防大かわら版VOL.150

2023年07月21日

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◯掲示内容一覧
 ・入校所感
 ・サンドハースト競技会参加所感
 ・短期派遣所感(ヴァージニア軍事学校)



入校後所感

中川 学生

令和5年4月1日、青々とした空のもと、期待や不安を胸に防衛大学校に着校した。着校してすぐプレスや靴磨き、清掃、基本教練など防衛大学校学生として必要なことを教わった。知らないことばかりだったが、上級生が丁寧に教えてくれ、すぐに生活に慣れることができた。徐々に自分たちでやらなければいけないことが増えたり、行動に責任が求められるようになったりしたが、同期達と協力することで乗り越えることができた。入校して初めて会った同期であったが、すぐに打ち解け、強い絆を築くことができたと思う。今年度は新型コロナウイルスによる行動の制限はほぼ無く、各種行事が実施されたり、それに向けた練成が実施されたりしている。これは、高校時代、コロナウイルスによる厳しい行動制限を受けてきた私たちにとって、とても嬉しいことだ。すべてに全力で取り組み、中隊や大隊に貢献できるよう頑張りたい。7月の夏季定期訓練では、8キロ遠泳や富士登山が予定されている。これから更に忙しい日々になると思うが、指導官や上級生の指導を活かして、最後までやり抜きたい。
 1日1日がとても濃厚で、気が付けば1日が終わっている。あっという間に過ぎていく時間に置いて行かれないよう、明確な目標を立て、同期と切磋琢磨し、より充実した生活を送っていきたい。

辻 学生

防衛大学校は私が夙に憧れていた場所だった。幼少時、横浜に住んでいたこともあり、通学中の車内でよく制服姿の防大生を見かけ、いつもかっこいいと思っていた。そんな憧れの場所に4月1日、私は着校した。 着校した当初は今までとは180度環境が違う生活にあまり慣れることができなかった。分単位で決められた学生舎生活、上級生、下級生が寝食を共にする生活、そして親元を離れた生活は全てが非日常であった。このように大きな環境の変化に戸惑い、自分が防大にいる意味を見失いかけるときもあったが、大きなやりがいを感じることがある。それは、何度も繰り返し挑戦し、失敗を重ね、やっとできた時に自らの成長を感じることができるときである。特に防大生として必須である端正な容儀に整えることは1年生の関門である。私も初めは端正な着こなしができず、上級生に多くの指摘を受けた。しかし、隙間時間を使って同期と容儀を見合うことで端正な容儀へと近づき、今では自分だけでできるようになった。このように同期の存在は互いの成長に繋がっている。同期には本当に感謝しかない。 そして、1日1日が濃密した生活であるためか、防大に入校して早くも3ヶ月が経つ。きっとこれからもまた自分が思ったようにできず、不安やプレッシャーに押し潰されそうになることがあるだろう。しかし、そんな時こそ揺るぎない覚悟をもって、この防衛大学校の門をくぐったあの日を思い出し、不安やプレッシャーを跳ねのけてこの日々を全力で駆け抜けていきたい。最後に、小さいころ私が防大生に憧れたように、自分も誰かの憧れとなる防大生となり、自分の大切な家族や仲間を守れる自衛官になりたい。

上田 学生

4月1日に着校して以来、あっという間に時間が流れた。未だに慣れない部分も多いが、防大生として、或いは自衛官としての自覚も徐々に芽生えてきたと思う。それは何故か、そう自問した時「立場が人を作る」という上対番に教わった言葉を思い出した。防大は幹部自衛官となるべきものを養成する場であるため、そういう環境に身を置くことで、自らの意識が変化してきたのだと思った。勉学、訓練、校友会などを通じて同期と切磋琢磨し、時には指揮を執ることを経験して成長することができた。3か月はあっという間の時間であったが、私には心理的な面で極めて大きな変化があったと思う。
 日々の生活はというと、多忙の一言に尽きる。時間厳守の大切さを教えられ、いかに時間を捻出するかが重要となる。食堂、浴場、教場などからの移動を走る、行動を迅速かつ効率的に行うことを求められ、時には同期と協力して時間を短縮することもある。一日を終えて横になった時の疲労感は言葉にできない。しかし、言い換えると充実した日々を過ごせているとも思う。入校前までのただ怠惰に過ごす日常とは打って変わり、起きている間は何かしらの動作をしているのである。厳しい規律の中で過ごす毎日に成長の機会と学びがあり、能力を向上させることができるのだと思う。
 私にはまだまだ至らぬ部分が多く、今後の学生生活の課題であると考える。これを指導し、正しい方向に導いてくださるのが上級生である。防大ならではのこの特殊な環境にいられることに感謝し、精進していこうと思う。

