赴くことは避けていた。しかし、現場から指揮系統を通じて司令部に伝わる情報からでは状況をイメージしにくく、かつ伝達速度も遅くなることがあった。本勤務を通して指揮系統を通じて現場の情報をより早く、正確に入手しようと考えると現場に対して自ら情報を積極的に求めていくことが重要であると学んだ。
 また本訓練で視察や見学への対応で多くの部署との調整を自らが実際に行うという勤務を通じ、改めて多くの調整の下、防大の学生として研修や訓練を実施させて頂いていることへのありがたさを感じた。

前期を振り返って

小久保 学生

私は、年間運営方針を「団結」、前期運営方針を「メリハリのある関係と雰囲気の醸成」として掲げ、メリハリのある風通しの良い大隊を目指してきた。前期大隊学生長を振り返り、今、私が思うことは1大隊の全学生及び指導教官への感謝である。この多忙な前期は、全学生の協力があって円滑に運営することができたと考える。これは当たり前ではなく、全学生が自分にできることを考え、積極的に学生舎運営に参加する姿は1大隊の良いところであり、これがあるべき姿であると考える。学生間指導においても、今までの当たり前とされていた「伝統」を見直し、必要性と限度に基づいた指導を追求することで上下級生共に成長する良い機会とすることができた。大隊学生長として、1大隊の規律正しく、理性的で、協力的な姿や雰囲気を誇りに思う。また、この大隊において上下級生問わず「第1大隊に所属することができてよかった」という声が聞こえるのは大隊学生長として余りある名誉であると思う。前期作り上げた基盤をもとに中期以降、1大隊全学生のさらなる飛躍を期待する。

岩田 学生

今年度の第2大隊は前期から力強かった。4月当初に「胸を張れ、全てを制す、ここは2大隊だ。」というスローガンを掲げ、帰属意識の醸成からなる強固な団結力を持ち2大隊に所属する学生が胸を張れる、そんな組織を作り上げることを決意した。具体的にどんな取り組みがその目標達成に繋がるのか、同期と議論し頭を悩ませたこともあったが、カッター競技会や隊歌コンクールを中心とした競技会練成、また時代の変移に即した学生間指導の追求の中で見られた前期の2大隊の一体感に、私は全てを制すにふさわしい勇猛な獅子を連想させられた。今後、この獅子がどんな成果を勝ち取るのか、期待せずにはいられない。
 私自身は2大隊学生長の勤務を通じて、業務の配分・適材適所に沿った人材配置・権限の委譲、この3つの大切さに気付かされた。大隊学生長という大組織のリーダーを経験したからこそ、今まで気づけなかったリーダーに必要なレベルの高い資質について知見を深めることができたのかもしれない。しかし、たとえ長期勤務学生をやらずとも、この防衛大学校には将来幹部自衛官に必要なリーダーの資質を育成できる機会にあふれている。同期をはじめ、続く後輩には機会を逃さずリーダーとしての成長に貪欲になってほしい。何事にも、トライ&エラーの精神で。

引野 学生

68期生が入学当初から猛威を振るってきた新型コロナウィスルも第五類感染症に引き下げられ、4年目にしてやっと制限のない防大生活が送れるようになった。マスクを外し、対面で同期生や下級生と会話をし、競技会に真剣に取り組み、生き生きとした毎日を送れていたように感じた。学科、訓練、学生舎生活及び校友会活動など、指導教官からは「以前のようにできるね」と多く声をかけていただいたが、私個人としては、「以前のように」でななく「より良く」なるよう心掛けていた。以前の慣習を実際に体験していないからこそ、良いところは残しつつ、改善すべき点や悪い慣習を取り除くことができた。
 前期では、まず中隊内のつながりを強化してほしいという考えの下、中隊ごとにレクリエーションや朝礼を行うことで帰属意識を醸成し、学生間の関わりを増やすことで大隊としてまとまりをもつことができた。防大の特徴の一つとして、異なる要員、異なる学年が同じ学生舎で生活していることが挙げられるが、上級生に話しかけにくいという印象をなくし、風通しの良い組織づくりができた。  前期という短い期間にカッター競技会や隊歌コンクール、パレード競技会などで好成績を残し、皆が気持ちよく生活できたのは、幕僚や大隊学生長付、各中隊学生長をはじめとする4大隊学生全員のやる気と協力のおかげであり、感謝仕切れない。まだ中期・後期と今年度も半分以上残っているため、4大隊の学生全員が成長し、活躍できる場を作り続けていきたい。

中期学生隊学生長としての決意・抱負

大久保 学生

令和5年度中期学生隊学生長の任に就くにあたり、その決意と抱負を述べさせていただきます。まず初めに、このような責任ある役職に就き勤務させていただけることに感謝し、学生隊運営に、自らの能力を最大限に活用し貢献していく所存です。
 今年度の学生隊運営は、年間方針「仁」のもとに前期の基盤づくりがなされてきました。中期は、前期で得た成果を引き継ぎ、それぞれ自分自身を向上させることができる充実期であると私は考えています。そこで、私の中期の勤務方針は「絆」です。学生一人一人が上下級生問わずに交流を持って学生間の信頼関係を醸成し、学生同士で切磋琢磨し、最終的には自分自身が成長できたと実感できる環境を作ることを目指します。
今の防衛大学校学生に求められることの1つに、コロナ禍の体制から通常の体制への変換に対する対応があげられると考えます。ここ数年のコロナによる影響から、規模が縮小された競技会や制限下での各種行事を経験してきた私たちにとって、通常体制への対応に試行錯誤しながら対面することになります。これは私たち運営側だけではなく、学生全員に共通することだと認識しています。コロナ禍は形だけではなく、学生間の関係性の希薄化など、防大生活に必要不可欠な要素に大きな影響を与えました。よって、学生の心に直接アプローチする重要性が出てきたと考えています。まさに今こそ「絆」を醸成するべき時期であり、学生同士が協力し、切磋琢磨し合うことで得られる学びから、学生の自己の充実に繋げることができる4か月になるよう運営に注力していきます。
 最後に、防衛大学校学生が更に充実し、成長できる環境を作るべく、支えてくれる本部員とともに精一杯勤務していきます。

防大かわら版