吉田 学生

今までにない不安を抱き、桜の舞う門を通ってから早くも3ヶ月が経った。私にとってこの3ヶ月は今までの人生の中で最も過酷でありながら、非常に充実した時間でもあった。日々指導されるうちに、自分自身の未熟さを感じ、人間性を見つめ直した。そして、将来幹部自衛官になる者としての自覚と目標を持つことができた。その目標に大きな影響を与えているのは、同期と上級生の存在である。切磋琢磨し合える同期の存在、そして人として尊敬でき、憧れである上級生の存在が大きな刺激となり、日々成長の糧になっている。入校当初、上級生から「防大は人と人のつながり」というお言葉をいただいた。今ではその言葉の意味を強く実感している。
 日々の生活は非常に多忙である。4大隊の学生舎は食堂、浴場、教場から他大隊よりも1番遠く離れており、入校当初は食堂に行くまでが何より大変だった。集合時間は厳守しなければならず、それに加え、限られた時間の中で多数のすべきことがある。最初は全くうまくいかず、時間管理が私の一番の課題であった。しかし、同期と協力し、声を掛け合うようになってからは、限られた時間の中ですべきことをこなすことができ、時間だけでなく質も意識できるようになった。
 まだまだ今の自分では、自分の理想とする幹部自衛官像の足下にも及ばないが、まずは日々の忙しい生活に全力で取り組み、同期と成長していくことが大きな一歩になると考える。防衛大学校というこの恵まれた環境に感謝し、国の防衛を担う立派な人になりたいと考える。

サンドハースト競技会参加所感

尾塚 学生

第9期サンドハースト準備訓練隊分隊長の尾塚学生です。
 サンドハースト競技会とは、毎年4月に米国陸軍士官学校にて各国の士官学校から選抜された代表者たちが1夜2日間の状況下で自国の誇りを胸に体力や各種戦闘技術、そしてチーム力を競う国際的な総合戦闘競技会です。過去3年間は新型コロナウイルス感染拡大のため日本チームは参加を断念せざるを得ない状況でした。今回3年ぶりの参加となり、アメリカ本番に参加できなかったこれまで3年間のサンドハースト準備訓練隊の思いを胸に本番に臨みましたが、結果は全48チーム中43位というとても悔しいものとなりました。
 私がサンドハースト競技会に挑戦したいと考えるようになったきっかけは、1学年の時に校内で総合訓練を行うサンドハースト準備訓練隊の姿を見て感動した経験です。この時見た上級生たちが左腕に日の丸をつけ、困難なミッションにも最後まで妥協することなく挑み完遂していく姿はあまりにも格好良く、輝いていました。そして今度は自分がサンドハースト準備訓練隊の一員となり、分隊長としてアメリカで戦ったこの経験はとても貴重なものとなりました。この経験の中で得たものを今後の日本チームの糧とできるよう、指導部一丸となって第10期サンドハースト準備訓練隊育成を行っていきます。
 最後になりますが、今年度の濃密で充実した訓練の計画・実施をしていただいた指導官及び指導学生の方々、これまでのサンドハースト準備訓練隊を紡いできてくださった方々、そして私たちの訓練を暖かく見守り応援してくださった防衛大学校の職員・学生の方々への感謝を申し上げて、サンドハースト競技会参加所見とさせていただきます。

短期派遣所感(ヴァージニア軍事学校)

牛島 学生

私は、令和5年3月21日から同年3月31日の11日間、米国ヴァージニア州レキシントンに所在するヴァージニア軍事学校、通称VMIへ派遣された。ヴァージニア軍事学校は、1839年に設立された長い歴史を持つ士官学校であり、陸軍、海軍、空軍、海兵隊の4軍種の要員がバラックにて共同生活を行なっている。50種以上の運動部が存在し、学科は文理合わせて計14種から専攻することが可能である。また、数多くの国から長期や短期の留学生を受け入れており、他国の士官学校との交流は実に濃厚な学校である。
 訓練は、通常の訓練時間以外にも、日朝点呼前の時間には早朝訓練、時には土日や長期休暇間にも行われていた。学業に関しては、消灯時間がないため、夜遅くまで勉学に励む学生が多く、隙間時間に授業の録画を見直す等、学びへの姿勢は強い向上心がみられ、授業中の発言が活発であったのが大変印象的であった。
 生活面では、容儀点検にて不備がある者へのペナルティや、学生舎運営、体力練成を主とした訓練等は、全て指導官の介入は殆ど見られず学生主体で厳正に行われており、自主自律の精神を強く感じることができた。
 私が今回の短期派遣により学んだことは、自主自立の本来の姿である。防衛大学校でも自主自律を目標としているが、ヴァージニア軍事学校では指導官の介入なしに、学校運営が滞りなく行われ、学生は緊張感のある生活を送っていた。これは、自らが士官候補生であるという誇り、士官候補生たるもの斯くあるべきという理想像を学生が各々強く持っているからだと感じた。
 私は、本研修で得た数多くの教訓を防衛大学校での自身の生活のみに留まらず、学校運営にも活かしていく所存である。

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